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カテゴリ:Figure Skating(2008-2009)
文句のつけようもない圧巻の勝利だった。グランプリ・シリーズ第一戦アメリカ大会、女子シングル。韓国のキム・ヨナ選手が、193.45点で2位の中野選手に20点以上点差をつけての勝利。誰も彼女には歯が立たなかった。

キム・ヨナ選手の強さは、実は大技がないことにもその一因がある。彼女にはトリプルアクセルはない。ちょうどシニアにあがるころだったか、いくぶん力を入れて練習した時期もあり、韓国のマスコミは「来シーズンはトリプルアクセルに挑戦」などと囃し立てたが(いずこの国も同じだ)、キム選手自身、「なぜトリプルアクセルを入れないのか」としつこく聞く韓国メディアに、「私には跳べないから。そんなに簡単に跳べるならやっている」と答えている。なおもしつこく、「練習では成功したこともあると聞くが」と質問した記者に対しては、「練習でも一度も成功したことはない」と明言した。トリプルアクセルはそれほど難しい技なのだ。

キム選手にはセカンドに跳ぶトリプルループもない。それどころか、単独のトリプルループさえ大の苦手で、今回も練習中派手にコケていたし、フリーでもシングルループになっていた。

だが、キム選手にはダイナミックなトリプルフリップ+トリプルトゥループの連続技があり、ダブルアクセル+トリプルトゥループもある。しかもセカンドジャンプのトリプルトゥループの成功率が抜群。セカンドジャンプにトリプルループという難度の高い技を持ちながら、さかんに回転不足でダウングレード+GOE減点をくらう安藤選手、浅田選手とは対照的だ。

キム選手は、トリプルルッツの大きさにも定評がある。個人的には、飛距離に比べて高さは若干欠けるように思う――理想的なジャンプは大きな放物線を描くジャンプなのだが、キム選手の場合はその放物線が幅広がりになって山が低い――が、飛距離と着氷の確かさで加点を稼ぐことができる。去年のあまりの大盤振る舞いの加点には若干疑問もあったのだが(そういう声が多かったのか、去年よりルッツへの加点は控えめだ)、現行のルールにのっとった結果であることは間違いない。昨シーズン、ルッツ踏み切りのときのエッジの間違いを克服できずに減点されまくった浅田選手とは、これまた対照的なのだ。

大技はできない、しかも怪我がち――だったら、余計な「挑戦」はせずに、今持っている技術を磨こう。キム選手の場合は、目標がそれだけなのだ。ジュニア時代の最後のあたりで入れてきたジャンプ構成と今のジャンプ構成はほとんど変わりがない。何年もかけて繰り返してきたことで、確実性は増すばかり。なまじっか天才的なジャンパーであったために、4回転に固執したり、連続ジャンプの構成をいじっている安藤選手や、ジュニア時代の4回転ループ、ショートでのトリプルアクセルをつかった連続技、シニアに入ってからのステップからのトリプルアクセル(これが最高にバカバカしい試みだった)などと、無謀ともいえる挑戦に時間を使い、ルール改正によってもともとの欠点だった、不正エッジ、回転不足、着氷の乱れなどの細かいミスでじゃんじゃん減点されるようになってしまった浅田選手とは違い、着実に自分の世界を完成させていっている。

恐らく、今がキム選手の絶頂期だ。これが来年、再来年になるとどうなるかわからない。17歳から20歳までと若干個人差はあるものの、ピークが早く、衰えも早いのが女子フィギュア選手の運命。残酷なほど選手生命が短い競技なのだ。

今回のキム選手のショート、フリーは、ともに振付も非常にいい。ショートの「死の舞踏」のやや陰鬱な世界、フリーのシェヘラザードのアラビックな妖艶な世界。キム選手の個性を生かしつつ、得点を稼ぐポイントをおさえたうまい構成になっている。振付のデヴィッド・ウィルソンはニコライ・モロゾフ、ローリー・ニコルなどに比べるとやや落ちるという印象のある振付師だったが、キム・ヨナという類いまれなミューズを得たことで、また評価がぐっと高まるだろう。コスチュームも去年に比べてずっとよくなった。シンプルな色使いにスパンコールを散らし、ほっそりとしながら大人びてきたキム選手の美しさを引き立てるデザインになっている。

シェヘラザードは選曲としてはありふれている。安藤選手、クワン選手、皆忘れたようだが伊藤みどり選手がアルベールビルで銀メダルを獲ったときのフリーの曲もこれだった。過去の一流スケーターが多く使ってきた名曲だが、キム・ヨナ選手のシェヘラザードが恐らく一番、それもダントツで美しい。ポーズや動作にはクワン選手や太田由希奈選手の影響がはっきりと読み取れる。だが、ジャンプに向かう助走の間に、しなやかな腕の動きを生かしたポーズを一瞬入れるだけで、キム選手は人の目をひきつけることのできる魅力がある。浅田選手のような動的で華麗な細かいステップこそないが、メリハリのきいたターン動作、まるで蛇がうねっていくような、氷にはりついたままの独特なエッジ遣い、深いカーブを描きながらの上下運動を入れたステップ、すべて去年以上に磨きがかかっている。挑発的な視線は先々シーズンのショートと同じといえば同じだが、これだけ自分の世界に入って表情を作ることのできる選手はそうはいない。

キム選手に対抗するには、もともと中野選手は役不足だ。3+3の連続ジャンプがないし、トレードマークのように言われるトリプルアクセルも実は常に回転不足気味。回転不足の減点が大きい現行のルールでは、あまり大きな武器にはならないのだ。

期待された安藤選手だったが、武器のはずの3+3の連続ジャンプが回転不足判定で点をもらえなかった。セカンドに跳ぶトリプルループ――肉眼ではショート、フリーともきれいに降りたように見えたのに、両方ともダウングレード判定。完璧に降りれば、女子では最高難度の連続技であり、12点以上の得点が期待できるトリプルルッツ+トリプルループも6.5点にしかならなかった。フリーのトリプルトゥループ+トルプルループ(これは今年から入れてきた)もたったの4.3点。フリーのキム選手のトリプルフリップ+トリプルトゥループは、実はスロー再生ではトゥループが若干回転不足に見えたのだが、ダウングレードなしで加点までついて10.5点、ショートでは10.7点。去年より若干加点は抑えられている気もするが、これだけ連続ジャンプで差がついては勝負にならない。

安藤選手の場合はプログラムコンポーネンツの点も予想外に低かった。フリーではキム選手の60点に対して52.16点。ジャンプ以外のところでのトゥが氷にひっかかってつまずく場面などがあったとはいえ、52点というのはあまりに低すぎる。これは、ちょっと可哀想だ。

だが、当代一の振付師であるはずのニコライ・モロゾフの振付が、今年はもうひとつ冴えないというのも事実としてある。モロゾフは今年、彼の最大のミューズを失った。高橋選手との師弟関係解消は、実のところ「振付師」モロゾフにとって一番の損失だったと思う。

どういうことか説明しよう。フィギュアスケートの場合、通常は振付師がコーチを兼ねることはない。ところがモロゾフはこの2役をこなす。もともとチャンピオンメーカー、タチアナ・タラソワのチームで振付師としての名声を得たモロゾフは、高齢で氷に立てないタラソワにかわって選手のコーチングをすることで、コーチとしての力量を磨いてきた。コーチとしてのモロゾフの名声を決定付けたのは、荒川選手のトリノでの金メダル。さらに、安藤選手をどん底から復活させ世界女王に導いたことでさらに評価が高まった。当然、コーチングを希望する選手が殺到し、多忙になった。

コーチはもっぱらビジネスだが、振付師はアーチストだ。革新的で優れた作品を作るためには、あまりに多忙では集中できない。また、振付師を触発してくれるミューズの存在が絶対に必要になる。振付師は自分だけで仕事をするわけではない。優れた素材と出会ってこそ優れた振付ができるのだ。

バレエの世界でローラン・プティにジジやヌレエフがいたように、タラソワのもとにはヤグディンのような一級のスケーターがおり、そうした表現者に触発されてモロゾフはフィギュア史に残る名プログラムを発表してきた。高橋大輔というスケーターは恐らく、ヤグディン以後、モロゾフが得たもっとも優れた才能だった。小塚選手はエルドリッジに、織田選手はハミルトンにたとえることができるが、高橋大輔のようなスケーターは過去をひもといてもほとんどいない。ディープエッジを遣った伸びのあるスケーティング、キレのあるステップ、やや「バロックな」ダークな個性。王子様タイプが多いフィギュアの世界で、高橋選手のように「この世ならざる者」のドラマを表現して、独自の世界を構築できるスケーターはほとんどいないのだ。高橋選手というミューズを得てモロゾフが作ったのが、『オペラ座の怪人』を頂点とする一連の名プログラムだ。

去年はヒップホップの動きを大胆に取り入れたショートプログラムで高い評価を得た。安藤選手への振付も音楽の使い方が非常にうまかった。そうしたモロゾフのアーチストとしての側面が、コーチというビジネスの中に埋没してしまっている。もともとコーチと振付師を兼ねるのは大変なうえに、昨今の多忙。今年は高橋選手というミューズもいない。今シーズンのモロゾフの振付は、去年までのような革新性や斬新さが、ほとんどどの選手のプログラムにもない。すべて過去の作品の焼き直し、大量生産のコピーなのだ。安藤選手のプログラムも、一部腕の動きを工夫して、セクシーな大人の魅力を出そうとしているが、キム・ヨナ+デヴィッド・ウィルソンのようにハッと目を惹くものではない。

ジャンプで負けているうえに、振付でも負けている。おまけに安藤選手は肩を痛めてからビールマンスピンを失った。あのダイナミックなビールマンがなくなってしまったのは、ファンとしては本当に淋しいし、悲しい。安藤選手のショートでのレイバックスピンのレベルは1、得点はたったの1.5点。キム選手はレイバックスピンで3点取る。安藤選手はステップではつまずくことが多い。この状態でキム選手に対抗するのは、やはり無理だ。

安藤選手の課題は、4回転よりむしろ、セカンドに跳ぶトリプルループをきっちり回って降りてくることだ。だが、これが非常に難しい。トリプルループを2度目に跳ぶということは、一度動きを止めなければならない。一瞬スピードがなくなった状態でもう一度跳ぶのだから、高さが出ずに3回転しないまま降りてきてしまうことになる。高さを出そうとタメを長くとると離氷が遅れ、今度は初めから回転不足気味になる。以前はそれほど厳しくとらなかったのが、去年からスロー再生できっちり見ている。ループはセカンドジャンプではもともと回転不足気味になりやすいのだ。

安藤選手は肩に爆弾を抱えているし、試合直前の怪我も多くなった。これは、キャリアが終わりかけているということだ――残酷なことを言うようだが、女子フィギュアの、しかもジャンパーの選手生命が短いことは、ファンも知らなければならないし、覚悟しなければならない。彼女の目標はオリンピックで最高の演技をすることなので、今シーズンは無理をせずに、調整だと思って試合に臨んだほうがいいだろう。あまり「4回転、4回転」と囃し立てないことだ。今年跳ぶのが目標ではなく、オリンピックの晴れ舞台で決めることが安藤選手の悲願なのだから。

日本のメディアの浅はかさには、本当に閉口する。小塚選手と安藤選手を見れば「4回転は?」、中野選手を見れば「トリプルアクセルは?」――大技は、一見決めたように見えても、回転不足判定があれば大々的に減点される、博打の要素が高いのだ。この3選手の場合は、諸刃の剣であるこうした大技を、しかも完成させているとは言えないのだ。練習で150%できて初めて試合で決められるといわれるのがジャンプだ。確実に決められない大技ばかり「やれやれ」とばかりに囃し立てるのは、選手のためにもならないし、大技さえ決まれば勝てるというような、ファンの誤解も招く結果になる。






最終更新日  2008.10.28 12:21:49
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