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昨日で一応、今季のフィギュアねたは最後にしたつもりだったのですが、偶然にも先ほどビアンケッティさんからメールが届きましたので、ご紹介しておきます。今回はイタリア語で来ました。
Grazie per avermi contattato e per pubblicato alcune mie lettere sul tuo blog. Mi fa molto piacere che tu condivida le mie idee ed e importante che anche in Giappone si possano leggere le critiche e i suggerimenti al nuovo sistema di giudizio. 貴ブログで私のメールを紹介していただき、またそれについてのご連絡をいただき、ありがとうございました。あなたが私と同じ考え(注:ダウングレード判定による減点がバカげていること。5つのコンポーネンツからなる演技・構成点の点が大きすぎること。ジャッジの匿名性がファンの疑念を招いていること)であることを嬉しく思います。日本でも皆さんが、新採点システムに対するこうした批判や提言を読めるというのは重要なことです。 このようにフィギュア界でも、長いものに巻かれるだけない、不合理な部分は不合理と指摘して、よりよいルールを作ろうとしている人もいるんですね。彼女は、自分の批判や提言をより多くの人に読んでもらい、オープンな議論を促したいと考えています。 ビアンケッティさんは、スポーツはファンあってのものであり、ファンが理解できないようなルールで競技を行っていては、スポーツそのものが衰退してしまうことを理解していて、ご自身の著述でもそう明言されています(てか、もう欧州ではフィギュアの人気凋落は目を覆うばかりのようですね。「日本と韓国では事情が違うでしょうけれど」とビアンケッティさんは、昨今の欧州でのファン離れを大変に危惧していらっしゃいます)。世の中、まだまだ捨てたものじゃありませんね。 「これからも私の『闘い』を支援してほしい」というのがビアンケッティさんの弁です。ダウングレード判定による減点1つを見ても、多くの場合、ほんの少しの回転不足が回りきっての転倒より点数が低くなるなど、「無理が通れば道理がひっこむ」を地で行くような非常識な規則を非常識と指摘することさえ、「闘い」になるんですね。それが組織というものです。 しかし、こんなにもルールや判定への疑問・批判がファンから相次いだシーズンはありませんね。毎年少しずつルールに手を入れ、返って問題山積になってしまったフランケンシュタイン・ルール。大幅なルール改正は、あるにしろ、オリンピック後になるでしょう。 どっちが勝った負けたに関しては、旧採点から異論や反論はしばしばありましたが、あの6点満点の採点法が長く続いたのは、やはりファンの支持があったからだと思います。ファンは基本的に、ジャッジの「目」を信頼していたんです。旧採点では、素人でもそれなりに納得できる順位になっていましたね。 長野五輪のクワンvsリピンスキーのように、ジャッジの判断が割れて、微妙な差で勝敗が決したときも、「やはりクワンは少し、失敗を恐れて慎重になりすぎていたかな」と思ったものです。逆に「非常に丁寧に滑った」とも言えるわけですが。 個人的には、実績のあるクワンに取らせてあげたいようにも思いましたし、実際クワンを1位にしたジャッジもいたのですが、3ループ+3ループ(今の基準じゃ回転不足ですが)をフリーで決め、元気よく滑ったリピンスキーに軍配があがりましたね。あの舞台で、より魅力的で印象的な演技をしたのは、やはりリピンスキーのほうだったでしょう。 オリンピックというのは、確かに選手にとって夢の舞台ではありますが、フィギュア競技にとっては、オリンピックがすべてではありません。むしろ、オリンピックにしか注目しないファンやメディアが多いのは、非常に残念なことですね。オリンピックは、あくまで、「1つの大きな大会」にすぎません。カート・ブラウニングはオリンピックのメダルこそありませんが、彼が史上もっとも優れたスケーターの1人であることには変わりはないんですね。ファンも選手たちもそれを知っているし、実際オリンピックのメダリストの多くがプロ転向後、ほどなくウエイトオーバーになり、氷に立ってもお客を呼べなくなっていったのと対照的に、ブラウニングのショーは抜群に高い人気を長期間維持しています。 デニス・ビールマンも非常に長い間、徹底したウエイトコントロールで体重を管理し、プロとして活躍した選手です。あの年齢であの筋肉質なボディ――驚異的ですよ、マジで。ビールマンもオリンピックでのメダルはないし、世界チャンピオンになったのも1度だけです。 クリスティ・ヤマグチは、アルベールビルで金メダルを獲ったとき、歴代の米国女子オリンピック・チャンピオンに比べて「稼げていない」、それは「彼女がアジア系だから」とハッキリ米国の新聞に書かれました。でも、今では彼女の名前を冠したイベントも多く、米国でもっとも尊敬されているスケーターの1人になっています。それはヤマグチ選手の「スーパー・ヒューマン」と称された人柄のおかげなんですね。そういえば、クワンとともに、ロスの世界選手権に姿を見せていましたね。 今の日本は男子・女子ともに、それぞれ個性的で才能あふれる選手が多くいます。まさに黄金時代。ファンにとっては幸せな時代です。 単に一個人が仕事の合い間にやってるだけの拙ブログのフィギュアねたで、1日数万件のアクセスがあること自体、日本の過剰ともいえるフィギュア人気を反映してるんでしょうね。それともちろん、昨今の不可解な点数の出方。 演技・構成点について、ビアンケッティさんは、「即座に5つのコンポーネンツの点を出すなど、そもそも不可能」と本当のこと(苦笑)をおっしゃっています。だから2つに減らせと。そして、基本的にジャッジができるのは選手同士の比較だけで、今の採点システムでジャッジがつけるコンポーネンツの点差には客観的・合理的な根拠はまったくないと。 ただ、そうやって演技・構成点での点差を広げたい勢力がいるわけですよね。 あらためまして、フィギュアねた連載中は、数多くの応援メールをありがとうございました。「メールを控えて」などとトンデモなことまでお願いして(苦笑)、ど~もど~もすいませんでした。世界選手権後のパニックのようなアクセスはもうだいぶ落ち着き、今は1日2万~3万件のアクセスになっています。 月並みな表現ですが、Mizumizuも読者の皆さんから、パワーをもらいました。楽しんで読んでいただいているのがよく伝わってくるメールが多く、こちらも楽しく、また励まされる気持ちになりました。これがブログの醍醐味でしょうね。世界選手権の女子シングルの点数を見たときは、もうこの競技は見放そうと決めたのですが、翻意させてくださったのは、日本選手を支えようと願うファンの皆さんの熱意です。これだけ多くの人に愛されている今の日本のスケーターは幸せですね。 ルールや判定に対する割り切れなさやフィギュアスケートから個性的な美が消えていくことに対する残念な想いは、ニワカファンの方もオールドファンの方も、温度差こそあれ、皆かかえていらっしゃいます。「私だけ?」と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、決して1人ではありません。 不可解な判定に対して説明を求めたり、公平性や合理性を欠くと思われるルールに対して提言するのは、フィギュアを愛するファンとしては当然の行為です。ただし、くれぐれも特定の選手贔屓の感情的な意見にならないように注意しましょう。浅田選手の3Aに対するダウングレードで、多くのファンがその減点の苛烈さに驚いたようですが、この減点自体は中野選手だって、昨季の世界選手権もそうでしたが、さんざん食らってきています。中野選手のほうが、目に見えて回転不足のことが多かったのは事実ですが。でも昨季は実は、中野選手の3Aは多少回転が足りてなくても認定された試合もあるんですね。 しかし、ここまで「疑惑の判定」動画を使っての非難の応酬になるようなルールを運営をしているのは、本当に恥ずべきことです。単に贔屓の選手が勝った負けただけの話なら、ここまでファンのストレスはたまらなかったはず。こうした事態を招いたISU幹部の罪はつくづく大きいと思いますね。 数の多かったご質問については、なるたけブログでお答えするよう努力しましたが、あまりに多く、全部にお答えできなくて、申し訳ありません。 明日以降は、またお気楽ネタに戻りますので、お時間あるときにのぞきに来て下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.04.15 17:05:53
[Figure Skating(2008-2009)] カテゴリの最新記事
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