Mizumizuのライフスタイル・ブログ

2010/02/27(土)16:08

いくら完成度を高めても点がもらえない、ジョニー・ウィアー選手

Figure Skating(2009-2010)(49)

<きのうから続く> ただ、それはそれで個性的な新しい境地を開拓したプログラムだとも言えると思う。あとは、好き嫌い。一方で、高橋選手は、スケーターとしての魅力を全方位で備えている。ストロークの伸びもあり、エッジも深く、細かで動的なステップも得意で、上半身を含めた身体の動きもピシッと決まり、しかも速い。リズムやメロディーといった音楽そのものを表現することもできるし、感情表現も得意だ。表現力でも全方位で欠点のないアスリートなのだ。だから高橋選手が高い演技構成点をもらうのは、Mizumizuには当然に見える。だが、その同じジャッジが、高橋選手と比べても遜色のない小塚選手の「スケートの技術」に、異様に低い点をつけているのをみると、「ジャッジは目が高いから高橋選手を正当に評価している」とは到底思えないのだ。さて、ウィアー選手と高橋選手のフリーのプロトコルを比べてみると、ウィアー選手 技術点79.67点+演技構成点77.1=156.77点高橋選手 技術点73.48点+演技構成点84.5(転倒によるマイナス1)=156.98点技術点でウィアー選手のほうがはるかに勝っているにもかかわらず、演技構成点で7点もの差がついている。7点といったら、後半にもってくるルッツ1つ分より大きい点差なのだ。しかも、ウィアー選手は自分の表現できる世界を、めいっぱい表現していたと思う。ケチをつければ、「動いてないプログラム」「ときどき妖艶なポーズを決め、浅いエッジでくるくるしたり、手をひらひらさせたりしてるだけ」(と、Mizumizuには見える)。高橋選手のほうがナチュラルな感情表現が巧みだったと言えるかもしれない。だが、ウィアー選手が表現しようとしたのは「堕天使」だ。人間ではない。そして、そうした浮世離れしたキャラクターを表現するのに、ウィアー選手ほどふさわしい人はいないのではないか? 睫毛カールまでバッチリのお見事な美貌(あの睫毛カールに彼は、どのくらい時間をかけてるのでせふか??)は、動く少女漫画というか、三次元BLと言うか・・・ジャンプをノーミスで滑り、表現にも気を配り、他の誰もできない世界を構築したのに、高橋選手と演技構成点で7点もの点差をつけられたら、ウィアー選手は、自分が100%の力を出すのが前提で、しかも高橋選手がもう1回ぐらいコケてくれなければ、勝てないことになる。主観でしかない演技構成点で差をつけてはいけない。それでは競技会でなくなる。Mizumizuが何度も言っているのは、こういうことが起こるからだ。この7点という点差が妥当か不当か、不毛な議論でしかないと思う。Mizumizuは高橋選手を評価し、ウィアー選手は評価していない。ストイコも、「自分はウィアー選手のファンではないが」と言っている。それはそうだろう、男性的な力強さこそ男子フィギュアだと考えているストイコが、ウィアーのようなアンドロギュノス的世界のファンになるわけがない。だが、ウィアー選手のファンだっているはずだ。特にアジアの女性には多い。ウィアー選手の熱烈なファンで、高橋選手の素晴らしさが理解できない人は、この点差を見て、どう思うか?「不当すぎる採点だ」いったい点のでない理由は何?・ コーチがロシア人で、隣りにカート・ブラウニングが獲れなかった五輪金メダルを獲ったロシアのペトレンコが座っているから?・ 毛皮を着てチャラチャラしたのが、動物愛護団体に嫌われたから?・ アイドル気取りでプロモーションビデオを作ったから?・ 三次元BLの世界はジャッジの感性に合わないから?・ 日本の小塚選手同様、強豪国の「3番手」に仕分けされているから?邪推はできるが、理解はできない。これが、女子のフリーでキム選手と浅田選手の演技構成点の間に起こったことなのだ。キム選手の演技構成点は、また突然大幅にインフレした。浅田選手の演技構成点も高く出た。だが、その「点差」は、昨シーズンの世界選手権のときと同程度に「固定」されている。すでにそういうふうに「仕分けされている」ということ。そして、今季の採点の最大の問題点。「加点のマジック」。これが駆使されるようになったのは、加点をつける条件が増え、加点しやすくなったためだ。表向きは、「質の高いエレメンツを積極的に評価するため」だ。だが、これが点数操作に使われていることは、今回の男子でプルシェンコが勝てなかったことを見ても、キム選手のフリーの点が、またもや発狂したことを見ても、チャン選手が超常現象上げで入賞したことも、ロシェット選手が、同様のジャンプ構成で来るその他の選手と一線を画してメダリストに「仕分け」されたことを見ても明らかだと思う。キム選手のセカンドが不足気味の3ルッツ+3トゥループには、「2」などという加点がつくのに、織田選手の素晴らしい着氷の3ルッツ+3トゥループには、加点は0.6点しかついていない。こうやって加点も操作できる。素晴らしくても1に留める。素晴らしければ2にする、というように。どうも織田選手の加点はシーズン初めは普通につけて、それで「思ったより」点が高く出過ぎるものだから、シーズン後半に抑制して、調整している気がする。昨シーズンもそうだったが、織田選手の点数は、年が明けると下がってくる。あ、もちろん、試合によって出来栄えが違い、判断するジャッジも違うせいですね、はいはい。エレメンツの完成度を高めれば公平に加点がもらえるなどというのは、お題目にすぎない。加点マジックで上げてもらえるのは、特定の選手だけ。「この加点はなぜついたんですか?」などと解説者に説明を求めてるメディア関係者には笑ってしまう。仕方なく、解説者は、「スピードがある」「高さと幅がある」などと具体的かつ簡潔な説明をしているが、実際には、加点には条件があり、それをいくつ満たしたか(いくつ満たしたとジャッジが判断したか)によって操作できるのだ。たとえば、チャン選手はステップでグラついたのに、GOEで減点されていない。これも、「満たした加点要件」と「当てはまる減点要件」を勘案して、プラスマイナスゼロだと判断すれば減点しなくていいからで、別にそれ自体は規定違反でもなんでもない。演技構成点を上げるのは難しいが、努力してプログラムの完成度を高めれば、少しずつ評価してもらえる、というまっとうな話も今は昔。シーズン中、鈴木選手は常にいい演技をしたが、演技構成点はさっぱり上がってこなかった。五輪では上がったが、他の選手に比べて上がったというほどでもない。演技構成点は、急に上がったり、下がったりする。まったく意味不明だ。理解できない点数は、誰も説明できない。それだけのことをなぜか日本では誰も言おうとせず、意味不明の高得点を「完成度が高いから」で辻褄合わせをしようとするから、ファンの不信を招く。「完成」の見本がないのに、どうやって完成度を数字化し、それが正しいと証明できるのか。結局のところ主観に頼らざるを得ないものは、バイアスをかけることはいくらでも可能だ。日本女子がこれだけコケにされてるのに、当の日本人が矛盾に目をつぶって辻褄合わせに協力している姿は滑稽ですらある。韓国の態度は逆だ。キム選手がダウングレードされるのはジャッジの判定がおかしいせい。キム選手の点が思ったほど高くでないのも、ジャッジがおかしいせいだと新聞ですぐに叩く。見た目に完成度が高くて点が出る選手もいるかもしれない。だが、それを言ったら、ウィアー選手のようにめいっぱい完成度を高めても、やっぱり出してもらえない選手だっているのだ。別にファンを非難する気持ちは毛頭ないのだが、Mizumizuが多少不快に感じるのは、日本のファンのほとんどが、常に、「真央ちゃんとキム・ヨナ」だけを比べて、この点差が妥当か・不当かと、まるで二者択一マークシートの答案の正解を求めるようなメールを送りつけてくることだ。この2人にはそれぞれの強さと弱さがある。今のルールがキム選手を過剰に評価し、浅田選手の欠点を徹底的にマイナスにしてくるだけだ。ルール策定でそうなっているのだから、ジャッジはそのとおりに採点する。それにジャッジ団は事前に意識合わせをして採点するから、そこで何かしらの調整が行われる。それだけの話だ。キム選手へのインフレ点は常に異常だとMizumizuは個人的には思っている。ロスの世界選手権のときにそう言ったはずだ。だが、それに対して関係者が声をあげなければ、異常な点を認めたことになってしまう。ロスのあと、日本のスケート連盟の関係者の誰かが声をあげただろうか? ただ浅田選手に、「持っているものはキム・ヨナと変わらない。200点を出せ」と言っただけだ。そしたらどうでもいい国別対抗戦で200点が出た。今回のオリンピックでも200点を越えた。ならば目的を達成したのではないか? 「今回のオリンピックで複数のメダルが欲しい」と強化部長は言っていた。ちゃんと男子1つ、女子1つ分配されたではないか? 日本の要求は通っているのだ。今は点差が極端に出てくる。全米でアボット選手が出した点は、ライザチェック選手を25点も上回っていた。この点差が「妥当か・不当か」なんてことが言えるだろうか? ただ言えるのは、アボット選手は全米王者、ライザチェック選手はオリンピック王者になったということ。そして、私見で言えば、男子のオリンピック王者はやはりプルシェンコ以外にはなかったこと。もし、オリンピックのプルシェンコ選手を凌駕する演技をした選手がいたとすれば、それは4回転を決め、すべてのジャンプをクリーンに決め、表現力でも卓越したものを見せた全米のアボット選手の演技以外にないことだ。オリンピックで4+3を2度も完璧に降りたプルシェンコがライザチェックに負けたとき、採点についてのヒステリックなメールなど、Mizumizuのところには1通も来なかったのだ。日本選手に関しては、まだ優遇されているほうだと思う。カナダとつながりのあるキム・ヨナ選手、カナダの星ロシェット選手&チャン選手ほどではないが、もっと冷遇されている国の選手はいくらでもいるのに、彼らに対する「不当と思われる採点」に関してだって、日本のファンから1通のメールも来たことはない。女子シングルの最終順位に関しては、1位、2位には問題はない。だが、3位は別の選手だと思う。ロシェットは確かにいい演技をしたが、その下の選手たちに比べて突出していたということはない。だが、加点と演技構成点のマジックでここまでできる。彼女に失敗がなければ。プルシェンコは、試合前から「ジャッジは点をアレンジしている」と非難した。そのとおりだと思う。ところが日本では、異常なアレンジ点を見ても、あとから理屈をつけて辻褄を合わせている。変な国だ。おかしいものはおかしいとなぜ言わないのか? ロスの世界選手権で、オリンピックで起こることがMizumizuにはハッキリ見えた。案の定チャン選手も「超常現象上げ」で入賞。ジャンプの失敗がなければ、メダルまで行ったかもしれない。ロシェットも突出した部分がないにもかかわらず、3位で銅メダル。上位の2人にもっとミスがあれば、金まで行っていただろう。実際に浅田選手とロシェット選手の差はわずかだった。キム・ヨナ選手は演技構成点、それに今季つけやすくなった加点で浅田選手を圧倒する。加点の条件が増えたといっても、浅田選手に対する加点は別に上がっていない。いくらでも点は出てくる。ジャッジの総意があれば。「ISUは、勝者と敗者をコントロールしたがっているように見える」と、これまた本当のことを言ったのは、ストイコだ。プルシェンコも同様のことを言っている。 <続く>

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