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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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Figure Skating(2010-2011)

2011.07.09
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カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)

某フィギュアスケート選手が宣伝したことでおなじみの(?)アサヒスーパードライエクストラコールドBAR(銀座)。

先々週の週末、午前中に行ったときには、余裕で入れたのだが、暑さ本番になるにつれて、やはりこういう状態になったきた。

アサヒエクストラコールドバー

店の前にのびる行列。

去年の夏もこうだった。銀座の歩行者天国を歩くたびに見る、炎天下にもかかわらず長くのびた人の列。

今回も、並ばずには入れたら入ってみようと思っていたMizumizuの思惑は見事にはずれた。

特にビール党ではない・・・どころか、日本ではほとんどビールというものを飲まないMizumizu。「日本では」と書いたのは、ドイツに行くとビール飲みまくりだからだ。ドイツの黒ビール(ドゥンケル)は、本当に美味しい。

アサヒスーパードライなる商品も別に好きではない。友人に奨められて一度か二度飲んだことがあるが、まるで食事をながしこむために辛くした飲み物という、最悪に近い印象だった。「ドイツのビール」を知ってしまうと、とても買ってまで飲む気にはなれない。

ところがこのバーで飲んだビールは、確かに「去年あれだけ人が並んでだけのことはある」と思ったのだ。

たとえば歯にしみるほど、物凄く、キンキンに冷たいのかと思いきや、そうでもなかった。そして泡が細かくて繊細。苦味は冷たいせいかさほど感じない、だがビールらしい苦味もきちんとあり、全体としてすっきりとした印象で、どんどん飲める。

ツマミには辛いものが好きなMizumizu連れ合いのチョイスで、軽くチョリソーを取った。非常に辛かったが、ときに生臭いものもあるチョリソーの中では美味しいと言っていいものを出してくれた(ただし、ビールをすすませるためか、本当に辛いので、辛いものが苦手な方は頼まないでください!)。

立ち飲みバーだが、スタイリッシュなモノトーンの空間はクールで、清涼感があり、スポットライト中心の照明も凝っている。

店員はキビキビして、みな宣伝にも積極的だ。若い活気があるこういう店は、落ち着いたしっとりとした雰囲気を好む人には合わないかもしれないが、Mizumizuは十分に楽しめた。店員の接客態度にもマルをあげたい。やはり人が来る店は、店員も自信がもてるから、うまく回るのだ。

外のうだるような暑さと、熱光線のような日差しを忘れ、モダンな暗めの立ち飲みバーで少しだけくつろぐ。しかし、そこは銀座、こういったバーにありがちな、「あまりにうるさい音楽」が流れているわけでもなく、大人の街のモダニズムをきちんと押さえている。

一度は行ってみる価値のあるバー。週末は午前中に行くべし。でないと、かなり待たされることになりそうだ。

 

 







最終更新日  2011.07.10 00:33:15


2011.07.07
カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)

以前1度紹介したキャサリン・サンソムの「東京に暮す 1928-1936」(エントリーは、こちら)。

その中に「日本人とイギリス人」という一章があり、両国民に共通した精神性が紹介されている。その中で、最も興味を引いたのは、「日本人とイギリス人の共通点はスポーツ好きということです」というくだりだ。

その中で、サンソムは日本人が不正を憎み、スポーツにおけるフェアネスを非常に大切にする国民だと指摘している。

世界中で日本ほどスポーツマン精神が浸透している国はありません。日本のテニス選手は、勝っても負けても見せる明るい笑顔で欧米の観客を魅了しています。繊細な心の持ち主である日本人はスポーツを芸とみなしています。

私は日本とイギリス以外の国で、素敵な淑女や頑健な紳士が、相手が見ていない隙に、非常に打ちにくいラフの中から打ちやすい位置へゴルフボールを移すのを一度ならず目撃しました。日本人やイギリス人が絶対にいんちきをしないとはいいませんが、両国民ともスポーツをするときは真剣で、このようないんちきはめったに見られません。

こうした日本人の傾向は、今でも同じではないだろうか? テニスやゴルフで競うとき、相手に勝ちたい――それは誰もが思うことかもしれない。だが、それ以上に大事なのは、フェアに戦うことなのだ。

誰も見ていない、あるいは誰もとがめないからと言って、いんちきをしてまで勝とうとは思わない。そうやって勝っても誇りにはできない。日本では普通のことだ。

汚い手を使ってでも勝とうとし、実際に勝つ選手はどんなスポーツでもいるだろうが、そうした選手は日本では尊敬されないのだ。

スポーツの位置づけやその商業的な意味は、昭和初期と現代とでは大きく異なっている。だが、それでも、日本人の心の底にあるスポーツの理想像、フェアな環境で、フェアに正々堂々と戦い、そのうえでフェアに勝ちたいという気持ちはかわらない。

フィギュアのような採点競技、特に今のように露骨な偏向採点が公然と行われているような状況では、選手のほうは精神的な安定を保つのが大変だろう。選手は口には出さなくても、判定が試合や選手によって違うことぐらい気づいている。それどころか、こうした状況が日本人トップ選手を苦しめ、自壊寸前にまで追い詰めているといっても言い過ぎではないかもしれない。

だが、それで自壊してしまっていいのだろうか。選手にとっての問題は採点がどうこうより、いい演技ができなくなるほど「自分が乱されてしまう」ことではないだろうか。心の繊細さが、繊細ないい演技につながらず、繊細なあまり集中できないという方向に行ってはいけないのだ。

優遇採点などない――そんな理想主義は捨てることだ。そこら中でアンフェアなことがなされている。だが、自分はそうしたアンフェアな中でも乱れない、乱されない。そうした強さを自分が持つことを目指せばいいのだ。

優遇採点されている選手に勝つためには、試合で使えるほどには完成していないジャンプにまで挑戦しなければいけないのだろうか? あるジャンプを試合で入れるべきか・入れざるべきか、その見きわめは極めて難しい。だが、そのためにコーチがいる。

勝っても負けても「明るい笑顔」でいるためには、自分の中のさまざまな「不信感」を払拭して試合にのぞまなければいけない。採点競技では、それがさらに難しくなる。なるが、できないことではないはずだ。

他の選手がどんな採点をされようが、「いいじゃないか」というぐらいのおおらかな気持ちで行くべきなのだ。自分は自分なのだから。

もちろん、これは選手の立場だけの話であって、周囲はそれではいけない。フィギュアにおいて、現在、大きな試合までのお膳立ては選手の努力とは違ったところでなされている。それさえ見えないような人間は、何をやってもせいぜいロボットのように言いなりになるだけで、大きな果実を手にすることはできないだろう。これは、どんな分野でも言えることだ。

疑うことを知らず、上から「ルールです」「そういうものです」と言われればそれを鵜呑みにする。そんな愚かな人間がいかにコントロールされやすいか。他人にコントロールされれば、自分で自分の人生を切り拓いて行くことなどできないし、世の中の荒波の中にあっという間に沈んでしまうだろう。

だが、それでも、試合にのぞむ選手には、「勝っても負けても見せる明るい笑顔」や「スポーツをするときの真剣」な態度が、他国の人々を魅了しているのだということを、忘れないでほしいのだ。

ロシアでのフィギュア選手に対する態度を見てもわかる。ワールド後のエキシビションで、観客は「傷ついた祖国」への想いをこめて演じた世界女王の演技には惜しみない喝采を送ったが、「足が痛い」などといって、ダブルアクセルしか跳ばない投げやりな演技を見せた銀メダリストには、これ以上ないくらい冷たかった。五輪女王という素晴らしい冠をつけたとしても、その場の演技に気持ちが入っていなければ観客は冷めたままだ。

「伝わってこない」――藤森美恵子氏はワールド女子銀メダリストのエキシビションをそう切り捨てたが、そんなことは素人にだってわかるのだ。

別にスポーツのプロや経験者でなくても、その選手がフェアであるかどうか、真剣に何かを観る者に伝えようとしているかどうかぐらいわかる。

そういうことなのだ。

 







最終更新日  2011.07.07 15:59:37
2011.05.17
カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)
東日本大震災の被災者支援を目的にした通販企画、「浅田真央チャリティブック」の受注が好評のようだ。

こちらのニュースによれば、ネット上の口コミで広まり、発売3日で注文数は7000部にのぼったという。

期間限定、収益(利益)全額寄付のチャリティブック「浅田真央 Book for Charity」(学研教育出版)が、発売3日で7000部に達したことが分かった。
 同書は、チャリティ額を最大限にするために書店では販売せず、通販のみの期間限定販売商品。
「特にマスメディアで大きく取りあげられたわけでもなく、広告も一切打ってない状態で、この数字は予想以上。ネットで情報を見つけた人が、ネット上の口コミで広げてくれたことが大きい。本当にありがたいことです」(担当者)
 通販商品は、宣伝に大きなお金をかけるのが通常の手法。ところが、同書はチャリティ企画。「大きな宣伝費をかけるのは、はばかれた」(担当者)という。
 宣伝費をかけない限りは、購入者はやってこない。しかし、派手な宣伝はチャリティというコンセプトにそぐわない。このジレンマを解消させたのは、ネット上の「善意のリレー」だったようだ。


大手メディアも、浅田選手の足を引っ張るような報道ばかりせず、たまにはこういう企画について触れてくれればいいようなものだが、残念ながら無視されたようだ。

しかし、ネットを通じたファンの口コミで支援の輪は確実に広がっている。

テレビや新聞の「破壊的」な影響力に比べればまだまだ微々たるものかもしれないが、ネット上のfacelessな人々の善意の力も、なかなかどうして、侮れない。

「浅田真央チャリティブック」、申し込みはこちらのサイトから。5月31日まで。





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最終更新日  2011.05.17 18:01:53
2011.05.16
カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)
<続き>

ルールとジャッジングと闘うという意識を日本スケート連盟、いや日本のスケート関係者全員が持たなければ、日本にいくらいい選手がいても、結果は出ない。韓国のスケート連盟は、「キム・ヨナに不利な点が出ないようにスポーツ外交に力を入れる」と自国の選手を全面的にバックアップした。キム選手に不利な判定が出ると、メディアが一斉にその審判を叩き、しかも執念深くそれが誰なのかを忘れない。こうした姿勢を褒めるわけではない。だが、日本に一番欠けた視点であることは間違いない。

今回ショートで高橋選手のフリップにEがついた。昨シーズンまでは何も問題なかったはずのフリップの踏切がいきなり問題アリの選手にされてしまったのだ。すると「踏み切りのミスで減点された」と新聞は書く。あの明らかにインサイドに体重をかけて跳んでいるフリップになぜEなのか。そこまで言うならキム選手のフリップのほうがよほど中立に近く見える。

咋シーズン初めのジャパンオープンで、プルシェンコ選手のフリップにもいきなりEがついていた。プルシェンコが現役復帰してきても、こうやって細かいところでイチャモンをつけてジャンプを減点すれば、点は伸びてこない。

こういうE~加減な判定がどうしてまかりとおりのかについてはすでに、こちらで書いた。フリップの不正エッジであるアウトエッジで踏み切らなくてもEをつけることはできるのだ。

審判の責任逃れになり、いい加減な判定と加点・減点を助長させるようなルールは作るべきではない。

今回、若いロシアのガチンスキー選手があっさり銅メダルを獲った。ソチに向けてロシアは着々と若手選手を強化している。カナダは1人の選手だけを見定めて強化し、他の選手はどうでもいいとでも言わんばかりだ。日本だけが公平性にこだわり、選手をやたら試合に派遣して消耗させている。

高橋大輔を体調不良のまま全日本に出させるくらいなら、スピンのレベル取りのための特訓を日本人スペシャリスト総出でやったらいいではないか。だが、日本の商業主義はそんなことは許さない。高橋大輔が出ると出ないとでは世間の注目度が違いすぎ、テレビの視聴率にも大きく影響するからだ。

チャン選手はいきなり4回転を跳べるようになったわけではない。オリンピック前から「パトリック・チャンが4回転を決めたときの理想的な軌道」というビデオを作るなど、システマティックな強化に乗り出していたことは、すでに報道されている。日本はコーチの経験頼みで、結果が出ないと全部選手の「メンタルが弱い」で片付ける。

結局のところ、日本は選手強化を商業主義に頼り、カナダ・韓国それにロシアもここにきてようやく、国策として強化している。日本の場合は、試合までの期待感を高めて、値段をつり上げたチケットを売りさばき、視聴率を稼げば商業主義の目的は達せられる。だからその分、選手が思ったような演技ができなかったり点がでなかったりすると、すべて選手のせいにして叩いている。ますます日本を蹴落としたい国の思うつぼだ。高橋選手と浅田選手の二連覇に期待したファンもいるかもしれないが、採点を見れば、日本人に二連覇させる気がなかったのは明らかだ。

そもそもシーズンの採点の流れから見ても、高橋選手の二連覇は限りなく不可能になっていた。それを無視してメディアはむなしい期待を煽りつづけた。台湾では一部無料で配布されたフィギュアの観戦チケットは、日本では高騰し、さらに転売目的で買い占める人間も出ていた。日本人ファンもそろそろもっと冷静になったほうがいい。贔屓の選手を応援したい気持ちは大切だが、ものごとには常識というものがある。値段をつり上げる目的で転売されたチケットに手を出せば、さらに組織的な買い占めが幅をきかせ、チケットの価格はますます高騰し、本当に選手を応援したい普通のファンの手の届かないものになってしまう。それほどの価値が今の試合にありますか? 今回の世界選手権で、いかに採点が疑わしいものかより明瞭になってきたから、ある意味、公平な試合を見るつもりでいた日本人ファンの頭を冷やすいい薬になったかもしれない。蓮の花は美しいが、それが咲いている池はあまりにドロドロと濁っているということだ。

高橋選手の演技前に出たチャンの銀河点。バンクーバーの女子フリーで、浅田選手の演技の前に、事実上「金メダルはキム・ヨナにしかやらない」宣言も同然のとんでもない点が出たが、あのときと流れは同じではないか。ジャンプの難度をジュニア時代からほとんど変えなかったキム選手と4回転に2度成功したチャン選手を同等に扱うのは逆に不公平だし、確かに今回のチャン選手の演技は素晴らしかったが、こうした銀河点が出るに至るお膳立てと流れは同じなのだ。本当はバンクーバーでこうしたかったはずなのだ。それを阻んだのはやはり、プルシェンコの参戦だろう。あれであせったチャン選手は怪我をして調整が出遅れ、オリンピックでジャンプを失敗した。だが、その分を同じ北米勢であるアメリカがちゃんと持って行ったということだ。

キム選手とチャン選手は、ISU指定特別強化選手とでも呼ぶべき、特別扱いの選手なのだ。今回のワールドでますますそれがハッキリした。

女子の表彰式、チンクワンタ会長は台の一番高いところにのぼった安藤選手にはそっけなかったが、キム選手にはなにやらさかんに言葉をかけ、キム選手がそれで落涙するという不可解な場面が展開された。気のせいか、花束も銀メダルのキム選手に贈呈されたものがひときわ大きく、豪華に見えた(表彰式の動画はこちら)。

韓国の大韓航空とISUとの「親密すぎる関係」はすでに、IOCから警告されている。

http://japanese.joins.com/article/615/134615.html?sectcode=&servcode=

平昌招致委員会関係者が4日に明らかにしたところによると、国際オリンピック委員会(IOC)倫理委員会が平昌招致委員会に対しIOC規定を順守するよう警告を送った。大韓航空が国際スケート連盟(ISU)と交わした後援契約がIOC規定に反するというのが理由だ。一部欧州メディアの主張を受け入れたものだ。

平昌冬季五輪招致委員会の趙亮鎬(チョ・ヤンホ)委員長は大韓航空の親会社の韓進(ハンジン)グループの会長で、ISUのチンクワンタ会長が五輪開催地選定の際に投票権があるIOC委員ということを問題視した。後援契約が平昌の得票活動につながるという論理だ。平昌に対する欧州の競合都市の牽制と解釈される。


平昌招致委員会とISUとの「不適切な関係」が表沙汰になったのは、欧州メディアの報道から。こうした「(ライバル関係に当たる)他国」へのチェック機能を日本のメディアは、まったく果たさない。せいぜい日本はダメだと日本人に信じ込ませるか、自国の悪口を他国に広めるだけだ。

フィギュアに関して言えば、日本とカナダ・韓国の採点競技に対するアプローチの差を選手とコーチに埋めろというのは無理な話だ。選手がルールに対応するよう努力するのは当然だが、ルールの不備やジャッジングの不公平を指摘していかなければ、これからも同じことがくり返される。本当の意味で、日本が一丸にならなければ、いくら天才的な選手がいても、ソチではまた「メダルは一国一名様限定」の原則にそって、誰か1人がいい演技をしたら他の選手の点は「なぜか」伸びず、そして首尾よくいってやっと台の1つを「分けてもらう」という結果になりかねない。

<終わり>







最終更新日  2011.05.17 03:43:10
2011.05.14
カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)
<続き>

今のフィギュアでは・・・

1) ルールそのもののもつ問題
2) ジャッジングの不公平あるいはジャッジの能力不足
3) 選手個人の問題

は分けて考えるべきなのだ。今日本のファンの間で顕著なのは、これらをごちゃごちゃにして、すべてをシステムのせいにしたり、ジャッジの不公平採点のせいにしたり、あるいは選手個人のルール対応能力不足のせいにしたりするから水掛け論になってしまうのだ。

この3つにはそれぞれすべて問題がある。ことにワールド女子では(2)があからさまだったと思う。グランプリシリーズではあれほど評価が高く、気前よく加点「2」がついた村上選手のトリプルトゥループ+トリプルトゥループが今回は2回ともセカンドジャンプがアンダーローテーション判定でGOEも突如マイナス評価になり、点数が伸びない。あのジャンプのどこが4分の1回転不足なのか。そこまで厳しく取るというのなら、一見きれいに決まったキム選手のフリーの連続3回転のセカンドの着氷のほうがよほど怪しい。キム選手のスロー再生を見るとかなりギリギリで降りてすぐにあさっての方向に曲がっていってしまっている。

村上選手のショートのトリプルトゥループ+トリプルトゥループについて、解説の八木沼氏は、まさかアンダーローテと思わず、「高さも幅も十分」「きれいに決まった」と言ってしまった。だって、そのとおりだもん(笑)。

ところが出てきた点数を見て、村上選手は落胆を隠せない。「いつもはもっと出るのに」。得点源の3回転+3回転の回ってるとしか思えないセカンドがアンダーローテーション判定され、これまでキム選手並みに気前よくついていた加点がつかずに減点が並べば、いつものように点が出るわけない(プロトコルはこちら)。

ところで、キス&クライでの村上選手のこうした表情の率直さは、ひたすら「よい子」でいようとする、そしていなければ許されない雰囲気のある日本選手の中では異色だ。ある意味で、彼女の自分の感情に対する素直さは日本人離れしている。バッシングするファンもいるかもしれないが、それにメゲず、これからも自分を隠さないで欲しいと思う。それが彼女の身体から湧きだしてくるようなエネルギッシュな表現力につながっていると思うからだ。

フリーでも同じくセカンドのトリプルトゥループはアンダーローテーション判定。この判定を見て、次に起こるであろうことがMizumizuには予想できた。「こういうことができるから、こういうことをしてくるだろう」と書くと、素直に(苦笑)そのとおりのことをしてくる、実に単純なジャッジの順位操作。彼らが次にやることは?

「浅田選手のトリプルアクセルを、きれいに回っているとしか思えなくてもアンダーローテーション判定する」。

その下地はできたと思う。去年、浅田選手のトリプルアクセルが認定されなかったのは、垂直跳びに近い幅のないジャンプで、回りながら降りてきてしまう傾向が強かったからだと思う。実際には、回っているように見えたジャンプもしばしばダウングレードの餌食になった。オリンピックで3度のトリプルアクセルが認定されたのは、むしろ判定が、それまでのキチガイじみたダウングレート判定の基準に比べれば甘かった(というよりもマトモだった)からだ。

だが、バンクーバーの女子でも、全員に甘かったわけではない。フリーのフラット選手(アメリカ)に対するダウングレード判定だけは、奇妙なほど厳しかったのだ。すでにそういう「実績」があり、誰も問題視していないし、今回のワールドの女子でも、完全に回転が足りずに、だからこそ転倒したコストナー選手の3Fを堂々と認定し、回ってるとしか思えない村上選手のトリプルトゥループを回転不足にする。これだけの判定をしてくれたのだ。今度もっとあからさまな不公平判定が大手を振ってまかりとおっても、不思議ではない。

今回アンダーローテーション判定された村上選手のセカンドのトリプルトゥループは、まさに解説の八木沼氏が言ったように、高さもあり、幅もあり、流れもあった。それでもアンダーローテーション判定できるのだ。そして、それに対して日本のスケート関係者は、誰も異を唱えていない。だったら、たとえ浅田選手が幅のあるトリプルアクセルにジャンプを改良したとしても、同じ判定をされても不思議ではない。もうISUは先回りしているのだ。

浅田選手のトリプルアクセルがなかなか認定されないとなれば、他の世界中の選手は大助かりだ。なんだったら、年に1度か2度、認定してあげてもいい。ちょうど彼女のセカンドの3ループに対してやったように。そうすれば、日本のファンは期待してまた試合を見てくれるだろう。視聴率も取れてテレビ局もバンザイだ。たとえ限りなくクリーンに跳んだとしても、認定されなければ、単に「浅田選手の失敗」にして、浅田選手を「精神力が弱い」「トリプルアクセル頼みの選手」などと叩けばいいのだ。

安藤選手を優勝に導いたモロゾフが今回やったのは、徹底した「減点対象になりうる可能性のあるジャンプの排除」だったのだ。セカンドのトリプルループはまず認定されない。フリップもしばしば回転不足判定されてきたし、エッジももしかしたら狙われるかもしれない。だから、これらを入れず、フリーでは加点をしぶっても、ルール上間違いなく10%増しになる後半にジャンプを固めたのだ。ジャンプの難度を落としたから、全体に余裕が出来る。安藤選手の自信に満ちた余裕のある演技は、ジャンプにほとんど不安がないからできたものだ。

こうしたジャンプ構成(安藤選手はもっと高いレベルのジャンプ構成を組める選手だ)がスポーツとしてどうかという議論は常にある。だが、ここまで回転不足を恣意的に厳しく取るとなると、好意的採点が必ずしも期待できない選手は、安藤選手のような闘い方にせざるを得ないのだ。それはまた、ルールとジャッジングの運用の問題に絡むのだから、「ここまで不毛に厳しく回転不足判定を取っていたのでは、女子を萎縮させ、スポーツの発展を妨げる」という論旨でジャッジの側に改正を迫るべきなのだ。こんなあからさまな不公平採点の中で、なんでもかんでも、選手に「乗り越えろ」というのは間違っている。

話を村上選手に戻そう。

日本の若手が快進撃を始めると、グランプリファイナルまでは割合好意的な点が出る。2008/2009シーズンの小塚選手のときもそうだった。ところが年が明けて大きな国際試合になってくると、「ジャッジが点を出してくれなくなる」のだ。村上選手で、また同じことをされただけだ。Mizumizuも実はグランプリファイナルまでの村上選手に対する点は、「出過ぎ」だと思っていた。だが、それは村上選手がそれに値いしない悪い選手だと意味ではない。彼女は素晴らしいダイナミズムをもった選手だが、まだまだ荒削りだし、なんといっても姿勢が汚い。その選手に奇妙なほど気前のいい点が出てくる。これまで散々思惑採点をくり返してきた信用ならないジャッジたちが、どうして日本の若手にそうも好意的なのか。

日本人ファンの期待(たいていは、むなしい期待に終わることになるのだが)を高めようとしているだけではないか。そんなふうに思っていたのだが、案の定だった。こんなわかりやすい茶番に、なぜ気づかず、日本人が村上選手を過剰に持ち上げたり、逆に優遇採点をされている(多くは浅田選手を下げるために、村上選手を上げているといった憶測からだが)といってバッシングしたりするのか。日本人がそうやって内ゲバ状態になり、ある日本人選手が好意的な点をもらうと別の日本人選手のファンがヒステリーを起こすようでは、ますます「国外の敵」の思うつぼではないか。

強すぎる日本を誰も喜ばない。スキーのジャンプや複合で日本が世界一になったとき、欧米各国がどういう手を取ってきたか。それを思い起こせばわかるはずだ。スキーなんかよりよっぽど商業価値のあるフィギュアで、同じことが起こらないと思いこむほうが愚かなのだ。

そして、キム・ヨナ選手。

今回、失敗した連続ジャンプでも減点されなかったり、「どのくらいのレベルがもらえるか、いきなりではわからない」(本田武史談)はずのスピンのレベルもいきなりオールレベル4を揃え、「軸がぶれていた」と識者に指摘されながらも世界が認めるスピンの名手シズニー選手に匹敵するか、ときには凌いでしまうほどの加点をふるまわれたりと、一人だけ別格の好意的採点をされたキム選手(浅田選手のスピンに対する加点のしぶさとは対照的だ)を、安藤選手が破ったことは素晴らしいの一言だ。だが、点差はわずかで、キム選手がサルコウのあとに2回転だけでもつけていれば勝てなかった。安藤選手が優勝したことで、またもルールとジャッジングの問題点が見えなくなるかもしれないが、おかしな採点はおかしな採点として批判し、改善を求めていくべきなのだ。


スピンのレベル判定は、今シーズンは最後まで怪しかった。咋シーズンは最後にレベルを「4」に揃えられた男子の世界王者は今季は「なぜか」シーズンをとおしてサッパリ対応できない。ジュベール選手はヨーロッパ選手権のときには取れていたレベルをワールドではガタガタ落とし、アモーディオ選手もワールドではヨーロッパ選手権のときよりレベルを落としているのに、地元のガチンスキー選手は、「なぜか」フリーでレベルをヨーロッパ選手権より上げて揃えることができた。

http://www.isuresults.com/results/ec2011/
http://www.isuresults.com/results/wc2011/


来季はまたスピンのレベル取り条件を変えるらしい。一体何のために、そうもコロコロとルールを変える必要があるのだろうか。こういうことをするから「疑惑隠しでルールを変えている」と言われるのだ。

今回のワールド、浅田選手のジャンプが回転不足だったのはスローで見ればそのとおりだが、なんとまあ大胆にもダウングレード判定の嵐だ。「またあのスペシャリストか」と、少し詳しいファンなら思っただろう。

浅田選手に関しては、特に上にあげた3つの問題点をごちゃごちゃにして、どれか1つのせいにしてしまう傾向がファンの間で顕著である気がする。メディアはと言えば、全部浅田選手の「不調」のせいにして片付ける。どちらの態度も正しくない。

浅田選手のジャンプの強みとは? 多彩で高難度のジャンプを跳べることだ。トリプルアクセルもセカンドのトリプルトゥループも転倒することはほとんどないのだから、別に無理なジャンプに挑戦しているわけではない。ほぼ跳べているジャンプだと言っていい。では浅田選手のジャンプの弱みとは? それは回転数を上げたとき、あるいはジャンプを連続にしたときの回転不足問題だ。

セカンドに2ループをつけただけでファーストがやや怪しくなる。セカンドにトリプルトゥループをつけられるのは、それだけで凄いことだが、これもクリーンに降りて来られない。だから、今のように回転不足を(ときに)転倒以上の減点にされてしまうルールでは弱いのだ。しかも、今回のように安藤選手の調子がいいと、浅田選手に対する採点は余計に厳しくなる(浅田選手が調子がよければ、逆に安藤選手の点が伸びない)。そんなことはここ数年の試合を見ていれば、普通気づくだろう。

ところが、「あなたに対する採点は厳しいのでは?」と浅田選手に面と向かって聞いたのは日本人ではなく中国の記者だった。

ヨーロッパの選手は自分への回転不足判定が気に入らないと必ず声をあげる。コストナー選手やジュベール選手は好例だろう。だが、日本は? 誰も何も言わない。疑問も呈さない。だからやりたい放題にやられている・・・今回のワールドはMizumizuにはそう見えた。

<続く>






最終更新日  2011.05.15 02:00:36
2011.05.10
カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)
<続き>

その差が妥当か妥当でないかなど、水掛け論にすぎないが、せめてショートでの差がもっと縮まればフリーは、見ているほうにもさらにエキサイティングなものになる。フリーをやる意味がないような点差をショートでつけられてしまうのは、選手にとっても酷だ。新システムはフリーでの大逆転が可能だという触れ込みで、実際に初期にはそういうこともあったが、今はフリーの演技構成点になると、ショートでのメダル仕分け選手と下位の選手は差がさらに広がってしまうから、メダル仕分けされていない選手の逆転はほとんど不可能になってしまった。

今回小塚選手が6位から大逆転などと言っているが、ショートの総合得点は4位のガチンスキー選手が78.34、6位の小塚選手が77.62、7位のブレジナ選手が77.50と、ほとんど団子状態だった。2位の織田選手との差にしても4点あまり。このぐらいの点差ならひっくり返っても「大逆転」とはいえないだろう。

演技構成点も、本当は1位と2位が0.25点差でもいいはずなのだ。接近する実力差をより客観的に正確に反映させる・・・そのために細かくルールを規定したのではないのか。こんなに圧倒的な点差が世界のトップスケーターの間につくほうが不自然だ。ところが、恣意的に点差をつけないと、それこそこのシステムが本来目指したように、「誰が勝つかわからない」試合になってしまう。それがはなはだ不都合な人たちがいるということなのだ。

こうした得点操作はほとんどの国の人間が認識している。審判は公平などという神話にしがみついているのは一部の日本人ぐらいだろう。いや、さすがにここまで来ると、もうわかったかもしれないが。

今回ロシアの観客の反応は、非常にクールだった。自国の選手は熱心に応援するが、そのほかには興味がない。

以前ロシア大会でジャッジに対して、キノコのイラストを掲げているロシアの観客もいた。これは、呆れた点数が出たときに、ロシアの解説者が、「ジャッジは毒キノコを食べて変になっていたのでは」と言ったことに由来する。おかしいと思ったことは批判する。それは言論の自由が保証された世界では当然のことだ。

日本にはこうした批判精神があまりに欠落している。去年までは「完成度」だといっていたのが、転倒しても誰も勝てないほど強い今年のチャン選手へのバカバカしい銀河点をみて、「ショートから4回転を入れないと勝てない」と思い込んでいる。ショートから4回転を入れて決めたプルシェンコが勝てなかったバンクーバーはたった1年前のことだ。

モロゾフはこうした日本人の単純な「筋肉能」をあからさまに馬鹿にした。

http://www.youtube.com/watch?v=T43J5xT9O-Y

フィギュアに詳しい日本人なら、このモロゾフの鼻高々のセールストークを聞いて、「また吹いてるわ」と苦笑いを浮かべるだろう。だか、よく事情を知らない世界の人々(そのほうが圧倒的多数だ)は、素直に納得してしまうものなのだ。

モロゾフは安藤選手について決してマイナスのことは言わない。自信ありげに振る舞い、結果が出たら、あたかも当たり前のことが起こっただけというような顔で、選手の素晴らしさと自身の能力を大いに宣伝する。もちろん、その成果を導くための地道な努力も怠らない。安藤選手は姿勢がよくない選手だった。それが今回、この動画で切り取られたどの演技場面を見ても、背筋がピシッと伸びて美しい。

モロゾフのこういう態度は、ビジネスの世界でも大切だ。Mizumizuが彼を評価するのは、Mizumizuが日頃見ている、インターナショナルなシーンで成功しているビジネスマンと共通するものを彼が持っているからだ。

4回転2度入れて勝てるなら、2種類のクワドを跳ぶレイノルズ選手がとっくにチャン選手に勝っているはずだ。ところが、彼は技術点でチャン選手に匹敵する点を出しても、演技構成点で圧倒的な点差をつけられ、オリンピックに行けなかったではないか。

同じことを小塚選手に対してしているだけだ。チャン選手と小塚選手の演技構成点の点差がおかしいと言っているのは、外国の元有名選手だけ。日本人でそう批判する元有名選手は皆無だ。そもそも小塚選手のフリーは技術点ではチャン選手以上の点を出している。それをやみくもにジャンプの回転数をあげたら、どうなるか? 他のエレメンツに力を配分できなくなり、表現もおろそかになる。せっかくここまで表現力を磨いてきたのに、また「ジャンプで勝とう」とするのか。それは自滅への道だ。

日本選手は口では、「自分との闘い」と言いながら、結局ジャンプの難度でライバルに勝とう勝とう躍起になる傾向がある。そうやって自分を見失う。高橋選手に勝てそうなチャンスが巡ってくると、自分でジャンプを跳びすぎて自滅する織田選手などはその典型だ。選手はどこまでも自分の世界を構築し、完成させることを考えるべきなのだ。ジャンプはその要素の1つにすぎない。

小塚選手の欠点とはなにか? それは試合によって出来にムラがありすぎることなのだ。トリプルアクセルもやっと安定してきたところ。4回転もようやく決まり始めたところ。だから、小塚選手の目指すべきは、やみくもに回転数を上げることではなく、安定した演技を何度でも披露し、ジャッジにその力を見せつけることなのだ。それは安藤選手が今シーズンやったことでもある。

高橋選手の欠点とはなにか? それはスピンの弱さと3回転+3回転をやったときのセカンドジャンプの回転不足問題だ。世界最高得点を出したころに比べるとジャンプの能力は残念なら低下している。年齢的に見てもそれは仕方ない。現実に目をつぶって夢のような理想を追いかけるのは賛成できない。怪我のもとではないか。高橋選手はもともと夢想的な性格の持ち主で、それがあの天才的な演技につながっているのは間違いない。だが、そのロマンチシズムはときに現実から遊離する。選手をつづけるなら、その部分を周囲の誰かが補わなくてはいけないだろう。モロゾフのような父権的な性格でなくとも、兄貴的な性格で彼を支える献身的な人材が必要であるように思う。そして高橋選手にしか表現できない音楽との深い一体感をもっと極め、エレメンツでの減点を防ぐ方向で地味に努力してほしい。たとえイチャモンのような判定でも、他の選手には甘くても、指摘された欠点は欠点。改善する努力はするべきだ。

選手がジャッジを敵視したり、疑いの目で見たりするのはよくない。スルツカヤ選手がトリノでいい演技ができなかったのは、「また勝たせてもらえないのではないかと思った」せいなのだ。観衆に理解してもらう努力をするのと同じ姿勢で、ジャッジにも自分の想いを届けるよう心をこめて演技すべきだ。たとえ、それが自分をひどく嫌っていると思うようなジャッジであっても。

ジャッジが「きのこを食べてヘンになっている」ことは、ロシアだけではない、世界中の少し詳しいファンならもうわかっているはずだ。こういう状況で選手にとって一番大事なのは、点が出ないからといって自暴自棄にならないこと、過度なプレッシャーを自分にかけないこと、できもしないジャンプ構成に「挑戦」して、プログラム全体を穴だらけにしないこと。つまり、精神的につぶれないことなのだ。

自分にしかできない表現で観客を魅了する演技をする。その目標に向かって努力し、観客から喝采を浴びれば、それだけで十分選手の喜びになるはずだ。チャンが300点出そうと、放っておけばいい。ああやって高下駄を履かせれば履かせるほど、人気は落ちていく。

今のフィギュアの一番の癌は、勝たせたい選手に合わせてコロコロ指針が変わるルールとその運用だ。その結果だけを見て、選手に「対応しろ」と責任をかぶせるのは間違っている。ルールおよびジャッジングへの働きかけは選手強化と同時に、別のルートでやらなければダメなのだ。ところが今は日本のジャッジは、日本選手に厳しい判定が出ると、それを国内大会でマネっこする。それでは日本をなんとか牽制したいISUの思惑どおりではないか。

強化部長は、「伊藤みどり時代に有力選手が1人しかいなくて失敗したから層を厚くした」と自慢げに言うが、その結果、メダルは一国一名様になってしまって、1人の日本選手がいい評価をもらうと、同時に出た他の日本選手の点は伸びない。まさに、ジョニー・ウィアーがオリンピック後に話したとおりの結果になっている。

<続く>






最終更新日  2011.05.10 20:37:19
2011.05.02
カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)

読者の皆様へ

前回のエントリーについて、温かなメッセージを多くいただき、驚くとともに、感謝いたしております。大変励みになります。「同じ真央ファンとして恥ずかしい」というご意見もいただきましたが、真央ファンの行為かどうかわからないのが魑魅魍魎なのです。狂信的な真央さんファンを装って煽り工作をしてくるおかしな人種もいます。背景まではわかりませんが、送信主はきちんと追跡しておりますので、どうぞご心配なく。今後もマイペースに更新して参りますので、よろしければお気軽に覗きにきてください。Mizumizu

<本文>

1年以上前のエントリーでMizumizuは、「演技構成点は、まだまだ上げることができる。今出ている9点台前半を9点台後半にしていけばいいだけだ。世界最高レベルの選手になら、別に9点台の後半を出したっておかしくない・・・ その一方で、落としたい選手はできるかぎり差をつけて(異常採点にならない程度に)低い点をつける。5つのコンポーネンツの点を足す演技構成点の総得点で、ジャンプ1つ分の差がでても選手にとっては大きな痛手だ。

このまま放置したら、どんなフランケンシュタイン世界最高得点が出てくることやら・・・ こうやって、これまで慣習的にあった「ガラスの天井」を引き上げることで、唯一客観的な基準であった「基礎点」をないがしろにして、主観による順位操作がより容易にできることになった。これもロスの世界選手権で予想したとおりだ」と書いた(こちら)。

チャン選手の演技構成点のつりあがり方は、まさにこの予想どおり、いや9点台の後半どころか、今回は10点を出したジャッジまでいたのだから、予想以上の露骨なやり方だ。「300点おねだり」に答えるために、ずいぶんジャッジは頑張ったようだ。こういうことができるから、こうやってくるだろうと書くと、その通りのことをしてくる。実にわかりやすい人たちだ。

チャン選手は4+3と単独4Tをフリーに入れているから点が上がるのだと言う人が入る。それだったら、浅田選手の演技構成点が上がらなかった理由は何だろう? 男子トップ選手なら4回転は跳べる。だが、女子のトップ選手でトリプルアクセルを跳べる選手はいないのだ。だから女子の3Aのほうが男子の4Tより価値が高いハズだ。しかも、それを浅田選手は2回入れた。その浅田選手を日本人は賞賛しただろうか? ただ、結果を見て叩いただけだ。今度のチャン選手の4回転2度の持ち上げぶりときたら呆れるくらいだ。そんなことを大げさに持ち上げるなら、全盛期の本田武史のジャンプを讃えるべきだ。

浅田選手はジャンプを失敗するので、いくら高難度のジャンプを構成に入れても、名画に穴があいたようなものになる。だから、演技構成点が上がらない・・・などと説明しているメディアもあったが、それならトリプルアクセルで吹っ飛んでしまったチャンの演技構成点になぜ満点である10点がつくのか。

一貫性のないジャッジの行動を場当たり的に辻褄合わせしようとするから、どんどんほころびが出てくる。

今シーズン、チャン選手の演技構成点をどうやってつりあげたか、その華麗なる(苦笑)軌跡を見てみよう。

今季は最初から、演技構成点はチャン・高橋が2強の金メダル仕分けで、他の選手とは別格の扱いだった。

これが日本ファンの間に亀裂を生む。高橋選手は人気がある。ファンも多い。ファンというのは贔屓選手が「審判にエコヒイキされている」とは思いたくないのだ。だから、チャンの点は高すぎるが、高橋選手の点は妥当・・・と思いたい。

だが、これほど変な採点をするジャッジが、なぜ高橋選手だけ妥当に評価できるのか。高橋選手の表現力が圧倒的だから? それならば、シーズン通して、彼は金メダル仕分けの演技構成点をもらいつづけたはずだ。

ところは実際にはそうはならなかった。

高橋選手の演技構成点の軌跡をたどってみよう。

NHK杯 83.58点(1回転倒)→アメリカ大会85.00点(1回転倒)→グランプリファイナル81.00点(2回転倒)→4大陸82.86点(1回転倒)→世界選手権82.08(1回転倒)

ご覧のように、実はアメリカ大会が最高で、そのあとは下がっている。完成度でいえば、4大陸はよかった。4回転は決まらなかったが、「ジャンプの失敗を切りはなす」のなら、アメリカ大会より点が出てもいいはずだ。アメリカ大会では、高橋選手が思わず、「85って・・・」と驚いている声が入った。出来がさほどよくないのに、ここまで好意的によい点をもらえていたのに、ファイナルでケガもあって本領が発揮できないと、いきなり下げられ、そのまま最後までアメリカ大会の点には届かなかった。

一方のチャン選手。

ロシア大会(3回転倒)81.30点→カナダ大会(1回転倒)84.14点→グランプリファイナル87.22点→世界選手権91.52点

オリンピックはチャン選手が82点、高橋選手が84.5点。わずかながら高橋選手のほうが上だった。ところが今シーズン、アメリカ大会で高橋選手の点が上がると、それを追いかけるようにチャン選手の点がインフレする。これではカナダ大会でのチャン選手の点をつりあげるために、アメリカ大会でいったん高橋選手の点を上げたようなものだ。アメリカ大会高橋選手、続くカナダ大会でのチャン選手の点数を見てMizumizuはそう思ったのだが、案の定ファイナルで2人の立場は逆転し、チャン選手が6.22点もぶっち切った。

チャン選手のいない4大陸でも高橋選手の演技構成点が上がらなかったから、事実上これでチャン選手が「演技構成点、独走状態」に入ったのだ。高橋選手はもともと技術点が悪い。エッジで去年まではなかったフリップへのEや、ルッツのEがつく。スピンはレベルが取れない。

チャン選手に匹敵する技術点を出せる小塚選手は、高橋選手・チャン選手と同じ試合に出ると、演技構成点でチャン選手と10点近く差が出るのが「お約束」だ。ということは? もう誰も勝てない。チャン選手がそれこそ3回ぐらいコケてくれなければ。しかし、ヤル気満々のチャン選手は世界選手権で会心の演技をする。そして、91.52点というとんでもないフランケンシュタイン点が出て、高橋選手に10点近い差をつける「モンスター」になってしまった。

 

では、小塚選手は?

中国大会74.70点→フランス大会80.80点→グランプリファイナル77.64点→4大陸(1回転倒)75.08点→世界選手権82.26点

最初と最後で7.56点も上がっているから、かなりインフレしているように見える。だが、よく考えてみよう。現在の採点は点をつみあげて勝敗を競うように見えるが、実際はどのくらい点差をつけていくかの競技なのだ。

シーズン初めは6.6点だった小塚選手とチャン選手の演技構成点の差、グランプリシリーズ2戦では3.34点差にまで縮まったこの2人の差は、世界選手権では9.26点と、むしろ広がっているのだ。

世界選手権のフリーのメダル仕分けときたら、笑ってしまうくらい単純だ。

「絶対に金メダル」仕分け  チャン選手91.52点

銀メダル仕分け   小塚選手82.26点 高橋選手82.08点

高橋選手がアクシデントで出来が悪かったため、急きょ同じ日本選手を銀メダル仕分けにグレードアップしたようだ。よっぽど慌てたらしく、高橋選手とほぼ同点を横滑りさせるというお粗末ぶり。チャン選手と小塚・高橋選手の点差は、ちょうどチャン選手が苦手なトリプルアクセル1つ分なのだ。ああ、わかりやすすぎる。

技術点の出来によっては、もしかしたら銅メダル仕分け 織田選手78.44点、ガチンスキー選手77.86点(ロシア)、アモーディオ選手 77.06点(フランス)

ロシアとフランス1番手仕分けの若手が、なんとまあ、またもほとんど同じ点。

この下になってくると、「メダル圏外仕分け」ラインがくっきりだ。75点ラインがメダル候補とメダル圏外選手の間に引かれている。ジュベール選手がそのライン上にいる。

ジュベール選手75.58点、ブレジナ選手74.92点、ドーンブッシュ選手73.64点

 

女子のほうも、似たようなものだ。

金メダル仕分け キム選手 66.87点 (ただ1人だけ65点越え)

銀メダル仕分け 安藤選手 64.46点、コストナー選手64.63点

なんとまあ、日本の一番手仕分けの選手とヨーロッパの1番手仕分けの選手が仲良くほぼ同点なのだ! 素晴らしい偶然!!

技術点の出来によっては、もしかしたら銅メダル仕分け レオノワ選手61.82点、シズニー選手61.13点、マカロワ選手60.08

ロシアの女子選手が、現世界女王以上の点を出している。ロシアの女子選手って、今シーズンそんなに実績ありましたっけ? しかも、ロシア1番手とアメリカ1番手の選手の点が、またもきれいに横並びなのだ。

ここから下は「メダル圏外仕分け」。60点ラインが引かれている。そのライン上にいるのがマカロワ選手だ。

浅田選手59.94点、コルピ選手58.06点

村上選手56.62点。フラット選手は去年までの実績など考慮されないらしく、村上選手より露骨に低い点をつけられている。

なぜ浅田選手の演技構成点が60点に届かないのか? 今回はメダル仕分けが安藤選手だったから、浅田選手にはメダルはこない。だから60点ラインの下なのだ。ああ、こんなこじつけ説明が、なぜかぴったりはまってしまう。

今回安藤選手が勝てたのは、この仕分けの差が2.5点以下と小さかったためだ。もっと露骨に点差をつけられていたら勝てなかった。キム選手はブランクもあり、中盤以降かなり疲労が目立ったようにも思ったが、そんなことはおかまいなしに世界トップの演技構成点を出している。ただ、今回は何かの理由で点差を広げることができなかったというだけ。もっと点差をつけることだってできるのだ。そうすると、ジャンプミスがあっても、「圧倒的な表現力」で勝ったことになるというわけだ。

ほぼ同点の選手がなぜかこんなにも都合よく配分される。そのくせ「グループ」ごとの点差は明確に開いている。メダル候補と圏外の仕分けラインもくっきりだ。実にわかりやすすぎる。高橋選手と小塚選手がほぼ同点とか、ガチンスキー選手とアモーディオ選手がほぼ同点とか、安藤選手とコストナー選手がほぼ同点とか、レオノワ選手とシズニー選手がほぼ同点とか、あまりにミエミエではありませんか。これを国別配分といわずして何と言おう。

以前引用したソニア・ビアンケッティ氏のエッセイで、彼女は、「トップスケーターが転倒すれば、それを救うためのシステムを作るだろう」「これが客観的なシステムだなどと、私はまったく信じられない」と書いている。今の採点は、勝たせたい選手を勝たせることのできるシステムなのだ。オリンピックで審判を務めたほどのフィギュア界の重鎮が、ここまで明確に批判している。

客観的な規準をもうけながら、それを隠れ蓑に主観点で順位を操作する。今回はシズニー選手以外のアメリカ選手の点が伸びないのが気にかかった。「まあ、アウェイ中のアウェイ、ロシアだし。今回アイスダンスは北米にメダルが多く配分されるし・・・」というところか。

キス&クライで落胆の表情を浮かべるアメリカ選手・・・ 日本選手のほうが評価されているのはありがたいが、それにしてもショートでここまで差がついてしまっていいものか。

<続く>







最終更新日  2011.05.03 04:41:41
カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)

フィギュアスケートのエントリーを続けるとやってくる嫌がらせメールについては、だいぶブロガーの間に広まっているようだ。昨日の安藤選手に関するエントリーをあげたところ、さっそくなにやら勘違いしたらしい御仁からの支離滅裂のメールが届いた。

2011年05月02日15時37分
From: なつきさん

あなたは選手よりえらいのですか?
スケート連盟の人なのですか?
あなただって選手の演技によって楽しませてもらっている身分でしょう。
楽しませてもらっていながら楽しくない時は文句ですか

あなたは浅田選手の成績が振るわないと損害を受けるスポンサーなのですか?
浅田選手に何千万円のスポンサー料を払っているのですか?
それならわかります。
スポンサーと言うものは選手の成績に期待をしているのですから成績が落ちれば選手に文句を言う権利はあります。

でもあなたは1円だって浅田選手にスポンサー料を払っていないのでしょう。
何か浅田選手のためになることをしているのですか。
それなのに随分上から目線ですね。

あなたのエントリーはスポンサーが書くことで
スポンサーでないあなたに書く権利はありません。

 

浅田選手のことには一言も触れていないエントリーで、勝手に激怒している。論旨はめちゃくちゃで幼稚な文章だが、言いたいことはわかる。「あんななんかが書くな」ということだろう。「楽しませてもらっている身分」だから何も言うなということらしい。「身分」とはおだやかではない。ずいぶんと侮蔑的な表現だ。

スポンサー料を何千万払ったら、何かを言う権利が生じ、お金を出さない人間には何かを言う権利はないというのなら、カネがすべてになり、民主主義は成り立たない。連盟の人間なら言ってもいいが、連盟の人間以外は言ってはいけないというのなら、組織に属さない人間には何も発言権がないことになってしまう。何をどう誤読してヒステリックになったのかは知らないが、感情的になる前に、言論の自由とは何か、民主主義とは何かの基本を学ぶことをお奨めする。

我々は言論の自由の世界に生きている。これは非常に大切な権利だ。「身分」を持ち出して、「あなたに書く権利はない」などと、脅迫めいた言葉で、誰しもがもっている言論の自由の「権利」を封じようとするのは、批判の範疇を超えた言論妨害であり、法的にも問題がある。

誹謗中傷や名誉毀損に当たらない限りは、誰しも何かを賛美したり批判したりする自由は保証されている。誹謗中傷や名誉毀損にあたると考えるなら、当の本人(周囲ではない、言われた本人だ)がアクションを起こす権利がある。それが言論の自由の世界の中で秩序を保つための法律というものだ。

スポンサーでない人間には書く権利がないなどという飛躍した暴論を送りつける前に、世の中の常識を学ぶべきだろう。

実際にはこうした意味不明の嫌がらせメールよりも激励のメールのほうがずっと数が多い。割合でいえば、9.5対0.5程度だ。

批判なら堂々とすればいいし、自分でブログをもって自分の意見を筋道立てて主張すればいいようなものだが、しかし、「なぜか」こうしたメールを送りつけてる人は、自分の身元がわからないように姑息な算段をする。メールアドレスを入れなかったり、IPアドレスのわからない携帯メールから送ったり、フリーメールを使ったり。実にご苦労なことだ。

だが、携帯からであっても、アクセス記録とメール送付時間で、ちゃんとどこの携帯会社から送られてきたのかはわかっている。フリーメールには運営業者がいる。もちろん、こちらはすべて記録をとり、あまりに何度も同じ人間が嫌がらせを繰り返すようなら法的手段を取る準備は整えている。

実際に、時間を置いているとはいえ、こうした嫌がらせメールを送ってくる人間はMizumizuが記録をとったところ、たったの5人なのだ。繰り返しこの5人が別人になりすましてハンドルネームを変え、支離滅裂なクレームレターを送りつけてくるのだ。たがかフィギュアのエントリーで。実に不思議な現象ではないか。

最近はネットでの嫌がらせ行為がエスカレートしている関係で、通信会社も情報開示には積極的になっている。こちらとしては、証拠を集めているといったところだ。

フィギュアのエントリーをあげているブロガーでこうした被害に遭っている方は、どうぞご一報を。情報交換には応じるつもりでいる。







最終更新日  2011.05.03 23:19:20
2011.05.01
カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)

<続く>

加えて、回転不足をやたらと派手に減点する現行の狂ったルール。すでにオリンピックの2シーズン前から、Mizumizuはこれを「安藤・浅田には勝たせないぞ」ルールだと言ってきた。荒川、安藤、浅田と女王が続いたあとに、急にルール運用がどうかわり、誰の点がいきなり下がり、誰がいきなり強くなっただろう? 考えればすぐにわかることだ。

4年前に世界女王になったときの安藤選手の強みは何だっただろう? 明らかにトリプルルッツ+トリプルループの高難度ジャンプだ。浅田選手のほうはトリプルフリップ+トリプルループをもっている。キム・ヨナ選手と当時強かったコストナー選手は、ハイスピードからのトリプルフリップ+トリプルトゥループをもっていたが、基礎点の高いループをセカンドにもってこられる日本女子に対して、彼らはもともと不利だったのだ。

ところがルールの運用がかわって、セカンドのトリプルループがまったくといっていいほど認定されなくなった。見た目にきれいにおりているのに、わずかに回転が足りないといってダブルループの失敗の点にされてしまう。キム選手(そして、あの連続ジャンプを維持できていれば)コストナー選手にとっては、目の上のタンコブがなくなったようなものだ。

こんな非常識なルール運用をゴリ押ししたのだ。これで安藤選手のセカンドの3ループは武器どころか減点対象になり、あれほど心血をそそいた4サルコウも使えなくなった。

天才ジャンパーが両翼をもがれてしまったようなものだ。

コーチのニコライ・モロゾフはルールを厳しく批判する一方で、ルール対応も怠らずに指導した。スピンやステップに傑出したものがあったわけではない、それどころか肩の負傷でビールマンポジションが取れなくなり、レイバックスピンのレベル取りには非常に不利な状況になってしまったにもかかわらず、ポジションをさまざまに工夫して対応した。

今季、E判定がずいぶんといい加減に猛威を振るって、「最高日本男子」の加点を抑えはじめると、安藤選手のプログラムからはフリップが消えていった。安藤選手はエッジを矯正したフリップだけは、回転不足になりやすい。エッジの違反は取られたことはないが、かなり中立に近く、昨シーズン前半まではエッジ違反を取られなかった日本男子がどんどん取られている様子を見れば、いつつけられてもおかしくはない。

過去のエントリーでも書いたように、Mizumizuは織田選手のルッツを心配していたのだが、案の定、カナダ大会のあとに連続してつけられていた。こういうことが安藤選手のフリップに突然起こっても不思議ではない。

フリップを抜いても、安藤選手にさほど不利にならなかったのは、ルール改正でフリップの基礎点が下がり、ほとんどループとかわらなくなったことだ。安藤選手はルッツが得意だ。フリップの点が下がったということは、フリップ頼みの浅田選手には不利だが、ルッツが得意な安藤選手には有利なのだ。

キム・ヨナ選手はエッジの問題を指摘されてから、ややフリップが不安定になった。今回もフリーでフリップが完全に抜けて1回転になってしまった。浅田選手は苦手意識のあるサルコウジャンプが同様にパンクして1回転に。この2人のトップ選手は、この失敗があまりに多い。

安藤選手にあの失敗(3回転を跳ぶつもりで行って、完全にジャンプが抜けて1回転になる)は、ほとんどない。3回転でタイミングが合わなそうなら2回転に抑えることができる選手だから(というか、トップ選手はふつうそれはできるはずなのだが、ことキム選手と浅田選手については、トップ選手の資質がこの部分についてだけ備わっていない)、3回転予定がいきなり1回転の点になってしまうという致命的なミスはほとんど起こさない。

その安藤選手に対する一番の脅威。それはやたらと日本女子とアメリカ女子には厳しい(ように見える)回転不足判定だ。

日本女子とアメリカ女子には厳しい(ように見える)というのは、別に思い込みで言ってるのではない。そうとしか見えない実例があるから言っている。今回、コストナー選手のショートで、フリップが完全に回転不足のままおりてきて転倒してしまった。

解説の八木沼純子氏が思わず、「ダブル判定(回転不足判定より1つ低いダウングレード判定)にされるかも」と本当のこと(苦笑)を言ってしまい、プロトコルが出て慌てて、「3回転認定されている」と訂正していた。

あれだけ回転が足りず、だからこそ思いっきりコケたジャンプが堂々と認定される。一方で、グランプリファイナルのショートのように安藤選手が回転不足のままフリップで転倒してしまうと、遠慮なくダウングレード判定(回転不足判定ではない。その下のダウングレード判定だ)される。

フランス大会でも似たようなことがあった。コルピ選手がルッツで思いっきり、回転不足のまま転倒し、解説の荒川静香も当然回転不足判定(もしくはダウングレード判定)を前提として、説明をしたのだが、プロトコルを見ると、なんとびっくり認定されている。

こうした不公平があることを、疑い深いモロゾフが気づかないわけがない。安藤選手だって、とっくに気づいているだろう。口に出さないだけだ。

こうなると選手としては、回転不足判定されないほど明確に回りきって降りてくるしか方法はない。それを安藤選手はやりきった。難度の高いジャンプを入れてしまうと、そこで疲労するので、他のジャンプが低くなる。そうすると、すかさず回転不足判定の餌食となり、点が出なくなる。このルールの罠に今回安藤選手ははまらなかった。着氷時の姿勢がやや完璧とは言いがたいものはあったが、失敗したアクセル+トゥ以外のジャンプは、本当に素晴らしい。女子であれだけ、きれいな放物線を描く、ディレイド回転(跳びあがってから回転を始める)ジャンプを跳べる選手はほとんど見たことがない。

かつてセカンドの3ループで世界を獲り、4回転サルコウの大技にあれほどこだわっていた選手が、どちらも入れずに再び世界を獲った。ジャンプで大技に挑まないから、すべてのジャンプをきれいにまとめ、他のエレメンツや表現にも力をさくことができたのだ。自分の体力とジャンプ力を総合して、何を捨て、そのかわり何を入れるのかを判断する。

ルールとジャッジングの問題は山ほどある。あるが、それは選手とコーチにはどうにもできない。別方面からのアプローチが必要だ。日本はとかく批判精神に欠けている。他国はさかんにジャッジングを批判し、ルールの不備に声をあげている。ところが日本ときたら、「女子のショートに3Aを入れられるようにしろ」などと、単にエゴイスティックな主張としか思えないようなことを提案している。

女子に関していえば、技術得点のルールとジャッジングの問題はそこではない。回転不足判定が公平で適切かどうか、そして現行の減点がいびつにすぎないかどうかだ。それは全選手に共通した問題点のはずだ。

モロゾフはチャレンジングなことはさせない。それが「相手のミス待ち」になったとしても、自分が挑戦して失敗し、その失敗が失敗を誘発しては意味がないからだ。採点で優遇されている選手がいるならなおさらだ。ジャンプの難度を上げれば、ジャッジは愛する選手の演技構成点を上げてくる。ミエミエではないか。そうやって、普段の練習でも確率の悪い無理な挑戦をして、何度「神演技」ができるというのか。神演技をしたときに、まっとうな演技構成点が出るだろうか? 今回の男子フリーのチャン選手と小塚選手の演技構成点の差をみれば明らかではないか。

フィギュアは実績なのだ。今回安藤選手が勝ったのも、今シーズン安定して実績をあげてきた実績がモノを言っている。あれだけ安定したフリーを見せ付けられれば、ジャッジも露骨に点は下げられない。

安藤選手は、今回、セカンドの3ループ、フリップ、4回転サルコウを捨てたが、世界タイトルを手にした。これが実績であり、現実だ。絵に描いた餅を追い求めるのではなく、現実的な対応で、チャンスを待ち、実績を出す。モロゾフはソチに向けて、役に立たない日本スケート連盟とさっさと手を切り、ロシアと伝統的に仲のよいフランスの若手選手の指導にあたっている。

そして、今回はただ1人日本選手で手放さなかった安藤選手を2度目の世界女王に導いた。したたかで計算高い野心家はこうやって結果を出し、自分のプレゼンスを高め、ビジネスとしてのコーチ業を成功させる。限界に満ちた人間である選手の力を見きわめたニコライ・モロゾフの冷静な姿勢と指導手法は、「挑戦大好き」な「筋肉脳」の他の日本選手とそのコーチも見習うべきものがある。







最終更新日  2011.05.02 14:04:33
2011.04.30
カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)

総合力の勝利とでも言おうか。本当はショートも1位は安藤美姫だったと思う。安藤美姫のショートは完璧だった。ミスが許されないはずのショートプログラムで、完璧な演技を披露した選手が大きなミスをした選手の下に来る。ミスしても点が下がらない選手というのは、どうやらジャッジに愛されているらしい。

ルッツであれだけステップアウトしながら相変わらず世界トップの点を出す摩訶不思議な選手が相手の嫌な展開。だが、安藤選手は自ら大きく崩れることなくフリーを滑り終えた。

世界レベルの同じ国際試合に浅田選手が出て、浅田選手のジャンプの調子がいいと「なぜか」しぶくなる安藤選手への加点も今回はかなりまっとうについた。

同じ国際試合に他の日本選手が出て調子がいいと、「なぜか」なかなか揃わないスピンのレベルもきちんと揃えた(プロトコルはこちら)。(ちなみにグランプリファイナルのプロトコルはこちら

いくら工夫しても、「なぜか」昨シーズンとは違ってどうしてもスピンのレベルが取れなくなってしまった高橋選手とは対照的な結果になった(今年のプロトコルはこちら)。ちなみに昨シーズンの世界選手権の高橋選手のプロトコルはこちら。シーズン中はスピンのレベルがなかなかもらえなかったのが、最後にきっちり取っている。五輪後の疲労困憊したなかでも、ルールに適合できたのに、今回は「なぜか」最後までダメだった。

実際、スピンで軸足がブレるなど、細かいミスの出やすかった安藤選手が、きちっときれいにスピンをまとめたのは本当に感心した。

世界レベルの同じ国際大会に浅田選手が出て、しかも調子がいいと「なぜか」上がってこない安藤選手の演技構成点も、今回はさほど露骨に低くなかった。ジャンプがどうであろうと、金メダル仕分けのキム・ヨナ選手の下であることは、どうやら事前にもう決まっていたようだが、今回はその差がまあまあわずかだったので、技術点の高さが効いて、フリーの結果、なんとか実力どおり、キム・ヨナ選手の上に来た。

安藤選手のフリーの演技は、正直「圧巻」とは言えなかった。全日本のときに最後に見せたような、「どうだ!」と言わんばかりのガッツボーズ(と、ついでに会心の演技でウルウル男泣きするニコライ)が見たかったのだが、なんといっても中盤のダブルアクセル+トリプルトゥループが決まらなかったのがやはり残念だ。

四大陸のころから、ずいぶん体調が悪そうだった。それでも長いシーズンの厳しい試合を延々と戦いぬき、大震災のあとという精神的にも難しいなか、これだけ演技をまとめたのだから、やはり安藤美姫の強さは圧倒的だと言える。

滑り出しの表現の迫力には鬼気迫るものがあった。包み込むようでいて、どこか無邪気でもある笑顔のショートとは別人になったよう。前半の転調前に一瞬のポーズを決めたときの刺すような視線は魔的ですらあり、見ているこちらも背筋がゾクゾクした(こちらの動画で1.13当たり。残念ながら画質は悪い)。

それから一転して、たおやかな女性的表現に入る。いったいこのひとは、性悪な女なのか優しい女なのか、きついのか包容力があるのか、強いのか弱いのか、見ているうちに混乱してくる。1人の女性に惹きつけられていく男性の視線に同化して、こちらも安藤美姫を見つめ、魅せられていく。

そして、クライマックスは、地の底から湧きあがってくるような力強い音楽。わざとらしく音を鳴らすのではなく、自然に力強く盛り上がる。安藤美姫という、1人の成熟した女性のもつ強い生命力が徐々に徐々に解放されていくようだ。これは多少、浅田選手の「鐘」に通じる部分もある。ロシア出身の振付師でなければ出せない味かもしれない。

クライマックス部分の大きく腕を振り上げてポーズを決めたあと(上の動画で3:06あたり)、片足でイン、アウトと深いエッジにのって滑って行くスケーティングは本当に見せる。音楽ともぴったりと同調している。大好きな部分だ。このあたりからはもう感動で胸がいっぱいになってくる。どの動作、どのポーズも、安藤美姫でしか出せない味がある。くいっと伸ばす顎のラインも、広げた腕の動きも、アスレチックな回転動作も、すべてが素晴らしい表現になっている。

最後に両手を伸ばして天を仰ぐポーズなどは(写真はこちら)、宗教的な崇高ささえ感じる。野生の女が聖母に昇華した瞬間に、私たちは立ち会っている。

女性のもつ神秘性、強さ、優しさ、繊細や、包容力、そして何より生命力を感じさせる不世出のプログラム。だれか1人の女性を演じるということではない、女性のもつ情感の抽象性を氷上で表現する難しいプログラムだが、安藤美姫にはこうした作品がぴったりと合っている。

振付師も素晴らしいがパフォーマーも素晴らしい。その幸福なマリアージュが安藤美姫を4年ぶりの世界女王に返り咲かせる結果になったことは、ファンとしても本当に嬉しい。

絶頂期の特に短い女子フィギュアスケート選手が、4年ぶりに2度目の世界女王になるなど、それだけでも非常に難しいのだ。







最終更新日  2011.05.02 12:29:41

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