2018/07/30(月)18:00
印刷有機EL量産へ、JOLED「勝負の3年、勝負の3事業」【ニュースイッチ】
2018.7.29 ニュースイッチ
JOLED(東京都千代田区、石橋義社長)が、世界初の印刷式有機ELディスプレーの事業化に向けアクセルを踏み込む。
6月に就任した石橋社長は2020年の量産開始を見据え、今を「第2の創業期」と位置付ける。
有機EL市場は、韓国のサムスンディスプレイとLGディスプレイの寡占状態。
日本発の有機ELビジネスを実現するには、顧客開拓やパートナー戦略など複数の課題を短期間で乗り越える必要がある。
JOLEDはインクジェットの方法で青、赤、緑の有機EL材料を塗り分ける印刷方式の有機ELパネルを手がける。
17年には少量生産を開始。
今回、20年の量産に向けて親会社の産業革新機構から200億円の出資を受け、旧ジャパンディスプレイ(JDI)能美工場(石川県能美市)を取得した。
さらに1000億円の増資を計画しており、すでにデンソーや豊田通商などから約500億円の出資を受けた。
ほかの出資先も最終調整中で、8月中旬をめどに増資を完了するとみられる。
石橋社長は「設立から3年半。ここまで順調に立ち上がる経験はない」と、事業化計画の進捗を自負する。
いよいよ研究開発からビジネスのフェーズに入る印刷有機EL。
事業体として独り立ちするには三つの事業の柱を早期に確立しなければならない。
一つ目は主力となるパネル供給だ。
20年には生産能力が5・5世代ガラス基板(1300ミリ×1500ミリメートル)換算で月産約2万枚となり、現状の10倍になる。
生産するのは10―32型の中型パネルだ。
(中略)
ただし印刷式有機ELパネルは、青色材料の寿命の短さや、液晶に比べて劣化が早いという問題がある。
石橋社長は「材料や生産プロセスなど、これまでに積み上げたノウハウを結集し、性能アップを実現する」と強調するが、懸念を払拭するだけの完成度にまで短期間で高められるかが重要だ。
コスト面の課題も残る。
蒸着式で使われる真空環境や有機EL材料を塗布するための型が不要で、コストを下げられるのが印刷式のメリット。
ただ現在ではこれらのメリットがあっても、全体でみると蒸着式よりもコストが高くなってしまう。
3―5割とも言われる歩留まりの改善生産効率の向上が急がれる。
二つ目が技術ライセンス供与ビジネスだ。
(中略)
すでに8・5世代基板に対応する試作ラインを構築済みで、中国や韓国勢を中心に国内外のパネルメーカーと交渉している。
「複数の企業が興味を示している。できるだけ早く進めたい」(石橋社長)。
早ければ年内の契約締結を目指す。
三つ目は完成品事業への参入。
完成品メーカーやコンテンツメーカーなどと組み、自社のパネルを組み込んだ完成品とサービスを組み合わせて提供することを想定している。
単なるサプライヤーではなく、利益創出へとつながる「新たなパネルビジネスのモデルを作りたい」(同)。
19年にも具体化を目指す。(引用ここまで)
このブログでは、何度か取り上げているJOLED社の記事です。
中国や韓国なら国費がジャブジャブ投入されて、技術革新も一気に進むのですが、日本だとなかなか難しいようです。
個人的に懸念しているのは、上記記事で書いてある「技術ライセンス供与ビジネス」です。
世界を代表する無法国家である「中国」「韓国」に「技術ライセンス供与ビジネス」が成り立つのか。
すごく心配です。
JOLED㈱の母体であるソニー㈱やパナソニック㈱もさんざん痛い目にあっていると思いますので、大丈夫だと信じたいですが。
足元見られて変な契約を結ばないか。
早期に結果を出すことも重要ですが、結果を焦るがために技術が流出したのであれば、本末転倒ですので、そこは細心の注意を払って進めていただきたいです。