京都観光をご案内して学んだ事

2011/09/25(日)08:28

三千院3.

 遠方より、折角三千院は観られても、殆どの観光客はその億に素晴らしい意義のある寺院までは、知らずに帰られます。「南無阿弥陀」と唱えるだけで極楽浄土に召されると言う大衆仏教の源泉が此処【大原勝林院】の【大原問答】が機縁に【証拠の阿弥陀さん】が祀られています。 【三千院3】  京都市内から、かなり遠い位置に「大原」は有りますので、観光時間の関係で急がれる方が多いのか、又ご存知ないのか、「「三千院」の感動をそのままで、「御殿門」から、帰途に付かれる方が、殆どとお見受けします。その証拠に、秋の紅葉シーズンでは、観光の人並みで混雑していましても、その奥に素晴しい寺院・御陵そして「音無しの滝」を訪問される方は、少なく、ゆったりと味わう事が出来ます。  「桜の馬場」を更に北奥に進みますと、「律川」の橋を渡ります。その橋の袂に「法然上人」の弟子「熊谷直実」(くまがいなおざね)が坐って待ち構えていたという石が存在しています。 そして橋の渡った辺りを「鉈捨て籔」(なたすてやぶ)と言っています。更に突き当たりまで、歩を進めますと。正面に「大原問答」で有名な「勝林院」が有ります。 【勝林院】天台宗 開祖 円仁(慈覚大師) 山号 魚山(ぎょざん) 受付(殆ど不在)から石畳の道を経て、本堂に履物を脱いで堂内に、そしてボタンを押しますと、堂内に厳かな「声明」(しょうみょう)が聞かれます。其の雰囲気で本尊「阿弥陀如来坐像」を拝する事ができます。阿弥陀さんの目は拝する位置によって、怖く・優しく変化します。 僧侶の読経される坐が最も優しく見える45度の角度のようです。阿弥陀さんの手から紐がぶら下がって居ますので、手元の紐を引くと阿弥陀さんと握手した事に成るという事で、浄土へ導かれることを願って実行されています。この手法は、他寺でも良く見かけます。縁があればお試し下さい。   【大原問答】堂内の本尊阿弥陀如来の前、両側に梯子があり、壇上が備え付けて有りました。一方には、「法然上人」がそして、もう一箇所には、「叡山南都の学僧」と浄土念仏の教理を論議・問答して信服させられたと言います。法然上人54歳対して顕真(けんしん)権僧正(ごんそうじょう)56歳でした。  既成仏教は、王朝貴族を初め、知恵者、特定の富者のみに適ったもので、貧者・大衆・凡俗は、何等仏の救いも無く、実に仏教とは他山の石・無縁の存在とされていました。そこで法然上人は、叡山で修行し会得された結果。誰もが「一意専心・南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることで「極楽浄土に導かれる」と、説かれた時、本尊阿弥陀さんの手から、御光が射したと言うことで、「証拠の阿弥陀」と称されることに成りました。その後「浄土宗」として庶民の信仰と広がっていきました。  このとき師匠「法然上人」に危害が加えられるのではと、弟子の「熊谷直実」は懐に鉈を隠し持って、近くで構えて居たところ、法然上人にたしなめられ、鉈を竹薮に捨てたという事です。  堂内の裏には小さい緒仏像が、並んでいますがその中に「踏み出しの阿弥陀如来像」があります。人を正に救おうと左足を一歩踏み出す、救いの動的表現を採っています。そして「法然上人」の像も有ります。  殆ど貸切状態の様に、来訪される方は、まばらでゆっくりと、妙なる「声明」のお経を聞きつつ阿弥陀さんの世界に心を寄せて拝観できます。「三千院」の人混みが嘘の様です。

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