自然と健康が、五感の感動を呼ぶ!

2014/04/21(月)08:24

きょうの百物語 4月21日の百物語 ネコ浄瑠璃

福娘童話集 > きょうの百物語 > 4月の百物語 > ネコ浄瑠璃 4月21日の百物語 ネコ浄瑠璃  むかしむかし、あるところに、トラネコを飼っている一人暮らしのおばあさんがいました。  そのトラネコは人間の年でいえば、もう百才以上のお年寄りですが、今でもネズミを捕まえるほど元気で、とてもそんな年にはみえません。  ある日の事、村に人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)の一座がやって来ました。  楽しみの少ない村の生活なので、村人たちはみんな人形浄瑠璃を見に行きました。  しかし、おばあさんは足腰が悪いので、人形浄瑠璃を見に行く事が出来ません。 「人形浄瑠璃か。・・・見たかったね」  おばあさんがそう言うと、いろりのそばで居眠りをしていたトラネコが、突然に人間の言葉で言ったのです。 「それじゃあ、おらが浄瑠璃を語ってやろうか?」 「えっ、今しゃべったのは、お前かい?」 「ああ、おらだ。ただしこの事は、誰にもしゃべらないでくれよ」  トラネコがしゃべったので、おばあさんはびっくりしましたが、 (まあ、家の賢いネコなら、しゃべっても不思議ではないね) と、思い、トラネコに頼みました。 「わかったよ。誰にも言わないら、はやく語っておくれ」  するとトラネコは、本物の浄瑠璃語りの様に座布団に座って語り始めました。  その語りはとても素晴らしく、村に来ている本物よりも上手でした。 (やっぱり家のネコは、大したものだね)  おばあさんがすっかり聞きほれていると、浄瑠璃見物から帰って来た隣の家のおじいさんが、そのトラネコの語りを聞いてしまったのです。  次の日、用事で家の外に出て来たおばあさんに、隣のおじいさんがたずねました。 「昨日、あんたの家から浄瑠璃語りのいい声が聞こえたが、一体、誰が語っていたんだね?」  するとおばあさんが、 「実は、家のネコがね」 と、うっかり口を滑らせてしまったのです。  そして用事を済ませて家に帰ったおばあさんを、トラネコがキバをむいてにらみ付けました。 「おばあさん、あれほど約束したのに。  昨日の事を、よくも人にしゃべったね。  本当なら、殺してやるところだけど・・・」  トラネコはそう言うと自分から家を出て行き、二度と帰っては来ませんでした。おしまいby  感動HP366日への旅

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る