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月のひかり★の部屋

月のひかり★の部屋

すみれ色 百首

  すみれ色 百首

理由も(わけ)なく哀しむ季節紡がずに紅燃ゆる木々も妬まし

        「私って馬鹿ね・・」と自分のこと笑ふコスモス風に揺れて頷き  

      猫のゴロー抱いてワルツを踊る夜小説と言ふもの初めて書いて

      今ちゃうど出逢へた時計の針と針銀杏の葉っぱの黄にそよぐ窓

      冬なのに黒眼鏡掛けて歩く人唇笑へば唯の優しさ

      平凡な野の花背高キリン草誰かと似てゐる少し毒あり

      優しさとはいったい何か?クルクルと木の葉一枚渦巻きて散る 

      雨降りて秋の深まる厨にて菊菜煮る刻少し華やぐ

      嘘一つ限りなく多くの嘘を生みそれでも地球は黙って廻る

      「△を転がせば○になる」と言ひし少女を想ふ蒼き秋空

      紅の木の葉一枚拾へども詩心湧かず唯ガムを噛む

      黒猫が知らぬ振りしてすれ違ふ秋の野原の陽の当たる道

      風に背を押されて坂を下る刻数限りなき木の葉舞ひ散る

      何ゆゑに君そこにゐて我もゐるかそけき音に時計鳴る部屋

      衝撃に微塵となりし窓硝子朝の舗道に光り輝く

      長芋の一本の蔓手探りの手のように延びる厨の闇を

      ママとバァバに見守られアヤノ秋風と一緒に走る赤帽子着て

                            2004.12.7
      
      氷柱に咲く二輪草恋なんて楽しさうでも窮屈さうね

      小説は書き進まねど松笠を繋ぎ合はせてレイを編む午後

                            2004.12.9

      こちらから声を掛ければ何か物言ふかもしれない金の三日月

      月影の仄青き窓妖精の姿は無くて唯,風の音

                            2004.12.22

      メサイアを聴きつつ金魚の泳ぐ様ぼぅと見る師走気忙し過ぎて

                            2004.12.24

      シャガールの絵の中に浮かぶ青き馬嘶き出で来て遊ぶたまゆら

                            2004.12.25

      長きマフラー風に靡かせゆく少年 やっぱり星の王子に似てゐる・・

      「君と君いったいそこで何してる」雲間より月もそっと見てゐる

      「アンタよりアンタの方が好き」なんて私は言はないと金魚らに言ふ

                            2004.12.27

      菫色って哀しいけれど美しい,花となりたる涙の雫 

      「さよなら」とこちらに手を振る一枚の古き写真の少女はアタシ

      から揚げにされた魚の目今は無くレモンとパセリと白皿に載る

      熟れ過ぎた一つのトマト卓の上窓の外には雪降りしきる

      あの時も街に木枯らし吹いていた母とどこまで行ったのだったか・・

                            2005.1.6

      「アンタまで私を置いて行くつもり?」夢見て泣いてるそれもまた夢
                                     
                            2005.1.8

      セピア色の遠き記憶を辿り居れば不意に落つ眼前,寒椿の紅(あか)

                            2005.1.9

      北風に枯れ葉舞ひ散る冬なれどサクラひらひらわが心春

                            2005.1.10

      トンネルを過ぎればそこに青空とツララの光る純白の国

      黒胡麻をわざわざ摺って不自由に食べたいと言ふのは贅沢なのかも・・

      父がゐて母ゐて山茶花咲いてゐる心の隅の温かき家
                       (これはずっと以前の作品です。)
                            2005.1.11
      
      「何でやのん?」「何でやのん?」と思ふ度パンジーを植ゑて花の行列

                            2005.1.12

      いと細き上弦の月さえ笑ふ唇(くち)に見えるなんてやっぱり被害妄想

      好きでもない嫌ひでもないならもう行くね星降る夜空を一人風に乗り

      ガラス玉の玩具の指輪森に来て木洩れ日に透かせば星の輝き☆☆・・

                            2005.1.13

      ヨーグルトとお餅食べてる真昼時,おや,窓の外風花舞ってる

                            2005.1.14

      森の中あの古き木の洞には栗鼠など隠れてゐるのでせうか 

                            2005.1.15

      雨上がりの空見上げたらクシャミ出て(どうでも良いわ・・)と諦めついた

      心の遍歴今更言っても仕方ないが梅の小枝で雀も囀る

      不良少女になれるのは殆ど美少女やって・・なんや,矢っ張りそうやったのね
      
      不良少女につひになれずに闇の中白き十字架ひたすら求めた

                            2005.1.16

      幼き日夜汽車の旅をした時の若く優しき父かな?あの星
                       
      全ては今,今から始まりますものね雨でも雨の歌唄っています

      街路樹の葉からぱらぱら雫落ちる雨上がりの朝白き犬連れ

      試練とは希望の兆し裸木にぎっしり並ぶ桜の蕾

                            2005.1.17

      アスファルトの窪みに光る水鏡空と雲写し小さなオアシス

      この道はいつかの夢と同じ道さう想ふ今もやっぱり夢かな・・

                            2005.1.18 

      「北キツネ」の仔ギツネゴンと同じこと,いつかこの子も母捨てて行く

      さう言ってその女(ひと)は少し涙ぐむ十字架立つ空あくまで蒼く

      電話無くメールも届かず風強く寒波来るとの天気の予報

      戯れに煙草を吸ってみようかな・・と,たまに思ってもすぐに忘れる

      どこからもメール届かぬ日の暮れにキラキラ星のイヤリング買ふ

                           2005.1.20 

      三面鏡に舞ひ散る雪と私と限りなく連なる大寒の朝

      「1プラス1は2とは限りません」て,言ってる自分が「はてな?」と思ふ

                        2005.1.21 

      ビタミン剤なんかではなくラムネ菓子ただカリカリと噛んでゐるだけ・・

      置きっぱなしの人参の首から薄みどりの芽が出て育つ真冬の厨

      本当に辛い時には涙など出ないものです。ね,お嬢さん・・

                           2005.1.22 

      時計がね,少し狂ってゐるくらい平気なのは自分もさうだからです

      不機嫌を続けないため唯一人夕空を見つめて歩き続ける

      故郷の海前にして絶句する演技派と呼ばれるひとりの女優

                           2005.1.23 

      生真面目も過ぎれば病気のもとになり夜空の星屑一つ増えます

                           2005.1.24 

      ヒヨドリの飛び交ふ林を通り抜け水鳥遊ぶ川を見て佇つ

      「有り難う」の言葉の他には何も無い次出会っても「有り難う」と言ふ

      透明のビニール袋が風に乗りお化けのようにうごめく十字路

      聞くも涙語るも涙の物語り猫のゴローが「1抜けた」と行く

      「?は?の儘で良いのです」と言ってた牧師の行方は何処?

                           2005.1.25

      摺り硝子に飛ぶ鳥の影・・お天気も良さそうだからもう起きようか

      裸木の林と空と雲だけの平凡過ぎても見飽きぬ風景

      お腹がね黄色いんだね。何と言ふお名前なのか教えて,鳥さん

                           2005.1.26 

      白水仙の蕾も少し膨らんで寒風の庭に凛々しき姿

      ゆっくりと冬に歩調を合はせつつ鉄砲百合の青き芽伸びる
                         (これは以前の作品です。)
      曲がりくねった細くて長き糸の先「希望」と書かれたメモを見つける

      幾すじも空を横切る白き線ジェット機のパレード暫し見て立つ

      ゑみちゃんは素敵なナースになれたかな・・白衣姿のふと浮かぶ空

      犬を連れた奥さんと言ふより本当に仲良くしたいのは茶色の犬君

                           2005.1.28

      白線より逸れず一途にただ走る高速道路と似てるね,人生・・

                           2005.1.30

      如月の凍れる月夜をひそひそと電話を耳にすれ違ふ女(ひと)

      銀粉を撒き散らかしたみたいだね。雪の漂ふ広場を横切る

                           2005.2.1 

      突き当たりを右に曲がった日溜りの水仙のコーラス,チケット不要

                           2005.2.4 

      何ゆえに溢れては落ちるこの涙冷たい風の所為ばかりではない

      野に燃ゆる一つの炎何ごとも良くなるならぬは私しだい

                           2005.2.5 

      雪でなく氷雨のしとしと降る日暮れ鞄に旅の荷物を詰める

      真実の優しさの永久(とわ)に続くこと信じて明朝飛行機に乗る

                           2005.2.8 

      高速を関空へと急ぐバスの窓工場の煙幾筋も見ゆ

      南港に停泊中の白き船人間ってやっぱり夢見る生き物

      上海のビルの谷間に鳴り響くお正月を祝ふ爆竹の音 

      霙降る夜の上海裏通りアイスクリーム食べて再び歩く

      霙降る上海の夜優しさの寄り集まりて温かき部屋
      
      その昔お忍びで皇帝の渡った橋を今はガヤガヤ観光客渡る(周庄にて)

      私にも見せて!成る程これがその大金持ちの使ったといふ椅子(周庄にて)
                                   
      用水路を黒き鳥乗せ舟を漕ぐ女の漁師の横顔美し(周庄にて)

      貧しさは様々な知恵を育んで活気漲る周庄の町

      周庄に皆で遊びに行ったこと忘れはしない極寒の候

                           2005.2.13 

      カーテンを開けずにそっとその儘に・・ヒヨドリが庭で遊んでるから・・

                           2005.2.15 

                         

            
 


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