224027 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【ログイン】

山崎元の経済・マネーここに注目

PR

楽天プロフィール

設定されていません

カテゴリ

お気に入りブログ

まだ登録されていません

ニューストピックス

楽天カード

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2011.01.14
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

あけまして、おめでとうございます。本年も、ご愛読よろしくお願い致します。

さて、新年なので、投資家にとっての今年の目標を「一つだけ」考えてみた。

考えてみるに、自分も含めてだが、投資の世界で人間はなかなか進歩しないものだという気がする。何が原因だろうか。

たとえば、ゴルフなら、悪い癖を一つ矯正できれば、スコアが目に見えて改善するが、投資の世界は、本人の進歩がそのまま運用利回りに表れるとは限らない。実は本人が進歩したのかも知れないのに、結果が悪化することは珍しくないし、その逆も頻繁にある。結果によるフィードバックを参考に、何が正しいかを判断することが投資にあってはずいぶん難しい。

何百年も生きることができて、且つ原因と結果を正しく分析できるなら別だが、投資家が経験だけから学んで賢くなることは、ほぼ不可能に近い。多くの場合は、単に売買に「慣れる」だけだ。

投資家が自己の改善を図るには、どのような判断と行動が正しいかについて論理的に納得しながら、自分を矯正していくしかない。

それでは、今年一年を通じて、投資家が自らの「投資力」を高めることができる改善のポイントとして、何に狙いを定めるといいだろうか。

筆者は、「自分の買値にこだわらないこと」がいいと思う。個別の株式にせよ、投資信託にせよ、個々の投資対象について、自分がいくらで買って保有しているかにこだわることは、「害多くして、益少ない」総合的には有害な癖だ。

投資の判断は、あくまでも「現在の価格に対して」行わなければならない。まず、この点を深く理解するところから始めて欲しい。一投資家の過去の買値や平均買いコストは、株価や投資信託の基準価額の将来の値動きに影響する材料ではない。従って、買値よりも高いから気楽に売ろうとか、或いは、買値よりも下がってしまったので損が拡大しないうちに売却してしまおう、といった「自分の買値」を基準にした投資判断は誤りだ。

投機やトレーディングの世界では、「損切り」が重視されるが、トレーディングは、そもそも短期的なチャンスと判断した材料に対して異例のリスクを取る行動であり、高すぎない価格を条件に資本の生産の果実を、時間をかけて享受しようとする「投資」とは別のリスク・テイクだ(ただし、トレーディングであっても、買値へのこだわりが判断の歪みをもたらすことがよくある)。

投資家にとって必要なことは、現在の状況、つまり現在の資産価格を前提に、自分の財産(ポートフォリオ)の状態を最適に保ち続けることだけだ。これは、数百万円の個人投資でも、数十兆円の年金資産でも変わらない。

また、個人の場合、お金の必要があれば、自分買値にこだわらずに保有する株式や投資信託を売って構わない。

かなり理解の深い投資家でも、「自分の買値より安くは心理的に売れない」と言っている人がいるが、これは感心しない。通常、個人向けのローンの金利は、株式投資に期待できるリターン(機関投資家の運用計画では金利プラスせいぜい5~6%くらい)を大きく上回る。価値のあるお金の使い道があるなら、株式でも投資信託でも、いつでも買値にこだわらずに換金すべきだ。

もっとも、この買値にこだわらない、ということは、誰にとっても簡単なことではない。2002年にノーベル経済学賞を取ったダニエル・カーネマンらがプロスペクト理論という名前のモデルにまとめたように、人は、気にしている価格(投資家の多くは自分の「買値」)の上と下とで感じ方行動が異なる。

率直に言って、機関投資家のファンドマネジャーでも、自分の買値をまったく意識せずにファンドを運用できる人は少数派だろう。

つまり、この行動目標は、ほとんどすべての投資家にとって意識する価値のある改善項目なのだ。完全な実行はなかなか難しいが、それだけに、目指す価値のある目標だ。ぜひ、目指してみて欲しい。

==========================================================
楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第90号 2011年1月14日発行より) ==========================================================
 







最終更新日  2011.01.14 18:24:51
Powered By 楽天ブログは国内最大級の無料ブログサービスです。楽天・Infoseekと連動した豊富なコンテンツや簡単アフィリエイト機能、フォトアルバムも使えます。デザインも豊富・簡単カスタマイズが可能!

Copyright (c) 1997-2017 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.