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テーマ:論理的思考あれこれ(1)
カテゴリ:アメリカ学校生活
相変わらず算数好きのピコちん@小学校5年生、今年は校長先生主宰の「算数チャレンジ」チームに参加しています。
ピコちん学校の「算数チャレンジ」チームは今は6人。高学年(4-5年生)のクラスから算数好きor得意な生徒が声をかけられて有志で参加する招待制で、ピコの学年では何人か声かけられたんだけど、参加したのはピコともう1人だけ。そのもう1人も1学期で辞めちゃったので、今は5年生はピコだけ。 毎週、問題が3-4個出されて、自分たちで解を考えて、週一度の集まりで発表&答え合わせするんだけど、この問題がけっこうおもしろいんですよ。 いわゆる算数の文章題みたいな数字が出てきて計算して答えを出す問題もあるし、図形とか数列とか確率のコンセプトを問う問題もある(例:地図の4色問題とか「サイコロ2個を投げて出る数字の合計で一番可能性が高いのは何か?」とか「1,1,2,3,5,8,…..の次の数字は何だと思う?この数列何ていうか知ってる?」とか)。 あと数字が全く出てこないロジック&クリティカルシンキングの問題も多くて、探偵謎解きとか(複数の目撃証言から事件の真犯人を見つけるとか、なぜある事件が詐欺とわかるかを説明するとか)、エピメニデスのパラドックスについて考察するとか。 今週の問題の一つは「You need to research what is a fallacy and what are the most common errors in reasoning」。つまり「誤謬/詭弁とは何か、また推論における最も一般的な間違いとは何かについて調べること」っていうお題。私もfallacyってなんなのか知らなかったので、ピコと一緒に調べました。奥が深い! Wikipediaによると、誤謬とは「論証の過程に論理的または形式的な明らかな瑕疵があり、その論証が全体として妥当でないこと。つまり、間違っていること。意図した論述上の誤謬は「詭弁」と呼ばれる。論証において、誤謬には「形式的」なものと「非形式的」なものがある。」だそうです。 誤謬にはものすごくたくさんのタイプがあるんですが、例を挙げると: 後件肯定(affirming the consequent): 「もしPならばQである」が正しいとき「Qである。したがってPである」という推論(必要条件と十分条件のすり替え)。 例:ここでAがホームランを打てばBチームの勝利だ。Bチームは勝った。ということはAはホームランを打ったのだ。(Aがホームランを打たなくてもBチームが勝った可能性がある) 前件否定(denying the antecedent): 「もしPならばQである」が正しいとき「Qではない。したがってPでもない」という推論(必要条件と十分条件のすり替え)。 例:ここでAがホームランを打てばBチームの勝利だ。Aはホームランを打てなかった。Bチームは勝てなかった。(Aがホームランを打たなくてもBチームが勝った可能性がある) 選言肯定(affirming a disjunct) 「AまたはBである」が正しいとき「Aである。したがってBではない」という論法(AとBが両方とも正しい可能性があることを無視している)。 例:朝の飲み物はコーヒーかオレンジジュース。今朝はコーヒーを飲んだ。したがってオレンジジュースは飲まなかった。(両方飲んだ可能性もある) 連言錯誤/合接の誤謬(conjunction fallacy) 一般的な状況よりも、限定的/特殊な状況の方が、起きる可能性が高いと誤判断すること。 例:山田さんはいつもジャイアンツの帽子をかぶっている。山田さんが野球ファンである可能性よりもジャイアンツファンである可能性の方が高い。 媒概念不周延の誤謬(fallacy of the undistributed middle) 「XはYである。 ZもYである。 故にZはXである」という形式の三段論法。 例:頭の良い人間はみな読書家だ。そして私もよく本を読む。だから私は頭が良い。 早まった一般化(hasty generalization): 十分な論拠がない状態で演繹的な一般化を行うこと。 例:富士山は火山だ。浅間山も火山だ。桜島も火山だ。三原山も火山だ。したがって日本の山は全て火山だ。 誤った二分法(false dichotomy/false dilemma): 実際には他にも選択肢があるのに、二つの選択肢だけしか考慮しないこと。 例:(コロナウィルスの対応で)命を選ぶか経済を選ぶか? 間違った類推(false analogy): 重大な相違を無視して事象の類似性に基づいて論証類推を大前提として論旨を組み立てること。 例:眼鏡をかけている山田先生は小学校の教師だ。従って眼鏡をかけている鈴木さんも小学校の先生だ。 例外の撲滅(overwhelming exception) 例外を無視した一般化を元に論旨を展開すること。 例:ナイフで人に傷をつけるのは犯罪だ。外科医はナイフで人に傷をつける。したがって外科医は犯罪者だ。 偏りのある標本(biased samples) 母集団から見て偏った例(標本)だけから結論を導くこと。 例:自分の周り(日本)には黄色人種しかいない。したがって世界には黄色人種しかいない。 擬似相関(spurious relationship/spurious correlation) 2つの事象に因果関係がないのに、見えない要因(潜伏変数)によって因果関係があるかのように推測されること。 例:アイスクリームの売上が高い月にはプールでの水難事故が多い。アイスクリームの売上増が水難事故増の原因である。 合成の誤謬 (fallacy of composition) 「ある部分がXだから、全体もX」という議論。 例:A町に住んでいるBさんは高収入だ。したがってA町の住人はみんな高収入だ。 分割の誤謬(fallacy of division) 「全体がXだから、ある部分もX」という議論。 例:A町の平均世帯収入が高い。したがってA町に住んでいるBさんは高収入だ。 他にも、もっともっとたくさんのタイプがあります。Wikipediaでは誤謬の項と詭弁の項に例が多く挙げられています。 てゆーか、私、こんなの学校教育で習った覚えないんだけど!私18年も学校通ってたんだけどなー。当時の日本の公立学校にはクリティカルシンキングとかディベートとかパブリックスピーキングとか授業になかったもんね。算数/数学だって数字との格闘ばっかだったし。 そー考えるとピコちんは小学校にしてこんな概念に触れられるなんて、すごいいいお勉強の機会を提供してもらえてるってことだよね。ほんとにありがたいことです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.04.29 16:10:58
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