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あいすまん

あいすまん

(音楽)MALICE MIZER

MALICE MIZERの功罪

宮城隆尋


 昨年のマリスミゼルの活動休止は、世界観の創出と白昼夢の垂れ流しの区別も付かないようなフォロアーにもなり切れぬあほどもを数多く生んだ。具体的にいえば、音楽を聴けるファンを惹きつけるマリス以外のビジュアル系バンドが脱ビジュアルしたためにファンが離れ、一方でマリスの耽美的な面しか見ていなかった低質なファンがマリスの代替バンドとしてラ行で始まる名前の某偽マリスバンド(数バンドある)に流れたのである。そこで音楽としてのビジュアル系は事実上死んだ。あとは歪な音楽ごっこ。オタクの女子中高生が頭の悪いナル野郎とじゃれ合うのは勝手だが、それを音楽だと思っている傲慢さは許されざる芸術への冒涜である。
 ビジュアル系というカテゴリーが今も存在しているのかさえ定かでないほど、今のインディーズシーンはコア系に染まりきってしまった。一時はGLAY、L’Arc en Ciel、TMRevolution、SHAZNAなどと同じ勢力としてオリコンチャート上位を賑わせたビジュアル系。彼らの現状は末路というに相応しい惨状を呈している。耽美ばかりを追い求めて頽廃を芸術に高めようともせず、何を音で表現したいのか全く伝わってこない。格好も曲も過去の先輩バンドの焼き直し、同じものの使い回し、猿真似。コスプレ繋がりでオタクの方々とかぶる部分にファン層がシフトし、音楽ファンとしてはより低質な人々に向かって、先輩バンドのスピリットを無視してスタイルばかり真似て凄んで己の無知蒙昧さを晒け出すバカバンドの群れ。それが現状である。具体的にいえば、XやLUNA SEAの明らかなパクリを繰り返しておきながらプロデューサーであるYOSHIKIの影響を受けているといえば許されると思っている人たちや、理念の抜け落ちた表面上のマリスのコピーを繰り返して勝手に陶酔しているフランス語好きな人たち。彼らのやっていることはもはや音楽ではない。


『Amp!』3号(沖縄国際大学文芸部 2001)


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