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投資家モーちゃん日記

■「純利益」を使って適正値を計算する理由

「純利益」をそのまま使って適正値を計算する理由


適正値の計算において、私が何故「純利益」をそのまま使っているか、その理由を説明したいと思います。

というのは読者の方から、「経常利益の60%」つまり法人税(40%)を減額した額を純利益とみなして計算する方が適切ではないかと指摘を受けたからです。

《純利益をそのまま使う理由》
●単独決算の会社の場合は確かに「経常利益の60%」を純利益と見なしても差し支えないかもしれません。

●ところが連結決算の場合、子会社の経常利益の全額が親会社の連結経常利益に加算されることになります。
例えば60%保有の子会社の場合、経常利益の(60%でなく)100%がまるまる親会社の連結経常利益に加算されるのです。
もっとも、その後連結純利益の計算では差額の40%分を少数株主利益(他人に帰属する利益)として差し引かれることにはなっていますが。

(注)海外子会社の法人税は日本の税率と異なるので、これも計算に入れなければなりません。一般的に外国の法人税の税率は日本より低くなっています。

●更にこの連結経常利益には関連会社の「持分法による投資利益」も加算されます。
例えば30%保有の関連会社の場合、関連会社が稼いだ純利益の30%分(課税済)もこの連結経常利益に加算されることになっています。

(N社の連結損益計算書の例)
売上高            479,815百万円
売上原価          376,675
売上総利益        103,140
販売費及び一般管理費  61,482
営業利益          41,657
(営業外収益)        6,995
受取利息             893
受取配当金            791
持分法による投資利益   2.680
その他             2,631 
(営業外費用)        3,254
支払利息           1,840
その他             1,414  
経常利益          45,399 
特別利益           2,299
特別損失           2,923
税金等調整前当期純利益 44,775
法人税等          16,781
少数株主持分損益     3,200
当期純利益        24,793百万円

●これらのことから、適正値を計算する場合の純利益を「経常利益の60%」として計算すると、子会社や関連会社を持つ親会社の場合、実際とは乖離した純利益が算出されることになり、間違った計算結果になってしまうのです。
念のため、私のウォッチ銘柄百数十社につき、経常利益に対する純利益の比率を計算してみたところ、上は75%から下は40%まで様々でした。

●それなら、「本業に無関係の臨時収入(支出)」といわれている特別損益を適正値計算から除外できなくなるではないかとおっしゃるかも知れません。
はたして、全ての特別損益を除外する必要があるでしょうか?

●私の考えでは、特別損益というのは全てが全て本業と関係ないと言いきれるものではないと思っています。
また、臨時収入(支出)といわれながら、毎年のように発生しているものもあります。

●因みに、米国会計基準では「特別損益」というのは存在しません。
トヨタやホンダなどの連結損益計算書を見れば一目瞭然です。
また、米国会計基準では、日本でいう営業外費用や特別損失のうち事業に関するもの、例えば固定資産の売却損などは販売費及び一般管理費、「営業費用」として計上されています。

(米国会計基準採用H社の連結損益計算書の例)
売上高            5,902,469百万円
売上原価           4,200,822
売上総利益         1,701,647
販売費及び一般管理費    912,319
研究開発費           281,306
営業利益            508,022
(営業外収益)
受取利息             25,520
その他               1,227
(営業外費用)
支払利息              7,755
その他              38,764
税引前利益          488,250
法人税等            163,642
少数株主持分損益       13,269
関連会社持分利益      △63,261 
当期純利益          374,600百万円

(注)税引前利益が日本の経常利益に相当する。


《結論》
●以上のことから、まれに発生する特別損益などの内、額の大きいものに限って、純利益の調整を行えば事足りるのではないかと思います。
つまり、多額の特別損益がなければ、純利益をそのまま適正値計算に使っても問題はないだろうということです。
(但し、赤字会社などは投資対象外とします)

●具体的には、「経常利益と純利益が同額程度となっている場合」や「経常利益は多いのに純利益が極端に少ない場合」などに限って、損益計算書を調べて、必要あれば、「適正値計算で使用する純利益」を調整すればいいということです。

●もっとも、「適正値計算に使う純利益」は複数年の平均値なので、もし多額の特別損益が発生しても、その影響はかなり薄められることになるため、調整し忘れても、殆どが許容範囲内におさまり大勢に影響はないだろうと思われます。


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