2018/03/30(金)06:48
ダイソンの「多様化世界」
約20年前に書かれた本である。
愛読書の一つであるが、数年ぶりに読み返してみた。
原題は「Infinite in All Directions」であるから、
邦題は、必ずしも相応しくない。
というのは、
著者自身が、表題を「多様性」から、「原題」に変えているからである。
「原題」にこそ、著者の主張があるはずだからである。
邦訳が「多様性」になったのは、
当時、日本で「多様化」という言葉が一人歩きしていたことによるのであろう。
副題の「生命と技術と政治」にこそ、この本が現れている。
すなわち、この1冊には、全く軸を異にする、三つの分野が含まれている。
今日、生命学とテクノロジーは、飛躍的に変貌を遂げていて、
その速度をさらに早めようとしている。政治の世界もまた然りである。
第2次大戦後の冷戦という「安定」した基盤を喪失して、
国際政治は混沌としている。
この3重螺旋のような混沌と歩みを考え抜くにあたって、
この本は大いに参考になると思うのである。
多様化世界【中古】5,880円 大黒堂書店