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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*笑顔*~先輩~



  先輩の笑顔に
   
    恋に落ちちゃったんです。


 *笑顔*


 「合格おめでと」

 ちょうど合格発表の日。

 振り向き際にぶつかった彼は

 にっこり笑った。


 その笑顔に一目惚れ。


 入学式の時

 彼が生徒会長なことを知って

 どれだけ彼が人気者なのかを知って

 どうすれば近付けるのかを考えた結果

 生徒会書記に立候補。

 
 「先輩、おはようございます」


 めでたく当選して

 今では廊下で擦れ違い際に

 こうやって自然と挨拶だって出来ちゃって。


 「おはよ、今日も頑張ろうな」

 
 毎朝、そんな先輩の笑顔に

 ココロときめかす。


 でもね

 どんなに嬉しくても

 どんなに飛び跳ねたいくらい幸せでも

 それを表に出すこと出来ないんだ。


 だって情報によると先輩

 “大人な女”が好きなんだもん。

 
 さらさらロングヘアーに(頑張って伸ばしたさ)

 落ち着いた装い(背筋もぴんっと伸ばしてね)

 笑顔はいつだってにっこり微笑む程度

 (歯を見せて笑ったり、大口あけて笑うなんて
  
 もっての他なんだから)

 
 そりゃ、それまでの私からしたら

 すごく無理してるかもしんない。

 でもね

 少しでも先輩の理想に近付きたくて

 ・・・無理しちゃってるんだ。


 「ホントは飛び跳ねたいくらい嬉しいクセして」


 そんな友達の言葉に


 「ほんっっとにそうなんだよねぇ~・・・。
    あ~っもぅっっ、今日の先輩もステキすぎっっ」


 思わず緩む顔。


 「はいはい、そんなことより今日宿題あったっけ?」

 
 「数学大量に出てたじゃん」


 「うっそ、忘れてたっっ」

 
 「“そんなこと”呼ばわりされたから
    うつさせてやんないよ(笑)」


 「そこをどうかっっ」


 友達とバカやってるとこ

 先輩に見られたら

 きっと・・・

 その先、恋になんてもってけない。



  

 「副会長と会計。今日は部活で休みだから」


 放課後の生徒会室。
 
 先輩のその言葉に耳を疑った。


 つまり今日は・・・先輩と・・・二人きり?


 嬉しいやらはずかしいやらどうしたらいいやら

 なんだかパニックになっちゃって

 めをぱちくりさせて先輩を見つめてた。


 「どうか・・・した?」


 先輩にそう声をかけられて

 慌てて“いつもの私”を整える。


 「あ・・・いえ、資料作り・・・
    どうしようっかなぁ・・・って」


 「そんなの二人でやればすぐっしょ。
  ほれ、ちゃっちゃとやるか」


 
 放課後の生徒会室

 君と俺の二人きり。

 聞こえてくるのは外からの笑い声と

 紙がすれる音にホッチキスの音。

 静かな二人の空間。


 私の隣にはずっと憧れてた先輩。


 高鳴る鼓動が

 隣の彼に聞こえないかどうか不安で

 口を開くことなく作業が進む。


 「初めて会った時は
   すっごく素で笑ってくれたのに」

 そんな中

 ぽつりとつぶやいた先輩の言葉。


 何を意味してるかわからなくって

 首を傾げる私に

 先輩はなんだか辛そうに笑ったんだ。。。


 「もしかして・・・俺のこと嫌い?」


 その言葉に驚いて

 
 「そっ・・・そんなことないですよっっ」


 思いっきり否定。


 でも先輩は


 「いいよ、無理しなくったって」


 そう言って

 無理して笑ったんだ。。。


 「無理なんか・・・」


 否定したかったけど

 でも・・・無理してないわけじゃない。


 だって

 先輩の前では

 無理してた・・・。


 でもそれは

 先輩の理想に近付きたくて・・・


 先輩の理想に近付くために

 ホントの自分は隠しちゃってた。。。


 ねぇ・・・先輩には全部

 バレてたって・・・こと?


 ねぇ・・・先輩。

 じゃぁ私・・・



 「片付けは俺一人で出来るから
   もう帰っていいよ。ごめんね、ありがと。お疲れさん」



 気が付けば

 資料作りは全部終わってて

 先輩の声でふと我に返る。


 なんだか

 先輩の顔を見ることも出来なくて


 「お先・・・失礼します」

 
 荷物を手に教室をあとにした。



 “俺のこと・・・嫌い?”

 “いいよ、無理しなくって”

 
 勘違いされたまんまで・・・いいの?


 ねぇ先輩、違うんだ。

 無理してたのは

 先輩が嫌いなんじゃなくって・・・

 
 「嫌いなんかじゃないんです・・・」


 気が付けば私は

 生徒会室のドアをあけて

 つくえにつっぷす先輩に

 声をかけてた。


 「無理は・・・してるけど・・・でも
   それは・・・その・・・」


 何て言えばいいのかわかんなくて

 恥ずかしくて顔を上げることも出来なくて

 
 
 「先輩が・・・“大人な女”が好きだからって
  ・・・そう・・・聞いたからで・・・その・・・」


 詰まりながらの私の言葉を


 「“その・・・”なに?」


 先輩はゆっくりと耳を傾けた。


 「先輩が・・・好きです」


 おもいきってはいた愛の告白。

 きっと私、今

 すっごくかわいくない顔してる。


 でも

 「先輩が好きなんです」


 これがホントの私だから。
 
 無理してない

 何もつくってない私だから・・・。

 
 「どこでそんな話聞いたかしんないけど
   俺が好きなのは君だから」


 そう言って

 先輩はそっと私を抱き寄せた。

 
 「やっと・・・笑ってくれた」 


 ねぇ先輩

 私、歯ぁ見せてわらっていい?


 ねぇ先輩

 ニキビ出来ちゃっていい?

 
 ねぇ先輩

 溝にはまって転けちゃってもいい?


 ねぇ先輩

 たまには寝癖ついててもいい?


 ねぇ先輩

 たまには仕事ミスっちゃってもいい?

 
 ねぇ先輩

 私、それでも先輩を好きでいていい?


 「そのまんまの君でいてよ」


 ねぇ先輩

 もう無理しなくていい?




 

* ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * 

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bbs

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