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テーマ:本のある暮らし(3308)
カテゴリ:こよみ
「菜虫蝶と化る」(なむしちょうとなる) 今日の旧暦・七十二候です。 成長した菜虫(青虫)が、紋白蝶となる時期です。 幼虫の間、一所懸命に葉をはみ、 蛹になれば、危ういことなど気にも留めないような、堅牢の姿。 そして、美しい姿へと生まれ変わり、空へと飛び立つ。 蝶には不思議な魅力があるように思います。 ”秘すれば花” の 「風姿花伝」。 世阿弥の著した、能楽の伝書。 古典をすらすら読める力があるといいのですが、 残念ながらそうではない私は、 リンボウ先生こと、林 望さんのお書きになった 「すらすら読める風姿花伝」(講談社刊)で、 この古典のよさを知りました。 ”ひとつ、秘する花を知ること。 秘すれば花なり。秘せずは花なるべからず、となり。 この分け目を知ること、肝要の花なり。” (秘めておくことが大切だということを知ること。 秘めておくからこそ、それが花になる。 あからさまに公開してしまったら、もはや花ではない。) これは、能楽のことだけではなく、 私達の、生活の中に生きる言葉ではないかと思います。 大地の上を、一所懸命に這い回るように生き、 時にはじっと、身を固くしなくてはいけない時もあるでしょう。 でもそれは、秘めてこそ花になる。 昔、蝶になることは、表立つことだと思っていました。 すこしばかりの年を重ね、そうばかりではないのだと知ってからも、 他の蝶をみると、 自分も、とあせって追いかけて行きたくなる.....。 そんな気持ちになることもしばしば。 秘すれば花...は、堅牢な蛹の姿なのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 15, 2006 11:53:56 PM
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