愛のかたち 第10回。〈根源への〉
18世紀に、ウイリアム ブレイクが描いた絵です。『The Ancient of Days』という原題ですが、日本語では『日の老いたる者』という題で紹介されているようです。赤色と黄色と黒色の対比が、強力なコントラストをつくり出しています。この三色の配色は、究極の根源性としか言いようのないものに、わたしたちを誘います。色彩の中で、白色と黒色は、光と闇を表していて、極限性を持っています。つまり、それより向こうはわたしたち人間には認識できないものを表しているのが、白色と黒色になります。ここでは、その二つの色のうちの黒色が使われています。黒色は全てを含んだ色彩でもあるので、原初のすべてを含んだ闇の中から、第一日が(神によって)生み出されているところです。また、赤色は、最も身体性を表す色彩で、象徴として母性的です。それに対して黄色は、精神性を表す色彩で、象徴として父性的です。この二色の配色や混合によって、新たな命が現象化します。ここではこの赤色と黄色は、ドラマティックに混じり合っていて、誕生の瞬間を示唆しています。色彩以外のかたちとしては、「一日」というものが、神の手に持つコンパスで、表現されています。ここには、「一日」というものが、自然のものでありながら、ピシッとした厳格なものでもあることが描かれていると思います。ウイリアム ブレイクの、根源への熱い愛が、ギュッと凝縮されている絵ということができます。強い愛とともに、恐ろしさ(畏敬の念)さえも感じられる絵画です。☆アトリエえんどうまめのHPは、《こちら》です。