一年前には
ついこの前まで「一年前には」と思っていた。一年前には父はまだ生きていた。遡れば一週間前には、と思っていたのが一ヶ月前には、となり半年前にはそして一年前には。時間は同じ速さで過ぎてゆきそして今、たとえ一年前に戻っても父は存在していない。父が亡くなったその日、私は有給休暇をとっていて友人と会う約束だったのだけれど新型コロナの影響でその話が流れ、することがなくなりいつものスパ銭でサウナに入っていた。今年もまた休みをとってスパ銭に行った。ぼんやりと空を眺めながら風に吹かれて、生きてることを実感する。一周忌が終わり、この一年で色んなことが凄まじく変わってしまったと感じる。父が生きていたなら。そんなことを何度も考えたし、まだ、泣く。母が亡くなった時も何度も思ったことだ。この悲しみは乗り越えられると知ってはいるがそうたやすく乗り越えられるものでないことも知っている。この先何度も何度も迎えるであろう喪失感と悲しみ。まだ切り替えはうまくできないけれど遺してくれた楽しかった出来事や嬉しかったことは忘れないでいよう。思い出せば泣けてくるけど、いつまでも忘れないでいよう。ねえお父さん。そう、お母さんも、一緒にね。