『 アンドロイド 』
『 アンドロイド 』 「 起きろ坊主 」 何か声が聞こえた気がする いつの間にか眠っていたのか いぁずっと寝ていた気がする 「 僕に話しかけるのは誰 」 ん ・・・・ 声が出ない なのに 声の主には僕の言葉が聞こえているような 「 俺の名前は サム お前の身体の中に居る 」 不思議なことを言う。 僕の身体の中だって ふざけたことを言うものだ。 「 ふざけてなどいない お前の1部の脳と臓器は俺のもの 俺とお前の細胞が一致したことでお前の親父は生きたままの俺から 臓器を取り出しお前に移植した 」 「 なんだってまだそんなことをしていたのか 」 と僕は叫んだ 「 まだ ということは前にもそんなことがあったのか 」 もう 何年前になるのだろうか 父は1つの脳を持ち帰り 僕に移植した 母は半狂乱になり 妹を連れて家を出た。 僕は移植手術をされたその時からの記憶がない。 「 で サムさん貴方は何故ここに 」 サムは話し始めた。 「 俺は生まれて直ぐ施設の前に捨てられていた 13の時施設を飛び出したが 行き着くところは闇の世界 人を脅して お金をせしめて暮らしていた 捕まったその日にお前の親父が来たんだ。 何やら検査した後 俺はお前の親父に連れられてここに来た そして この始末さ 見てみ あれが俺だ 」 隣で横たわる屍が話し始めた 「 臓器の全部を君に取られて 今の俺は人造人間 アンドロイドだ 移植手術が終わってから 俺はずっと動かなかった 博士は失敗したと思ってる 」 「 賢明な作戦だ 」 と僕は答えた すると 入口のドアの隙間から煙がモクモクと入ってきた 「 火事だぁ~ ! 」 誰かの叫び声 「 やばい 逃げるぞ 」 アンドロイドが飛び起きた 「 僕は動けない 君だけ逃げてくれ 」 アンドロイドはロッカーからカバンを持ち出すと裏庭に面したドアを開けた するとそのドアから巨大な黒い熊が突進してきた 熊は 奥に続くドアを蹴破ると煙の中に消えていった 数分もしないうち 奥から子熊が裏庭目掛けて駆け出して行った さっきの熊が続いて現れた。 熊は僕を見ると近寄ってきた。 あ~死ぬ。 身動き取れない身体に力を込めた 両手が動いた。 熊は頭を差し出すとつかまれという仕草をした 熊の首に手を回すと 熊は襟元を銜えると勢いよく走り出した。 屋敷は瞬く間に炎と化し爆発音と共に焼き落ちた。 サムは言った 「 生きてる人間はいないだろうな 」 熊は静かに山を目指して歩き始めた。 何だろう この感覚 前にも・・・・・ そうだ 「 ボブ お前ボブなのか ! 」 熊は嬉しそうに首を振った。 「 ボブ ! ボブ ! 何ねんぶりだ あんなに小さかったのに 」 ボブは尚も嬉しそうに首を振った。 山の中腹の洞窟がボブの住処らしい そこに入っていくと さっきの子熊と母親らしき熊がいる ボブは藁の上に僕を静かに横たえた すかさず アンドロイドは鞄を開けると ボブの火傷に薬を塗り始めた ボブ 火傷したんだね ありがとう僕の為に ボブは静かに薬を塗られていた むかし僕が怪我したボブに薬ぬってあげてたよね やんちゃなボブは 何時も怪我してたっけ 手当てが終わると アンドロイドは言った。 「 これからのことだけど 俺等を知る人間はもう居ない 」 「 僕は父さん無しで生きられるのだろうか 」 「 その心配はいらないよ 俺は博士の殆どをマスターしてる この鞄には博士の全てが入っているから どんな異変にも対応できるよ 」 そう言うと アンドロイドは外に出ると 水と果物を持ってきた。 「 来るときにチェックしておいたんだ ボブの火傷が治ったら街に出よう 医療に必要な器具買い足したいから 」 アンドロイドの言葉が終わるか終わらぬうちに 「 私は 犯罪者との行動は嫌ですね 」 と 誰かが言った。 外で不気味な風が ウォ===ンとなった つづく