作品移動♪
井野さん、井野さん、ここのところなんだかとてもすっきりした顔をしているけど、何かいいことあったの?うん。 近代美術館の空調改修工事で空調がストップする前に、所蔵作品の移動作業が完了したんだ。収蔵庫には温度や湿度が多少変化してもあまり影響を受けないブロンズ彫刻などを残してあるけど、それ以外のすべての作品や資料を協力美術館の収蔵庫や温湿度がきちんと管理されてセキュリティもバッチリの民間倉庫へ無事に運び込んだんだよ。約4,000点の作品を移動させるのは、本当に大変だったんだろうね。移動の様子はどんなだったの?大きく3回に分けて、作品を運んだんだ。まず、5月26・27日の2日間で、協力美術館のひとつである茨城県陶芸美術館の収蔵庫へ約2,100点の作品を運び込んだんだよ。その様子から紹介するね。うわあ、大きな作品がたくさん台車に載っているね!井野さんは何をしているの?トラックに作品を積み込むために、台車に載せて収蔵庫から運んできたところだよ。僕は、これから積み込む作品を、リストでチェックしているんだ。作品がたくさんあるから、陶芸美術館へ運ぶはずの作品に間違いないかどうか、1点1点確認しているんだ。積み忘れてしまったり、他の場所に運ぶことになっている作品を間違って積んだりすると、大変なことになるからね。そして、チェックの済んだ作品から、トラックに積んでいくんだよ。きれいにピシッと積んでいくんだね。作品の大きさを考えつつ、トラックの壁にきっちりと固定しながら積んでいくんだ。このトラックも「美術品専用車」という、特別なトラックなんだよ。作品を入れる貨物室は、温度や湿度をコントロールできるから作品保存に適した状態を保つことができるし、「エアサスペンション」という機能がついているから、走行中の衝撃や揺れをおさえることができるんだ。輸送中の温度や湿度の変化、揺れや衝撃で作品をいためることがないように考えられた「作品にやさしい車」なんだよ。うわぁ、かっこいい!これが美術品専用車なんだね。陶芸美術館へは、4トンの美術品専用車4台で、2日間にわたって作品を運んだんだ。これは陶芸美術館に到着して、搬入口へ車が入っていくところだよ。大きな搬入口だね。収蔵庫では、いつもは陶芸美術館の所蔵品が置いてあるスペースを特別に空けてもらって、そこに作品を置かせてもらったんだ。しばらくの間、スペースがせまくなってしまうから陶芸美術館には申し訳ないのだけれど・・・・。また、あいている棚の上には「中性紙ボックス」という箱に入れた、紙状の作品や資料を置かせてもらって、落ちないようにしばりつけたりもしたよ。 いろいろな作業があって大変だったんだね。陶芸美術館の他にも、作品を運んだんでしょ?その次は、埼玉の民間倉庫に約900点の作品を運んだよ。6月8日に美術品専用車に積み込んで運んだけど、この時はなんと!10トンの大型の車にも積み込んだんだよ。うわー!すごく大きな車だね!!貨物室も大きいから、沢山の作品を積むことができたよ。 本当に大きいね。広いお部屋みたい・・・。でもね、この車だけでは積みきれないから、4トンの美術品専用車にも積み込んだんだよ。6月8日に積み込みをして埼玉の倉庫まで運んで、次の日は作品を倉庫の中へ入れる作業をしたんだ。 埼玉の倉庫へは、6月13日にも作品を運んだんだよ。そして最後は、6月15・16日に、もうひとつの協力美術館である茨城県天心記念五浦美術館へ、残りの作品を運び入れたんだ。五浦美術館も、作品を入れるためのスペースを作って待っていてくれたんだよ。今回の所蔵作品の大移動は、僕たち学芸員も本当に大変だったけれど、作品を梱包したり運んでくれた美術品輸送の専門業者さん、そして陶芸美術館や五浦美術館など、多くの皆さんの協力に支えられ無事に終えることができたんだ。本当にありがとうございました!!ところで井野さん、協力美術館や民間倉庫に作品を運んだってことは、空調工事が終わったら、これをまた近代美術館へ戻す仕事もあるってことだよね・・・。そうだよ、きんびー。戻すのも、またまた大変な仕事になるよ。美術館はお休みしてても、職員のみんなは、ほんとに忙しいんだね!よーし、ボクもお手伝いがんばるぞ~!