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前回の続きで。
●日本のボールは 日本のプロ選手が国際大会に出てボールの違いが話題になるとき、五輪球は 「滑る」「縫目が高い」「飛ばない」 って良く言われているように思います。それぞれ皮質、糸、反発力が違うということなのでしょう。 先ほどの韓国の記事では五輪球について、韓国の国内球と比べて「滑る」「縫目が低い」「飛ぶ」と書かれていました。滑るのは同じで、縫目と反発力は逆の見方です。 日本のボールのことは、いわゆる「飛ぶボール」騒動のときに大いに話題になりました。詳しいかたがたくさんいらっしゃるかと思います(←私はあんまり興味なかったんで、良く知らない)。 一応、導入している球団が多いというミズノの「低反発球」が五輪球とどう違うのかっていう点で記事等を集めてみると。 「低反発球」とは ・国際球とは中の材質が違い、プロ野球の公式球(「飛ぶボール」)がウール100%であるのに対し、国際球は90%[1]。 ・これは世界的に野球を広めるためにコストを抑えるようIBAFが要請したもの[1]。 ・しかし材質によって反発力が変わることはない(とミズノのかたは言っている)[1]。 ・いわゆる「低反発球」は国際大会の使用球に近づけるために開発したもの[2]。 ・ウール100%のまま、ゴム芯を反発力の弱いものに変更した[2]。 大きさ・重さ ・大きさと重さは、五輪球と日本の公式戦での使用球とでは全く同じ(「飛ぶボール」時代の話)[1]。 縫目・糸 ・「低反発球」を導入したとき、ミズノは五輪球と同じ綿糸を使った縫目が高いボールと、従来どおりの麻糸を使った縫目が低いボールを用意[3]。 ・麻糸から綿糸に変えたため、縫目の山が0.2mm高くなった(高校野球での低反発球)[2]。 ・当時、ミズノのボールを使っていたパ・リーグ球団(楽天以外の5球団だそうです)は、縫目が高いほうのボールを使用することに統一[4][5]。 ・縫目が高いボールはメジャーや五輪使用球に近い[5]。 反発力 ・2005年のアジアシリーズ前の練習で五輪球を使った千葉ロッテ・里崎選手は「低反発球」よりも飛ぶと言っている[6]。 ・五輪球の飛距離は「飛ぶボール」と「低反発球」の中間[6]。 <参考> [記事]長嶋ジャパン、本塁打量産の理由(スポーツナビ)(2004/08)[1] [記事]野球を変える「低反発球」(朝日放送)(2007/03)[2] [記事]広島黒田が低反発球試投「縫い目統一を」(日刊スポーツ大阪)(2005/02/07)[3] [blog]プロ野球構造改革はどうだ!日本のプロ野球はどうなるんだろう?(古田敦也さんのblog)[4] [記事]2種類のミズノ低反発球、セは統一見送り(読売新聞)(2005/03/01)(個人のかたのblogの中です)[5] [記事]変身!!マリン「弾」打線(スポーツ報知)(2005/11/09)(個人のかたのblogの中です)[6] 以上の記事等を総合するに。 主にミズノのかたの説明によれば、パ・リーグや高校野球等で使われている縫い目の高い「低反発球」は、五輪球に近づけるために作られたという面もあり、いわゆる「飛ぶボール」よりはだいぶ五輪球に近いように読めます。 飛距離は「低反発球」のほうが五輪球よりも飛ばない、と言われているらしい。(ただし、疑問に感じているかたも少なからずいらっしゃるようです) そして大きさ、重さに関しては「飛ぶボール」の頃から五輪球と全く同じということですので、その点ではむしろ日本のほうが韓国よりも五輪球に近いボールを公式戦で使っているのではないか、とさえ思えます。少なくともパ・リーグでは。 にも関わらず、北京へ行った選手の方々が慣れるのに苦労したってことは、やはり五輪球とはある程度は違うもの、なのでしょう。 ダルビッシュ投手は五輪球に近い縫目が高いボールを使うパ・リーグの所属であり、アジアシリーズや北京五輪予選にも出ているから五輪球を使うのは少なくとも3度目。それでも「五輪球に苦しんだ」みたいだし。 ミズノのかたは「低反発球」を作るときにいろいろ工夫されたようですが、より五輪球に近づける要望があった場合にはさらなる工夫が必要ってことなのでしょうか。 (というか、五輪球そのまま導入すれば簡単なのでは?) あ、でも野球は五輪種目じゃなくなるので、当面はプロ選手が五輪球を使う機会はアジアシリーズくらいしかなくなっちゃいます。これからはWBCのボールに近いように作ったほうが現実的? ●他国では ちょっと検索してみると、キューバや中国の国内リーグでは五輪球である「ミズノ150」を使っているという記述が見つかります。ほとんどが掲示板の書き込みやオンラインショップなので信憑性はやや「?」ですが。 とすれば、出場国で最も五輪球に慣れていたのはキューバと中国ってことに。 台湾では「SAKURAI 990」というボールを使っていることが、台湾プロ野球のオフィシャル誌・「職業棒球」に載っています。サクライスポーツという日本メーカーのようです。 台湾は今年から国際大会に備えるために、皮が粗くて滑らず、縫い目が高くて粗いボールにしたのだとか。 (日本や韓国の選手は五輪球は滑りやすいと感じているのに、台湾では国際大会対策にわざわざ滑らないボールに変えたということは、従来のボールはよほどツルツルしていたということか) メジャーリーグはローリングス社の一社供給とのこと。ざっと検索してみると、皮質が五輪球とはだいぶ異なる、品質にバラつきが多いので五輪球よりさらに飛ばない、といった記述が見つかります。 マイナーリーグには台湾の大揚というメーカーがボールを卸していてかなりのシェアを占めているとの記述が見つかりますが、良くわかりません。でも少なくとも五輪球ではなさそうな感じです。 オランダは良くわからない。 それぞれの国のボールが五輪球と似ているのか違うのかわからないけど、とりあえず日本だけがボールが違ってて慣れていないから負けたというのは言い訳として成り立ちにくそうな感じです。 だいたい外国から見れば、北京では日本メーカーのボールを使っているのに日本が不利だったと騒いでいるのは馬鹿みたいな話じゃないでしょうか。 むしろ韓国は慣れない五輪球だったにもかかわらず、最も五輪球に慣れている(かも知れない)キューバをも破って金メダルを取ったのだから余計にすごいのでは。 そしてWBCではメジャー球(に近いボール)を使うという話。 とすれば、普段からアメリカの公認球に近いボールを使っている球団もある韓国は、五輪よりもWBCのほうがもっと有利。日本とはさらに差が開くと考えるのが自然でしょう。 これはもうボール云々以前の問題かも。 もっとも、WBCでは日本代表チームにメジャー球に慣れたメジャーリーグの選手が多数加わることで、ボールへの慣れの差はある程度は打ち消されるかも知れませんが。 ●北京本番のボールは練習と違ったらしい こんな記事も。 [記事]星野ジャパンに不安…五輪球デカっ重っ(デイリースポーツ)(8/12) 日本代表が国内合宿で試していたボールと、北京入りしてから支給された本番で使用するボールが、皮質や握った感触の点で全くの別物だった、と書いてあります。 何だかずいぶんと奇妙な話だこと。 五輪球を作っているミズノは日本代表のオフィシャルサプライヤーに名前を連ねているのに、どうしてこんなことになるのか非常に不思議。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年08月26日 18時44分33秒
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