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身体・感覚とアート

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2007年01月の記事

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想いを大事に

忙しい時代だからこそ、ゆったりした視点が心を軽やかにする。「３０年ぶりに年賀状だけで交流していた知人と会うことになった」先日、M氏の家に友人MとKとでいったときの話。３０ちょっとしか生きていない友人と私にしたら、３０年年賀状だけでつながることは驚きだった。３０年、年賀状を互いに出し続けることを想像してみる。（もちろんなんの利害関係もない相手だ。）自分や相手のなかに、互いへの心や想いがなければ続かないだろう。毎年くる年賀状にお互いの変化を楽しむ気持ちがなければ続かないだろう。私にも１０年ほど続く年賀状友達がいる。１０年の年月の中で、子供の育つ様子や、事務所の移転して活動する様子などが書かれていると、一枚の年賀状の中からその人の時間を感じ取ることができてなんだかうれしくなる。互いのフィールドは違うが、今の時代を生き抜いている気配を確かに感じ取れる。ひょっとしたら、M氏のように３０年ぶりに会う年賀状友達もいるかもしれない。想像するとちょっと楽しくなる。目先だけにとらわれない長い時間軸が心のなかに広がる。

2007年01月24日

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こころを与える

「すっかり身ぐるみはがされちゃったよ！」これは私が初めてM氏をテーマにした個展を終わったあと、お礼に訪問したときにM氏より言われた言葉。もうそれから３年たとうとしている。さらりといわれ、向かい合ったM氏と顔を見合わせ笑ってしまった。確かに、根掘り葉掘り聞いた。子供時代、戦争、戦後、仕事のこと、絵のこと。「はじめ尋問を受けてるみたいで緊張したぞ」といわれた。わたしからすると、単純に必死だっただけ。「ひとのエネルギーや生命感」をテーマにするには人生の先輩からヒントを得ようと考えた。が、しかしそれは多くの勉強を必要とすることだとあとから気がついた。後はとにかく前進するのみ。そして食い下がるのみ。それがM氏からすると「身ぐるみ（心ぐるみ？）はがされた」かんじになったのだろう。自分よりはるかに年の離れたひとと率直に語り合えたらそれは幸運だ。そのひとが教師の天分をもっているとなおさらだ。私は８０代の方の視点の一端を空気を吸い込むように取り入れることができた。こころを与えられたひとは、その人の血肉である人生の一部を与えられたと同じだ。

2007年01月20日

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想い

ちょっとしたことで、「あれをやりたい、これをやりたい」とわくわくする。同時にちょっとしたことで「ああやめよう、ちょっと休もう」とめげる。それが普通。だからこそ、自分の気持ちを素直に知る。「やめようと思ったけどやっぱりやりたい」か「やっぱりやめよう」か。お気に入りの場所で静かに考えたり、おいしい紅茶をゆっくり飲んだり、気持ちを分かち合える友人とじっくり話したり、好きな本を読み返したり、音楽を聴いたり、身体を動かして汗を流したり。そんな中で、ふと自分の気持ちが整理されてくる。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ようやく３月の個展コンセプトが固まりました。あと２ヶ月、もうすぐです、あら、大変！！しかし、楽しく忙しく２ヶ月を過ごしていきたいと思います。今後、ブログは個展関連の内容が増えます。興味のある時に遊びにきていただけますよう、今後ともよろしくお願いします。以下、個展プレスリリース発表です。＜Ｍ氏の像　「対話」＞一瞬の感動がずっと人生を豊かにすることがある。ひとつひとつの行動さえ変えるエネルギーとなることがある。変化の激しい時代だが、ひとをしっかりと根底から支えるものは形を変えながらもずっとあり続けるはずだ。そう考えていたころ、知人のＭ氏と対話することを思いついた。２００３年の秋だ。Ｍ氏は画家で不思議な明るさを持つ人物だった。シベリア抑留の体験も「旅行へいってきたようなもの」とさらりと語り始める。それから多くの対話を重ね、作品をつくってきた。今回の個展は作品を観に来た人が参加する空間を目指した。作品のメイン題材はＭ氏の手だ。１メートル８０センチくらいの大きさで描いた手もある。この大きな手の前に鏡を置く。絵から振り返ると手に包まれた自分が映るのがみえる。鏡を使うことなどで、絵と自分の関係が「みる」だけでなく「作品に参加する」状態になる。エネルギーの感覚は、見るだけでなく、感じることで伝わる。だから、その他にも移動していくことで変化を感じる空間作りをしている。また、人物像その他も作品の題材に取り上げ、いろんなインスピレーションを感じる空間にもなっている。そして、会場を訪れたひとが望むなら、私と訪れた人が対話をできるよう在朗する予定になっている。茶道で有名な利休は、自分の美しいと思うものを有名無名にとらわれずに準備し、客と対話したという。利休がしたように、たがいが美しいと感じるものについて率直に語る場として個展会場を考えている。率直な対話は自他の差と共通点を気づかせ、人の心を豊かにする。M氏と対話することで私はそれに気がついた。そして今回、さまざまな意味において参加型、対話型の個展であることを目指している。

2007年01月19日

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視点の広がり

学問や勉強にとって不純な動機もあっていい。先日友人Mと話してきづいた。私が英語に興味をもったのは大西泰斗氏の英会話の番組のパフォーマンスにひきつけられたから。もし、私が作品のモデルであるM氏と対話をしなければ、日本や東洋のことについて今のように興味をもって知ることはなかっただろう。不純な動機のいいところはなんだか楽しく時間をすごせるところにある。理由なく、わくわくできる。いろんなことが連想される。不純な動機は意外にもひとを育てる力のひとつだ。

2007年01月17日

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時間を創りだすひと

状況をイメージして対応するひとは、人に時間や良い気分を創り出すクリエーターだ。土曜にお客様から問い合わせがあり、朝、一番に担当者にメールを出した。完璧な回答が３０分以内に電話でされた。内容から急いだ対応が重要と判断し、さらにこちらがメールやデスク処理を行っている時間内であろうと推測して電話してきた様子が感じられた。それはまさに理想的な対応だった。いろいろなひとと接していると、ベテラン仕事人の深い読みに基づいた対応にであうことがある。対応はモノを生み出さないが、人に時間や安堵感をあたえる。そのひとはクリエーターであり、アーティストだ。

2007年01月15日

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発想のもと

子供や２０代のころ（あれ、暗に２０代以上とばらしている）、嫌な気分をそのままみとめるのはカッコウ悪い気がしていた。でも、嫌な気分は思いつきを与える源にできることに気づくと、ずいぶん気が楽になった。そうしたらカッコウつけずに、自然体でいられる時間が増えた。最近でいえば、制作を中断して料理を一時間していたとき、たまたま料理をすることにいささかうんざりしていた。そこで、魚をフライパンで焼こうとしていたが後日にまわそうときめた。（というふうに、うちの料理はファジーになっている）時間かかって嫌だから魚は明日だと思ったそのとき、その魚をオーブンで焼けばよかったと思いついた。（一時間コンロがふさがっていたのに、コンロを使うことだけ考えていた）ちょっと気がつけば簡単な話なのだが、うちではその魚はフライパンで焼くものだった。ものすごーく嫌でうんざりだと思ったそのとき、「そうかオーブンだ」と気がついた。そして「嫌な気分は思いつきのもとになる」とあらためて思った。そうすると、嫌な気分の自分も貴重に思えてくるから不思議である。

2007年01月14日

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感覚と学術　５

学問でも知識として知っているのと、血肉として知っているのでは全く違う。小さな子供が「火は熱くて危ない」と親からいわれても、火に手をかざして熱さを実感したり、紙がいとも簡単に燃え広がったりして恐ろしさを感じなければ血肉としてわかることができない。学問を知識として知ることはある程度簡単だが、血肉として身に付けるのは難しい。火と違って目にみえない。美術家や書家、または経営者や技術者が書いた本は「血肉として知ることの感覚」を知る宝庫。自分が今知識として知っている部分と血肉として知っている部分の違いがつかみやすくなる。それは、自分自身の「感覚」と「学問」の間を橋渡しすることでもある。

2007年01月13日

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純粋な時間

夜ふと目覚めて感じた。純粋な時間を共にすごせたひととは不思議と長く付き合える可能性がある。なんの拍子か、学生のアルバイトのとき可愛がってくれた社員の方２人といまだ年賀状をやりとりしていることからふと思いついた。気がつけば１５年以上たっている。そのうちひとりは多忙な中、たびたび個展まで足を運んでくれる。その二人とも酒の縁だが、バイト後、３人でいろいろな話をした。今となっては１０才も離れた人に学生の私が何を話していたのか覚えていない。しかし、ただ楽しかったことを覚えている。

2007年01月12日

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感覚と学術　４

学問として絵をみるか、自分で(感覚で）絵をみるかは見方が違う。その違いを知っていれば、偉そうな評論家を恐れずに感想を述べることができる。ダビンチの「モナリザ」でも、嫌いなら嫌いでいい。学術的な重要さと感覚とは違う視点だからだ。好きだ嫌いだといっているうちに、不思議と「嫌いだが認めざるおえない」という感覚にも出会うことがでてくる。それは、絵を描く人間からいえば「構図」「色」などから論理的に説明できることを直感的に理解しているときだ。直感的な感覚を磨いたひとは、モノをつくる人間からすると貴重な（そしておそろしい）観客であり、評論家だ。

2007年01月11日

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感覚と学術　３

歴史を学ぶと、自分を測るものさしが増えておもしろい。江戸時代と今の生活をくらべれば、今当たり前のことがほんの数百年前は当たり前でなかったことに気づく。それと同じで美術を学問として学ぶことは、今当たり前に眺めているアート関連のものが生まれた背景などを知ることだ。今、当たり前にポスターを眺めている。しかし、そのポスターのあり方は、１００年ほど前の最先端アートの影響で生まれている。そういうことを知ることだ。その１００年前の最先端アートと、現在のアートはどのようにつながっているのか。現在のアートはどんなものがあるのか。そういったことを＜学問＞として勉強する。いわゆる「知識」として勉強するという点でいえば、他の「数学」「国語」「音楽」などと変わりない。感覚とは違う。どう感じるかではなく、美術という学問がどのような歴史をたどって今に至っているのかというひとつのものさしを勉強することになる。これが学問としての訓練だ。

2007年01月10日

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感覚と学術　２

感覚は先入観なしでたくさん触れることで磨かれる。「なんだかわかんない」（いわゆる抽象的な作品なので）といって私の個展に足をはこんでいた親や友人が１０年以上のスパンで来るうちに、鋭い観客になっていくのをみてきた。「わかんないがこれは好きだ」「このバランスがすっきりしていい」「なんだかわくわくするかんじがこの色と形で感じる」「これがわかりずらい」年々、そのコメントは鋭さと的確さを増していく。つまり、手ごわい観客になってくる（ありがたくそしておそろしい）。その直感的なコメントを、専門分野とつなぎ合わせて聞くと気づかされることが多い。ずばりと本質を突いてくるからだ。だから、素直にものを見る、そして感じるままを大事に出すことがとても大切な訓練であると教えられた。花や山といった具象的なものと、分けがわからない抽象的なものは、どちらもイメージ（とかインスピレーション）を伝えている点で同じだ。イメージから伝わる感触を「自分で感じ取る」。素直にものを見続けることを磨く。これが、自分の感覚を研ぎ澄ますアートの訓練だ。そして一方、学問として学ぶこと。これがもう一つのアートの訓練だ。

2007年01月09日

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感覚と学術　１

自分で忘れていることばでも、人がよく覚えていることがある。昨日知人のＮ氏から電話がかかってきた。「今、ちょっとレポートのようなものを書いているのだが、前に抽象絵画を観るのには訓練がいるって話されていた意味を聞きたくて」いついったのだろう。覚えていない。しかし、Ｎ氏は絵の鑑賞について考えていたところだったらしい。わたしはそのとき時間がなく一言で帰ってしまったようだが、そのひとことをＮ氏が覚えていた。そこで、モノをつくる人間として考えている「訓練」の意味を説明した。アートをみる訓練には二種類ある。ひとつは自分の感覚を研ぎ澄ますこと。もうひとつは学問として学ぶこと。

2007年01月08日

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変化を楽しむ

変化が自分の感覚を気づかせる。今日は激しい雨が降っていた。私は基本的に「晴れ女」のはずなのだが、今日の外出に限っては見事に雨に降られた。最近の暖かさと打って変わって寒い一日だった。激しい雨の中を歩いたからこそ、昨日までの晴天の光の暖かさが鮮明に感じられる。そう思うとたまの雨もいい。帰り道、夜空はすっかり晴れた。きれいな星空でオリオン座がくっきりと見えていた。

2007年01月06日

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ボーっとする時間

今の時代、ボーっとする時間をとるのは難しい。電車や街中の空き時間でも、いたるところに広告があるし、呼びかける音も流れてくる。なんだかボーっとしていてはいけないようなきがする。しかし、静寂な時間は自分の頭から様々な刺戟をより分けてリセットすることのできる機会。体内コンパスは静寂な時間を与えると働くがよくなる。おそらく昔はたくさんあったボーっとする時間は今、贅沢のひとつだ。

2007年01月05日

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時とリズム

明けましておめでとうございます。年始の３日間、ＰＣを開けずに過ごしました。年に一度しかない機会なので、時間を感じるのによい感じがしました。しかし、この間日記を訪れていただいた方がたくさんいて、皆様のありがたみをかんじました。ありがとうございます。年始に未来学者のトフラーのインタビューを観ました。現代の流れでは時間の加速度がますます速まっている。その影響は生活している限り大なり小なり必ずある。そう実感させる内容でした。周囲の速い時間の流れを感じ、同時に、自分の感覚やこころや頭の感触をかんじ、自分のリズムで生きていく。ひとはひとりで生き、一人で死んでいく存在。だからこそ、自分の感じる世界の感触を常に感じながら、周りと分かち合いながら生きる。今年が皆様にとって素晴らしい年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

2007年01月04日

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