身体・感覚とアート

2005/01/04(火)15:11

発想を変える

身体論の本(3)

何気なくすごしていれば、何気なく生活できるのが今の世の中。でも、この本が本屋に山積みになっているということは、「でも違うなにか」を探し求める人が多いということのように思います。 『ナンバの身体論 身体が喜ぶ動きを探求する(矢野龍彦・他共著、光文社新書)』 この本のおもしろいところは、実際に動きを追求して、無名のバスケットボール部がインターハイ出場、東京都ランキング一位、全国選抜大会ベスト16という成果を出した過程がかかれていることでしょう。 出発点に、動きに対する発想の転換があるのです。 筋力をつける、ではなく『今の筋力をどうすれば100パーセント発揮できるかということを考える』 レベルが違うから、ではなく『自分よりも強くレベルの高い相手と闘うためには、常識的な当たり前のトレーニングを行っていたのでは、勝負にならないのではないか、と考えてみる』 常識的なものの考え方を前提にするのではなく、原点に返ってそこから考える、というこの発想が、現代に求められているからこの本は売れているのではないでしょうか。 発想を変えるためのいろいろなヒントが本書のなかにちりばめられています。 トレーニングに関してもこのようなアプローチになります。 『全身を効果的に動かすと、身体は疲労感でなく気持ちよさを感じる』 『自分の身体にとっての「楽」や「自然」を探すこと』 「ナンバ」という言葉にはさまざまな定義があることを紹介した上で本書では、『ナンバ=難場(難しい場・困難な状況)』と定義し、『難場をどのように身体(心)を動かして切り抜けていくか』を古武術の動きをもとに研究した内容が写真を多数入れたわかりやすい形で紹介しています。 本書はバスケットボールにナンバ的な動きを応用したのですが、実例が豊富なので、実際に取り入れて応用したい人にも役立つ入門書となっています。

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