身体・感覚とアート

2005/11/02(水)08:30

M氏:「運がいい」というおまじない

M氏の像 相模原個展へむけて(116)

「おれは運がいい」とくりかえすことにひとつの強力なおまじないがある。 私はそう思った。 M氏と話しはじめたころ、しきりにM氏がそう繰り返すことに気づいた。 シベリア抑留から生きて帰ってこれた。いろんなひとに助けられた。 これは運がいいからだ、というのはその通りだ、でも、それだけでない理由があるはずだ。 それに、運を呼べるとしたら、どうだろう? これだけ運がいいと繰り返すM氏は運を読んでいるに違いない、と思ったものだ。 そうして運について繰り返して聞いていたころ、M氏は「これは素敵だ」と感じる感性をつねに磨いていることに気づいた。 私が訪ねた日に晴れていると、「やぁ、いい天気になったね、ついてるね」と声をかけられる。 お医者さんに健康状態をほめられると、「身体にめぐまれたな」と素直に喜ぶ。 シベリア抑留さえ、「旅行へいってきたようなものだ」といいきる。 その背後には、意思の強さを感じる健康管理や、つらい出来事も存在する。それを否定するのでなく、その上で良い面を「運がいい」といいきっている。 そうすると、天気などはまさに「運がいい」。 たまに良くないことがあれば「いつも運がいいからたまにはしょうがないか」となる。 気分がよい循環にまわっていく。 そして、いつの間にか、ほんとに運を呼び込んでいく。 「運がいい」というのは自分を元気付ける強力なおまじないだ。

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