日本美術ができたとき 6
時代とともに、変わるものがある。時代とともに、変わらないものがある。絵に対する環境は時代とともに変わっていく。絵、という存在自体はいつの時代も変わらない。美術、ということばが生まれた1873年。明治時代。アメリカ、ヨーロッパが世界のあちこちに進出していた時代。日本は、自国よりも圧倒的な強さで押し寄せるアメリカ、ヨーロッパに対して、否応なしに向き合うことになった時代。日本にあるものを、相手にしっかり伝えたい。相手に伝えるには、相手にわかる言葉を使う必要がある。日本美術という言葉は、アメリカやヨーロッパの文化に対して、日本の文化はこのようになっているのだ、と説明するために生まれた。そして、今に続く美術をとりまく環境が生まれた。絵や、モノづくりの環境はときとともに変わっている。絵や、モノづくり自体は変わらない。感性でものをみるとき、絵や、ものそのものを感じる。それは、いつの時代も変わらない感性を育てる。