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あるとき 私は 大臣だった。 玉座の背後に立ちながら、敬愛する主君を戴く誇らしさと喜びに満ちていた。 しかし、私は主君を失ってしまった。
あるとき 私は 騎士だった。 甲冑に身を包み、広大な青空の下、どこまでも続く草原に馬を駆っていた。 しかし、私は仕えるべき主君を見出せなかった。
あるとき 私は 修道女だった。 教会の静寂の中で、すべてを神に奉げていた。 しかし、私は信仰を失ってしまった。
ずっと、全てを投げ出し、忠誠を誓える主を探していた。 理想の具現。 良心の結晶。 ときに、王であり、師であり、恋人や、神だった。 いつも見い出すたびに、失ってしまう。 胸が張り裂けそうな悲しみと孤独を、そのたびに味わった。
私の主は どこにいるのだろう?
それは 私の中に。 魂のささやき、身体のことば、感情のひびき。 その声に耳を傾け、従い、忠誠を誓う。 私が、私自身の主なのだと。
私につながる、全ての人に、全ての時に、全ての出来事に。
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Last updated
March 13, 2007 03:05:42 AM
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