漫画「私の夫はある日突然殺された」
「私の夫はある日突然殺された」森園みるく
読ませて頂きました。
以前、クレオパトラという記事で少し紹介したのですが、この漫画の原作者 村崎百郎さんと漫画家の森園みるくさんはご夫婦でした。
しかし、村崎さんが精神障害者の読者に自宅で刺殺されるという事件が起きました。
夫を突然失う、しかも自宅で殺されるなんてとても想像に耐えません。しかも犯人は責任能力がないと不起訴になっています。今もどこかで普通に暮らしていると考えるだけで恐ろしいし怒りが止まりません。
7年経ったとはいえ、こんな悲惨で残酷でやりきれない事件を、ありのままでありながら決して暗いだけの話にせず、ユーモア交えて漫画にした森園みるくさんに敬意を表します。
あまり書くとネタバレになってしまうのですが、この事件に関して、とても不思議なことがたくさん起こったそうです。
まず、村崎さんは以前から、奥さんや親しい人に「俺は精神障害者に殺されて死ぬんだ」と言っていたそうです。
村崎さんは自らを「電波系」と称し人の聞こえないものが聞こえていたそうですが、ご自分の死期も見えたり聞こえたりしていたのでしょうか・・
そして、村崎さんご夫妻はおしどり夫婦で有名で、いつも食事に2人で出掛けていたそうなんですが、事件の日は村崎さんが声をかけられる雰囲気じゃなく仕事されていたそうで、その日に限って森園さんが1人で食事に出たそうです。
事件は森園さんが家を出てから10分後に起き、食事を終えて帰る少し前に犯人が連行されたそうです。
また、村崎さんは事件の直前に今まで全く興味のなかった保険に加入したり、森園さんが家に住めなくなったため不動産屋に行くと、担当の人が村崎さんのファンで、早く新しい所に住めるようにしてくれたり、事件当時森園さんの妹さんの娘さんが留学で日本を離れたところだったため、森園さんに付き添っていられたりしたそうです。
霊能者の方は、村崎さんが森園さんをとても心配して守ってくれていると言っていたそうです。
何気ない会話の中の話で言っていた、村崎百郎記念館を作ることも、偶然上手く話が進み現実になりました。
私はとても偶然とは思えませんでした。もちろん、起こるべくして起こったとは思いません。こんな事件はない方がいいに決まってます。大切な人を失った悲しみや後悔は消えることはないと思います。
また、この作品には書かれていませんが、村崎さんが森園さんに「お前は男運が悪すぎるから俺じゃないと無理だ!」と言っていたエピソードが私は印象的です。こんな形で死別されてしまいましたが、お二人はすごく運命的な繋がりがあるんじゃないかなーと思います。
最後に、紹介されていた村崎さんへの追悼文がとても響いたのでご紹介させて頂きます。
村崎百郎という人は良識のあるいい人でした。しかし、決して鬼畜を「演じて」いたわけではありません(僕はそう思っています)。彼は自らの中に厳然とある「鬼畜の部分」から目を背けることができなかったのです。 ー京極夏彦
「人間は燃えるゴミである」と説いた村崎百郎は、一切のモラルや良識を排した「鬼畜」の視点から世相について語り続けた著述家。2010年の夏、男に刺殺されるまで「善にも悪にも徹しきれないこと」を本性とする人間への「最低限の礼儀」を貫き通した。「村崎百郎」こと黒田一郎 「鬼畜」の仮面と「●人」の皮を自らの生の一部として引き受けた「人間的な あまりに 人間的な」作家だった。
ー美術関係者 Oさん
ご冥福をお祈り致します。
※この作品は、書籍化されておらず、電子書籍で読むことができます。
めちゃコミック
エクボストア
長々お付き合い頂きありがとうございます。