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ももも。のおスイス暮らし

ダウトフル・サウンド~言葉

旅・ダウトフル・サウンド ~言葉~



フィヨルドランドで世界的に有名なのはミルフォード・サウンド。
でも何人から、ダウトフル・サウンドはもっとよかったと聞く。
いろいろ考えて両方行くことにした。

ミルフォード・サウンドはクルーズで行くことにし、
ダウトフル・サウンドもクルーズだとなんか物足りない気がしたので、
カヤックをすることにした。その方が自然のダイナミックさも味わえるし。
ダウトフル・サウンドは大きく、またアクセスが悪いので、
カヤックツアーも最低1泊からだった。
エイベル・タズマンでカヤックデビューして、オカリトでもやって、
すっかり気にいっていたし、なんとかなるだろうと思った。



ツアーの前日、ちょっとした説明会があるということだったが
私は参加できず、メンバーとは当日初対面となった。
当日朝早く泊まっていたテアナウのYHにワゴンが迎えに来た時は、
すでに他のメンバーはワゴンの中にいた。
「グッドモーニング」と声をかけても、あまりいい反応がなかった。
まだ薄暗くワゴンの中のみなさんの顔もよく見えなかったのもあるが、
とても不機嫌そうに見えて、内心びびった。


グループは8人とリーダー。
イギリス人・ジェイソン以外はカップルか友達同士の参加で、
当然、私はジェイソンと組むことになった。


ワゴンで山を越え、船で荒波の湖を渡り、
さらに古~いジープのような車でガタガタ道を行き、
ダウトフル・サウンドの入り口にやってきた。
着いたはいいが、悪天候のため、予定通りカヤックでの出発ができず、
その晩のキャンプは中止。入り江近くにある施設で泊まることになった。


午後、天気がましになってきたので、カヤックをすることに。
カヤックに乗り込む前に、しっかりとした説明がリーダーからある。

「ここはエイベルタズマンやゴールデンベイのように柔らかい砂浜ではなく、
 気軽にカヤックが楽しめる所ではない。危険が常に伴うことを忘れるな。」

確か初心者でもOKってパンフレットには書いてあった、
正直気軽な気持ちで申し込んだ私は逃げ出したい気分になった。
相変わらず、ジェイソン以外のメンバーとは打ち解けれていないし、
なんでこんなとこ来ちゃったんだろ…。
カヤックの操作の説明も念入りだった。

足慣らしという感じで2時間カヤックを漕いだ。
後ろに乗っているパートナーのジェイソンからバッチリ指導が入った。
腕が疲れた。
ウェットスーツやらいろいろ着込んでいたが、波も荒かったし、
雨のせいでパンツまで塗れていた。


その晩はそれぞれが持ち込んだ食材でご飯を作り、みんなで食べた。
実はリーダーとメンバー計9人の中で、英語が母国語でないのは私だけだった。

リーダーが私に言った。
「ももも。は英語が理解できるから、君のことを言っているわけじゃないけど、
 どうして日本人は英語ができないのに、一人旅をするんだい?
 それにこういう危険を伴うアクティビティにも、英語がわからないのに
 参加をする人を見てきた。これはおかしい。
 自分は日本語ができないから、日本に一人旅なんてしようとも思わない。
 なんでもおっかなすぎる。」

私は言った。
「確かにこういうツアーに参加するのは危険かもしれないけど、
 普通に旅するのならいいのではないか。
 日本語ガイド付きのツアーを利用する人もいるし、一人旅をする人もいる、
 人それぞれ。誰にだってよい景色を見る権利はある。」

なんかもっと言いたいことがあったけど、何か悲しくなって言えなかった。
その話はそれで終わった。


その後は普通におしゃべりが始まった。
ネイティブ・スピーカーの会話はついていけない時がある。
私は推測するのに精一杯で自分から何かを発することはできず、
ただその場にいるだけだった。

不意に、オーストラリア人・アリエネが私に会話をふってきた。
「ももも。、日本ではどうなの?」
今話されているトピックにちょっと自信がなかったので、
今こういうことを話しているんだよね?と確認した上で答えた。
急にふられて、びっくりしたけど、うれしかった。




翌朝、雨も止み、朝からカヤックを出すことになった。
昨日と打って変わって穏やかな水面。
水面に周りの森の緑が鏡のように写っていた。

私達の前をペンギンが回りながら泳いでいった。
ただただ美しかった。

私は心から来てよかったと思えた。

相変わらず、ジャクソンの指導は厳しく、楽しかったけど、クタクタになった。



又、長い道のりをテアナウまで帰った。
テアナウに着くと、リーダーがそこのパブで打ち上げをしようと提案をした。
私はあまり乗る気じゃなかった。
体もクタクタだし、そんなときにネイティブ・スピーカーの中で
ただぽつんといる気にはなれなかったし。
リーダーに来いよと言われ、「わからない。」とだけ答えた。

シャワーを浴び、同じYHに泊まっていたジェイソンに、行くの?と聞かれ、
うだうだ言っていた私に彼はズバっと一言、

「イエス オア ノー!!」

その迫力に押され、小さな声で「イエス」と答えた。


パブにはみんながすでに集まっていた。
厳しくてとっつきづらいと思っていたリーダーも、顔がゆるんでいて、
「ももも。、鹿の肉は食ったことあるか?ないなら是非食べてみろ、おごるから。」
と、やさしい兄ちゃんに変わっていた。
なんか結構しゃべったし、みんなもしゃべりかけてくれたし、楽しい夜だった。



昨日、私に話題をふってくれたアリエネが言った。

「ももも。、英語大変でしょ。」

「うん、難しい。一対一だとまだいいんだけど、大勢の会話にはついていけないし。」

「私はオーストラリアで生まれ育ったけど、母親がスウェーデン人だから、
 スウェーデン語がしゃべれるの。
 スウェーデン語ができるって自信があったんだけど、
 17歳の時、スウェーデンでホームステイをして、
 ネイティブ・スピーカーの会話についていけなくて。
 
 だから、私、ももも。の気持ちわかるよ。」


あー、だから昨日アリエネは私に話をふってくれたんだ。
本当にうれしかった。心がじーんと温かくなるのがわかった。


ちょっと初っ端からビビってしまったこのツアーだったけど、
行ってよかったと本当に思える。

神秘的なダウトフル・サウンドを直に体験できたこと、
そしてアリエネのような人に出会ったこと。


私も彼女のように、周りを気遣える人になろうと思った。




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