エッセイ下書き 小犬の冒険 チャンプ本が
今月のエッセイのお題が「冒険」である。冒険というと、こども時代にはとにかくあれこれ禁止されていたので、強い思い出がない。自転車乗りを禁止されていたので、友達の自転車で少し遠出をしたくらい?友達は私に自転車を乗っ取られてしまい、走っていたので後ろめたい思い出でもあり、エッセイの題材にはしにくいな。冒険物語も先生が読んでくれたのをきっかけに自分でもよく読んだが、それをネタにするとなると読み返さなくちゃ…ハックルベリーにしよう、と思いつつまだ読み返していないうちに期限がきた。いつものギリギリス。というわけで、うちの犬を題材に下書きしてみました。以下、下書き文小犬の冒険十月に母が体調を崩し、飼い犬の面倒を見切れなくなった。見かねてその老犬を引き取る決心をする。老犬だが小型犬なので見た目は子犬のようだ。自分でも若いつもりでいるらしい。そんなところは私とそっくりだ。人からどう見えようと。生活は激変した。犬は朝晩の散歩が必要なのである。朝寝坊が大好きなので辛いところだ。しかし年を取ってから飼い主が変わった犬はどれだけ不安だろう。大切に思っていることは感じてほしい。だから必死で起きる。夜のお出かけも諦めざるを得ない。家の近くにある運動場の周囲には遊歩道があり、そこを散歩のコースに決めた。母の調子が悪くなってから散歩の回数を減らされていた犬は、俄然張り切った。グングンとリードを引っ張って走り、まるで私が散歩させられているかのようだ。犬は自分がオオカミの群れのリーダーだと言わんばかりに先頭に立ち、下僕の私を引き連れてスピードを出す。冬の木枯らしが吹く中でも向かい風をものともせず、顔いっぱいに風を受けて走っていた。最近は少しずつ暖かくなってきた。すると犬の興味や関心が春の野草に移り、走るより立ち止まって野草の匂いをかぎ、食いちぎって遊んだりするようになっている。以前、保育園に勤めているとき、セキセイインコやモルモットを飼育していたことがある。セキセイインコやモルモットも野草が好きだった。こどもたちと様々な野草を摘んできては与えていたが、好むのはハコベだった。タンポポの葉も好きである。ホトケノザはお気に召さず、食べようとしなかった。早春になるとこどもたちに「インコやモルちゃんの葉っぱを採りにいこうか」と声をかけ、探しに行くのが春の風物詩。花より団子ならぬ、花より野草だった。今、犬が野草に夢中になっているのを見ると思い出すのである。もっとも犬はハコベでなく、ホトケノザを好んで食べている。インコやモルモットと好みが違う。調べたらホトケノザはシソ科の仲間なので、犬はその匂いに惹かれるらしい。上を見上げれば梅が咲き、モクレンのつぼみが卵のように膨らんでいる。しかし、犬を追っているので上を見上げている余裕はなく、下を向いて野草探しに付き合っている。またしても花より野草だ。この犬は母の家で飼われているときはアスファルトの上しか歩いていなかったと思う。近くに公園や遊歩道がなかったからだ。だから老犬になって初めて体験する土や野草で、まるでこどものように冒険気分なのだろう。保育園勤務時代にこどもたちと野草を摘んだり遊んだりすることが新鮮だったのが昨日のことのように鮮やかに脳裏に蘇る。今、犬が再体験させてくれているから。 以上でした。今日のグッドニュース全国高校生ビブリオバトルの優勝で、作品は土屋賢二先生のエッセイ「記憶にありません。記憶力もありません。」がチャンプ本に選ばれたそうだ。ビブリオバトルとは本の甲子園みたいなものでお薦め本を五分間トークして、どの本を聴衆が読みたいと思ったか、投票で競うものだ。私の若いときにはなかったスタイルで大変面白く興味深い大会だ。最近土屋先生の本ばかり読んでいた私としてはまるで自分の作品が選ばれたかのように嬉しい。それが高校生とは!高校生も読むんだ、土屋先生のエッセイ。とても励まされたという内容だったそうだが、そのトーク、私も聞きたい。土屋先生曰く、自分でも買ってしまおうかと思うほどのトーク力だったそうだ(笑)土屋先生の本は本当に励まされる。笑いながら励まされる。自分の悩みがちっぽけに思える。大変博学で、哲学者だから哲学的に科学的に書かれるのだが信じて読んでいると、かなりデタラメを書いているのが可笑しい。土屋先生のことはまた書きたい。