『ライオンハート』　恩田陸

2005.05.25

カテゴリ：本

『ライオンハート』　著：恩田陸

言わずもがな、SMAPの♪らいおんハートと同タイトルに惹かれて、
軽い気持ちで手に取ったのに、
フィクションで、読みながらこんなにぽろぽろ涙が出たのは、
もう覚えてないくらい、久しぶりに泣いた本。

時間や場所を越え、何度も出会う、エリザベスとエドワード。
歳も身分も立場もその時によって違うけれども、
必ず人生のどこかですれ違う2人。

夢の中で何度も出会い、その日を待ち焦がれる。

しかし、それはほんの一瞬の出来事で、その出会いは、
次の巡り会いを待ち焦がれる、長い長い年月の始まり。

「覚えていてね、私のことを…」

読みながら、いつの間にかエリザベスとエドワードになり、
2人が出会う瞬間を、今か今かと待っていた。

次は、どんな2人で、出会うのだろう…。

「いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。
会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ」

世界が金色に弾けるような喜び。
体中が震えるような出会い。

そんなの、あったかな？これから、あるのかな？
などと思いつつ、でもその喜び切なさを想像して、
涙がこぼれました。

おいおいなんだよ、こんな純粋なとこがまだ私にあるのかよ、
なんて照れ隠しに突っ込みつつ。

1枚のハンカチを頼りに、運命の人を待ち続ける…。
日々の雑踏に紛れて、いつの間にか忘れてしまいそうだけれど、
それでも出会えることを信じて。

その人のことを想うだけで涙してしまうような恋が、してみたいな…、
と思った一冊でした。