『13カ月と13週と13日と満月の夜』
著:アレックス・シアラー
赤毛でそばかすだらけで、
何時間でもしゃべっていられる、私。
新しくやってきた転校生と親友になろうとするが、
彼女は、とてもそっけない。
おばあちゃんのいない私は、転校生の隙を見て、
彼女のおばあちゃんにも話しかけるが、
おばあちゃんの話は、信じられないものだった…!
タイトルに並ぶ不吉な数字の示すように、
悪い魔女に体を乗っ取られた、12歳の女の子たちの物語。
その魔女たちというのは、
ほんとに邪悪の塊の、醜い老婆姉妹。
若返ることに異常な執念を燃やす魔女たちの、
ユーモラスなところなど、これっぽちもなく、
冷淡で恐ろしい描写は、子供向けの本にしては、
グロテスクすぎるかも。
子供、眠れなくなるよ。
ある日突然、魔女に体を乗っ取られ、
両親に必死に自分だと訴えるが、
痴呆老人だと思われ、老人ホーム送りになる、
12歳の少女。
やや子供向きの内容ではあるけれども、
老人の悲しみと寂しさが、12歳の女の子の心を通じて、
ひしひしと伝わってくる。
老いる、ということは、どんなに不便で、
苦痛なことか。
今まで、わけもなく歩いていた距離も、
体中あちこちに痛みのある老人の体では、
途方もなく遠い。
でも、この本に書かれているような、
老人ホームというより、収容所のようなところで、
自由も楽しみもなく、ただ死を待つだけのお年寄り、
ばかりでないことも、事実。
老いる、ということは、悲しいことでも、
つらいことでも、かわいそうなことでもない。
望むと望まないとに関わらず、
誰しもが、いつかはそうなるもの。
悲しい老人になるか、楽しい老人になるかは、
自分自身次第。
主人公の少女の台詞。
「人のものを盗むのは、悪いこと。
中でも一番悪いのは、人の時間を盗むこと」
たとえそれが自分自身の時間であっても、
無為に過ごすのは、泥棒と同じなのかもしれない。
無事、魔女から体を取り戻した少女は、こう思う。
「もしかしたら、道を歩いている老人は、
中身は12歳の男の子かもしれない。
傍若無人に振舞う、自分と同じ年頃の子供たちを、
悲しい思いで見ているかもしれない」
年をとった時、「まだ12歳のつもりだったのに!」
とならないよう、時間泥棒しないようにしなきゃ、
と思った、一冊でした。
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【参考】
◆その他、アレックス・シアラーの著書は→
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