まんがよみ日記

2009/12/02(水)00:06

坂の上の雲

批評(440)

 武士という支配階級がもっていた精神を細く長く食いつぶしながら日本という国を今日まで転がしてきたのではないか?と思うときがある。  覚悟とか、立場とか。犠牲を厭わない尊き精神。いまではノブレズ・オブリージュというカタカナの言葉でしか存在しないけれど。  歴史の中でだれかが尊い血を流しているからこそ自分があるのだと思えば感謝したくなる。  生きててすみません。  さて本作。  野沢尚の遺作と聞いては観ないわけにはいくまい。  本木雅弘に阿部寛に香川照之に菅野美穂に西田敏行に伊東四朗って。  どれだけキャスティング濃くすれば気がすむんだNHK。  この豪華出演陣でどうやったらコケさせられるのか?  俯瞰の多用で思う存分みせる世界の拡がりとやたら全力疾走する役者、顔をしわくちゃにしてぶつける感情。人が群れる場面のリアルさとスケール。  画面に熱があり、気をそらさせない。  演じる年齢を気にさせない細かい演出もまたいい。  個人的には明治ロマンはシバリョウによって過剰に装飾されすぎたものではないかと疑わしく思っているのだが。  この位置から学を志し、やがて男が一仕事成し遂げたと考えればやはり今こそ振り返るべき時代なのだろう。  原作を読みたくなった。   ところでこの時代でも男同士で感激したとき抱擁ってしたのだろうか?などと身体表現への余計なツッコミはドラマとは別の話。(♂)

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