monchihoshi

2010/01/06(水)03:18

肌色思い

おもいおもい(229)

  その記憶は胸に色濃く、鮮やかな赤 ほの暗い闇に淡いピンク それから…   ふとした瞬きに襲ってくる記憶。 たくさんの色の洪水… 感情の濁流   私が手放したものが何であったか。     例えばあの船から見た、 東京の真上に広がった 嘘みたいな夕焼け。   例えばまだほの暗い朝の 桜の薄墨の下 詰め込んだ荷物の重みで、 ゴロゴロと手に伝わる期待と不安。   それらすべては過ぎ去ったものとして 愛しい想い出として、目の前をふわりと通過していく。     そうして 私が今、手にしているのは 小さくて柔らかな、愛しい肌色。   桜貝のような小さな爪がついた指の 想像以上に強いちから。 生きようとするちから。  

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