2010/01/06(水)03:18
肌色思い
その記憶は胸に色濃く、鮮やかな赤
ほの暗い闇に淡いピンク
それから…
ふとした瞬きに襲ってくる記憶。
たくさんの色の洪水…
感情の濁流
私が手放したものが何であったか。
例えばあの船から見た、
東京の真上に広がった 嘘みたいな夕焼け。
例えばまだほの暗い朝の 桜の薄墨の下
詰め込んだ荷物の重みで、
ゴロゴロと手に伝わる期待と不安。
それらすべては過ぎ去ったものとして
愛しい想い出として、目の前をふわりと通過していく。
そうして 私が今、手にしているのは
小さくて柔らかな、愛しい肌色。
桜貝のような小さな爪がついた指の
想像以上に強いちから。
生きようとするちから。