隙間の恋
ひとなみに幾人かの人と付き合ってきたけど、別れた後もずっと好きな人も居れば、一生、顔も見たくないっていう人も居る。 一度は好きになった人というのは変わらないのに…その差って何なんだろうね。 この間、西荻窪をひとり ふらふらと歩いててとても懐かしい本棚に出会って、なかなかそこを離れられなかった。本棚に並べてあったタイトルや作家名が、とても懐かしくて。私が昔、とてもとても好きだった人がよく読んでいた本達がいくつも並んでいて。 結婚しても、子どもが居てても関係ないね。今すぐその人の存在を確認したくなって、未だに消せずにいる番号をじっと眺めた。 こんな自分が連絡なんてしたら迷惑にしかならないだろうってついに最後のボタンまでは押せなかったけれど。 もう、何年になるのかな…この気持ちは風化しないものなんだろうか? 「二番目に好きな人と結婚しなさい」友人のお母さんが言ってたこの言葉が、胸にひっかかってる。 長く一緒に居る事で大切な想いがうやむやになってしまうなら… 一番の、特別な思い出は、風化しないように冷凍庫に取っておいて、時々 数十秒間だけ眺めるだけで溶けないように永遠に閉まっておくってことなのかもしれない。 …なら、常温で野ざらしにしてあるものは冷めて、不味くなって、腐って当然なのか。 美味しくて毎日でも食べたいと思ってたものでも、あまりの不味さに夢から覚めたとしても、仕方ないね。 それでも、私は馬鹿だから、少しくらい自分を騙せたのになぁ。隙間を埋めれば、多少たてつけ悪くっても笑ってずっと生活できてたのになぁ。 隙間からガタついて 心が逸れてく。