ウルルン、ザハでのお買い物(後編)
テレビ局を出発しました。撮影は既に始まっています。車は「ナラン・トゥール・ザハ」と呼ばれるモンゴル最大の市場に向かいました。実は、私はここを訪れるのは今回が初めてです。私はどこの国へ行っても、時間があれば市場を覗きたい方なので、もちろんこの一番有名なザハのことは知ってました。ですが、あまり良い話を聞かないのです。とにかく危険だ、スリが多い。いや、スリどころか強盗もたくさんいる。しかも白昼堂々と皆が見ている前で集団でお金などを取る、などなどです。外国人は言葉でわかるので、特に狙われやすい、などです。現に身近な人にその旨聞くと、ほとんどの人が「絶対一人では行ってはいけない」と言います。とはいえ、今回はテレビ局の人も一緒だからいいでしょうと思いました。ですが、カメラマンさんも「このザハでの撮影は気乗りしない」と言ってました。トラブルがないことを祈ります。いよいよ到着です。財布や携帯などは、ズボンのポケットから出し、コートの内側のポケットにしまいました。カメラもあまり使える雰囲気ではなさそうです。驚いたのは、このザハが露天だということです。かなり広い敷地なのですが、ほんの一部を除き、ほとんど全部露天です。つまり寒さそのままということです。今まで他市内のザハや地方都市にあるザハにも行きましたが、全て屋根つきでした。ですが、ここは露天なのです。聞けば、食品関係の場所には屋根があるそうです。ちょっと信じられません。マイナス30度を下回る寒さなのに、お店が屋外にあるのです。マイナス30度以下での露天市場って他にあるんでしょうか?冷凍倉庫の中で市場やってるようなものです。とにかく寒いです。北海道の釧路とか根室とかの夜の最低気温よりも低い温度の中、屋外で商売しているのです。わずか1時間ほどで皮手袋の下の手は痛くなり、足も痛いです。手袋もブーツもモンゴルで買ったものです。街を歩いていて、ここまで冷たくなったことはありません。買い物客は、手袋もしてない人がいます。店員さんも辛いでしょう。動き回るわけではなく、同じ場所にずっといるわけですから。足が冷たいのには理由があります。地面がどこも凍っているのです。もちろん、地面は土ではなくコンクリートだからでしょうか?とにかく路面がどこも凍結しているのです。ですから、スケート場の上を歩いているようなもので、足がどんどん冷えて行きます。カメラマンさんもこの寒さの中、大変です。ここではデール(モンゴルの民族衣装、冬用のは内側に羊毛がついていて暖かい)とブーツ(これもモンゴル風の革製です)、手袋を買いました。デールは私の着ている分厚いコートを着たまま、その上から着る大きさのを買いました。相当大きいですが、確かにこれなら暖かそうです。手袋も、今の手袋をしながら二重にできる大きさのを選びました。ブーツは、インナーとアウターに分かれているタイプで、インナーはフェルト生地、アウターは革のです。買い物時の様子の撮影するため、私はモンゴル語で「いくらですか?」と聞きます。値段を聞いて「高いねー。安くして。」などと一応交渉するというものです。お金はスタッフが私に渡し、私がそれを店の人に渡すという段取りでした。更に「向こうでは、日本料理を作ってもらいます」と言われていました。「寿司とかてんぷら、できますか?」なんて言われても、ウランバートルでも作れないのに、そんなものゲルで作れるはずないです。「ま、カレーしかないだろうな」と。Mさんは「カレーって日本料理ですかね?」と言いました。「モンゴル人は和食と日本で食べる料理の意味の違いはもちろん知らないでしょう。日本で食べる料理ってことでいいでしょう。」と決定。ですが、私もMさんもカレー作戦が上手くいくとは思っていません。私は以前、レトルトカレーをモンゴル人に食べさせたことがありますが、一口で「もういい」と言われました。Mさんは、知人の話で「遊牧民は、あのカレーの色、形が嫌いだそうです」というのを聞いていたからです。ま、まずそうに食べる様子も、テレビ的にはいいのかもしれませんけど。ザハにも食品は売ってますが、カレー材料はスカイというスーパーマーケットで買うことになりました。もちろん、これも撮影の対象です。まずはスタッフがスカイに撮影できるように交渉します。しばらくして戻ってきました。撮影はOKですが、場所は食品売り場だけ、時間は10分だけというものでした。ですから、あれこれ悩まずにさっさと材料を買えということになりました。入店前に、スタッフにピンマイクを付けてもらっているMさんです。私はよくスカイを利用していますので、まずはカレー売り場へ直行。ここには中国製S&Bのカレーが置いてあります。味は日本製とはちょっと違うらしいですが、まあ大差ないでしょう。あとは、玉ねぎ、人参、じゃがいも。そしてお米です。これらを全部買って、この日の日程は終了しました。今日買えなかった、デールを着る時の帯とか毛皮の帽子などはスタッフが買っておくそうです。さて出発は、金曜日の夜の7時となりました。どうなるのでしょうか?