通訳も大変です。
今日も終日ミーティングの連続でした。ま、ミーティングやインタビューが私の仕事と言えばその通りですが、ずっと英語とモンゴル語の通訳だけでやっていると、さすがに疲れます。モンゴル人に多いのが、通訳をうまく使えないタイプの人です。私は通訳してもらうのを意識して、ある程度の長さで区切って話すします。通訳も記憶が鮮明な内に話せますし、相手と話がずれても会話のやり取りが短く行われるのですぐに修正できます。ですが、そういうことには一切お構いなしというタイプが結構います。私が短い質問をしても、延々と話すのです。中には5分以上も話し続ける人もいます。通訳する人も大変ですし、もっと困るのは時間管理ができないことです。私の質問に答えたつもりでも、実はそのほとんどは私が既に知っていることだったり、質問の答えというよりは自分の主張を言うためにこの機会を使いたい、というような内容が多いのです。それはそれでいいのですが、やはり時間が限られているので、こうなると時間オーバーになりがちです。日本人にももちろん、延々と持論を述べたがる人はいますが、その場合は私はその場で適宜軌道修正したり、質問の仕方を変えたりすることで、そういう状態が続くことはありません。でも通訳経由なので、私はその人が何を延々と言っているかわかりませんし、通訳も立場上さえぎったり、質問を変えるというわけにも行きません。日本でもアメリカ人やドイツ人などとの通訳付きの会議にも出ることはありますが、さすがに彼らは通訳の使い方は分かっていて、文章の途中でも適宜ポーズ(合間)を入れて通訳に配慮します。そういう経験からすると、ほとんどのモンゴル人は通訳への配慮というのは正直感じたことないですね。多分相手に正しく伝わるかどうかよりも、言いたいことを言い切りたい、という気持ちの方が大きいのでしょう。通訳をしてくれている、将来経営コンサルタントになりたいEさんもその辺は感じていて、「あんな長い話をしたけど、中身はほとんどわかっていることばかりでしたね」と言ったほどです。ランチタイムに、クライアントの従業員用の食堂に行きました。私はこの食堂は結構好きで、いつも楽しみにしています。基本はモンゴル料理ですが、街のモンゴル料理の食堂よりおいしいです。広い食堂の一番奥にあるテーブルは、役員や私のような外部から来ている人が使うことが多いです。別に個室になっているとか、テーブルが特別だというわけではありませんが、やや一般従業員用のテーブルと距離がある、という程度です。そこに座って食べていると、西洋人2人が同じテーブルに座りました。以前の経験からすると、このテーブルに座る白人はロシア人や東欧系が多いです。モンゴル人の部長さんが、お互いを紹介してくれました。私のことも「こちらは日本から来ている経営コンサルタントで・・・」と紹介し、白人2人を「ロシアから来ているITエンジニアです」と紹介してくれました。2人のうちの1人はかなりハンサムなロシア人で、なんとなく見たことがあるような気がしていました。六本木ならモデルで通用しそうです。するとその彼が「1年ほど前にこのテーブルでお会いしましたね」と英語で話しかけてくれました。私は「ああ、やっぱりそうですか。覚えています。」と答えました。「今回は何日間の滞在ですか?」と聞くと、3日間とのこと。これは相当な偶然じゃないかと思いましたね。1年後に同じテーブルでランチをする確率。方や3日間だけ、私もこの会社に訪れるのは3日間だけ。しかも共にランチタイムからちょっとずれた時間に行ったのです。計算はできませんが、再び同じテーブルに着く確率は相当低いんじゃないかと思いました。そんな風に感心していると、今回の私のプロジェクトの顧客側窓口になってくれるMさんがそのロシア人にロシア語で話しかけました。Mさんは日本語はできませんが、英語は流ちょうです。そのMさんはロシア語もペラペラだということです。Mさんによれば、ロシア語の方が自分はネイティブ並みに話せると言ってました。そう言えば、この会社の社長さんも私との会話では通訳(英語・モンゴル語)を必要としますが、EBRD(欧州復興開発銀行)から来た東欧系の人とは通訳なしのロシア語で話してました。でも私がいたので、結局会話は英語になり、社長さんは通訳に頼らないといけなくなったのですが。やはりモンゴル人の語学能力は高いです。いつも思うのですが、一番は耳が違いますね。我々には聞き取れない、違いが判らない発音が「鮮明」に聞こえるんだそうです。ま、日本語でオやウに近い音だけで4つあるし、もちろんLとRもモンゴル語の中でも使い分けてますから、日本人のような苦労はありません。こういう個人の能力をいかに組織の能力にまで持っていけるかが、モンゴル企業の課題でもありますね。