高専紹介見ましたが、問題は残ったまま?(1)
本ブログ読者の方から、30日に放送されたNHK「おはよう日本」でモンゴルの高専のことが紹介されていたとコメント頂きましたので、さっそく録画を見ました。モンゴルでの日本式高専については、本ブログに3月に書きましたので、ご関心ありましたらご覧ください。(3回連続となっています)https://plaza.rakuten.co.jp/mongolmasami/diary/201803170000/この記事は新聞を読んだだけで、特段何の情報も得ずに書いたものでしたが、今回の番組を見て私の問題提起が正しかったことが証明されたような気がしました。最大の問題は「出口戦略がない」ということです。日本で過去の高度経済成長を支えた日本の高専という仕組みを海外へも持って行って、その国に貢献しようということは素晴らしい動機であると思いますが、最も大きな問題は現地の事情を何も考えていないということです。番組ではタイの高専の例も出ていましたが、これはいい試みでしょう。なぜならタイには5000社以上もの日本の製造業が進出していますから、高専を出た人の価値も理解できるし、何と言っても就職口に困ることはありません。日系企業にも高専の生徒にも良い仕組みだと思います。ですがモンゴルは違います。日本の製造業の進出はゼロとは言いませんが、ほとんどありません。更にモンゴルの大学進学率は日本よりも高く、大卒は当然であり、大学院卒の肩書が日本と違って大きく重視される社会です。それでも、高専を出て就職できればいいです。ところが「間抜けな」学校設立関係者は、出口戦略なしで日本のこの仕組みを導入したのです。番組には優秀な生徒が紹介されていました。現在4年生とのことで、来年には就職が待っています。本人もインタビューで「日本で働きたい」と言ってました。当然です。恐らく現地の事情を知らない高専関係者が「高専を出れば引く手あまたで、就職に困ることはない」などと甘い言葉で勧誘したのでしょう。こうしたいい加減な日本人の被害者になるのはいつも無知な子供たちです。番組でもプロパガンダ的な内容を放送した後で「でも、問題があります。現行制度では大卒でないとビザが支給されないのです。」と問題の本質にも軽く触れてました。日本から企業の方が就職説明会にも来ていたようですが、法務省の厚い壁を破る方策もないままもうすぐ5年がたとうとしているわけです。番組では「現在、高専関係者がビザが取得できるように働きかけをしています」と言ってましたが、私は特別扱いは難しいと思います。なぜか?もし「海外の高専を出た若者は、日本の製造業で働けるビザを取得できる」となったら、一体どうなるか?それじゃあと、中国もベトナムもミヤンマーも「コウセン」を作るのではないでしょうか?「ここを出れば、日本行きのビザ取れますよ」と宣伝できますから。その対策として「日本人が作る高専のみOKで、現地のコウセンはだめ」なんて法律作れるはずありません。もし現地のコウセンが認められば、高専の本来の目的からずれ「ビザ取得抜け道学校」になるからです。(続く)