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カテゴリ:モンゴル国立大学・学校、教員
「前日よりの続き」
生徒のレベルはどんなものでしょうか? 今週、授業でCSR(企業の社会的責任)とか企業倫理の授業をやりました。この手の話となると、欧米では必ず出てくるジョンソン&ジョンソンのタイレノール事件のことが登場します。 今回のトヨタのクレームの話ではないですが、CSRは企業の危機管理として益々重要になっています。 J&Jは以前タイレノールという大衆薬に何者かが工場出荷後に毒物を入れ、それによってアメリカ中が混乱した時の対J&Jの応ぶりを取り上げているのです。 要は、J&Jに法的な過失は全くないにも関わらず、「消費者がわが社の製品に少しでも不安を持つことは許されない」と全品回収し、パッケージを全面変更して対応したというものです。 つまり、「自分は悪くないけど、消費者に少しでも不利益があるなら、お金をかけてでもやり遂げる」ということです。実際、相当なコスト負担になりました。 ですがこの後、J&Jはアメリカ国民からは絶大な信頼を得て、消費者に強く支持される企業に発展して行ったという話です。 このイギリス式授業では、Webサイトをダウンロードして、それを読んで課題に答えなさい、というものでした。 面白いのは、良い例として取り上げられたのがJ&Jですが、悪い例も出ています。どこだと思いますか? なんと雪印でした。あの社長の「俺だって寝てないんだ。」発言に代表される一連のひどい対応ぶりが書かれているのです。 日本人として、世界中のいろんな事例から雪印が選ばれたことについては、なんとも残念ではありますが、本当のことなので仕方ないでしょう。 今まで生徒らはこういう課題も事前にやってないことが多かったので、私はかなりきつく「絶対にWeb見て、答えを各自で書いて来るように」と言い渡しました。 で、授業当日です。私が、あらかじめ用意されている質問をある生徒にしました。ところが、答えは何を言ってるのかまったくちんぷんかんぷんです。 私は質問を読みなおしました。「J&J会社がとった対応は・・・・」との質問が書いてあります。ですが、あまりにも噛み合いません。 私は「なんでそういう答えに行きついたの?」と質問を続けると・・・なんと原因は、ちょっとびっくりというかがっくりくるようなことでした。 ジョンソン&ジョンソンというのを会社だとは思っておらず、「ジョンソンさんという個人」だと思っていたようなのです。 私はびっくりして、他のもっと英語ができる生徒に聞きました。「あなたはどう読んだの?」と聞くと、なんと彼も同じで、会社だとは思わなかったというのです。そしてなぜか「雪印は良い会社として書いてあります」と言うのです。 私は、これは相当重症だなと思いました。そのケースの記述は比較的平易に書いてありますし、質問にもJ&J会社はとわざわざCompanyと書いてあります。 英語での読解力の問題はもちろん大いに同情すべき余地はありますが、それにしても厳しいです。 教材では、何度もスターバックスとかマクドナルドとかを「誰でも知ってるでしょ?」という前提のもとに登場しますが、そうではないのです、この国では。 このイギリス式授業の利点はいろいろあると思いますが、生徒のモチベーションのなさから来る教員のモチベーション低下の流れはなかなか変えられそうにありません。 いろんな問題が含まれているので、簡単な解決法はなさそうです。親は「お金さえ出せば、欧米留学への切符」が手に入ると思っているようです。 実際、ここの学費は普通の学校の3-4倍はするようです。子供は欧米留学の「予備校」くらいにしか考えていないようです。 Gさんがいつ帰るのかはわかりませんが、多分会えてもあと数回でしょう。彼のモンゴルでの印象が少しでも良くなってくれることを祈っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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