田崎正巳のモンゴル徒然日記

2010/04/16(金)02:20

正直言うと、やっぱり学生のレベルは厳しいかな?

モンゴル国立大学・授業風景(26)

例の「イギリス式授業」に新しい生徒がやってきました。それがイタリア人のPさんなのです。 彼は、交換留学生でモンゴル国立大学に先月から来てるらしく、半年ほどいるのだそうです。 本来は、このイギリス式授業はモンゴル国立大学とは別の単位というか別の卒業資格の学校なのですが、モンゴルに留学してもモンゴル語の授業ばかりなので、「英語でビジネスを学べる」ということで、私のコースに途中から参加したとのことです。 彼は留学生と言っても、語学留学ではないので、自分の興味ある分野にはできるだけ出てみたいという願望があるようです。 それにしてもよくまあイタリアから来たもんだと感心します。一体どういう日常を送っているのかちょっと心配です。 その彼が、2週間前から私の授業にやってきました。懐かしいイタリアン訛りの英語です。ミラノにいる友人(偶然ですが、Pさんと同じ名前なのです)の発音と似ており、歌うように話す英語は結構好きなのですが、聞き取りはかなり難しいです。 その彼が私のクラスに合流してからの率直な感想です。「あー、やっぱりそうだよね。」です。 どういうことかというと、モンゴル人の学生は「あまりにも、物事を知らなさすぎる」ということと「あまりにも、考えようとしない」という事実が、やはり明確になったということなのです。 授業やっていても、「本当に18歳、19歳なの?」と疑いたくなるほど、一般常識を持っていませんし、授業態度も小学生以下が多いのです。 というか、モンゴルでは小中学生の授業態度は相当いいと思います。今の日本がどうなっているかはわかりませんが、昔の自分らのころと比べても、礼儀正しいし、学習欲は旺盛です。 ですが、どうこでどうなったかはわかりませんが、大学生、特にこの「イギリス式授業」の生徒らのやる気の無さと、常識のなさにはちょっと疲れてしまうほどです。 ですが、そういう生徒たちでも長くやっていると「私の期待値が大きすぎるのかな?」「私の話が難しすぎるのかな?」とも思ったりしています。もちろん、相当わかりやすく話しているつもりではあるのですけど。 そこにPさんが来たのです。彼が授業に参加して、ほんの5分でわかりました。「ああ、そうだよね、これが普通の大学生レベルだよね」と。 普通に経済やビジネスの話をしても通じるのです。それも簡単に。もちろん、レベルそのものは初歩的な内容です。でも、こちらの期待通りの反応や学習態度があることをすぐにわかりました。 「ビジネス入門」という授業なので、内容は簡単ですが、結構広い範囲に渡っています。市場分析、環境分析から始まって、市場構造、競争環境に生産や品質管理、更には組織体制、人的管理、マネジメントにリーダーシップ、マーケティングなどなど盛りだくさんです。 もちろん、学生は知識が皆無という前提でやってますが、モンゴル人の学生の場合は、知識どころかその前提となる基礎知識が丸でないので、一体どこから教えるべきなのかと迷ってしまうこともあります。 ですが、Pさんは話してすぐにわかりました。それは彼が今まで経営を勉強してきたかどうかという意味ではありません。 普通に、例えば普通の日本人の若い人と話すように話せば、話が通じるということです。私は話しながら良く事例を話すのですが、トヨタだろうがソニーだろうが、そもそも大企業というものがよくわかってない上に、モンゴルではほとんどメーカーという業態が少ないこともあり、なかなかピンとこないようです。 ですが、Pさんはそんなことないです。気を使わずに「例えばGMは・・」とか「GEは・・」などと話せるのです。 ヨーロッパ企業の例を出すと嬉しそうに彼も「イタリアではこうやっている」などと発言もします。 彼は彼で、私にその授業のテーマにちなんだ、いろんな質問をします。「最近のグローバル企業は・・・の傾向がありますか?」とか。もちろん、そんな質問はモンゴル人学生からは皆無ですし、発想もできないです。 私が彼に向って「なるほど、それはいい質問だね。」と言いながら、他の事例などを話すと、彼は一層いろいろ聞いてきます。 ですが、他のモンゴル人学生全員は、私と彼が何について話しているのかもほとんどわかっていない、というのが実態なのです。 モンゴル人学生が全部レベルが低いと言ってるのではありません。聞けば、数学や物理などはかなりレベルが高く、世界大会などでもいい成績をおさめている人も結構いるらしいです。 現に、私も小学生や中学生の数学の内容を見て驚きましたから。「こんな難しいのやってるの?」と。 ですが、残念ながら経済やビジネスの分野はどうも極端に弱いようです。 うすうす思っていたことが、図らずもイタリア人のPさんの登場ではっきりしてしまいました。 途上国や小国は、それだけで相当なハンディを背負っているということを。そうは言っても、私も簡単には諦めるわけにはいかないので、頑張って教えるつもりではいますけど。 そのPさんが今日私の部屋にやってきました。私の授業「日本企業経営」を受講したいというのです。もちろん、OKですし、こういうのは嬉しいですね。 ただもう半分終わっているので、途中からだとわかりにくいかもしれませんが、喜んで迎え入れるつもりです。 彼が希望すれば、個人授業でもやって、日本企業への理解を深めてもらういい機会になればいいと思っています。 やっぱり教員のやる気を引き出す一番の素は、生徒の好奇心ですね。

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