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カテゴリ:日本語教員・N学校
この半年ほど、N学校で週に1回日本語を教えています。
私は日本語の教授法などを教わったこともありませんので、自分のやり方でやっています。もっとも大学の方も、特段教授法など教わったことはありませんが。 ですが、子供たちには結構好評のようで、とても楽しみにしてくれているようです。私が担当していない子供らからも、しょっちゅう声をかけられます。 礼儀正しいというか、挨拶も丁寧で一般のモンゴル人では見かけない光景が多いです。日本語教育をすると、日本的な文化がなんらかの形で伝わるのだろうと思います。 今、担当しているのは、7年生(13-4歳)の2クラスです。2つのクラスはレベルで分かれており、上級クラスには女の子が多いので「女の子クラス」と呼び、まだ初級レベルのクラスは男の子が多いので「男の子クラス」と呼んでいます。 ここで何を教えるのか、特段教科書に沿ってやろうというつもりはないので、毎回頭を悩ませまています。 きちんとした教科書でしっかりしたカリキュラムは日本語の先生のDさんを始め、他の日本語の先生がやって下さっているので、私は「日本人と話をした」という現場感を大事にしようと思っています。 季節感ある話題なども取り入れています。とはいえ、毎回面白い話題があるわけではありません。 今は、それぞれのクラスで基本的なパターンを持つようになりました。男の子クラスでは、日本の生活を書いたカードをベースに話しています。 カードには日本のいろんな生活場面が出ているので、それを皆に見せながら「何をしていますか?」とか「これは何ですか?」と聞きながら、スタートします。 この時、モンゴル人にあまり概念のないものを説明するのは、結構難しいです。私がモンゴル語ができればいいのですが、それはできません。結局、彼らの知っている少ない日本語で説明せねばなりません。 先日は、カードに日本の定食が出ていました。「これは何ですか?」「魚」「これは?」「コメ」。 私は「コメは生のものを言う場合が多く、こうして調理したもの、炊いたものはごはんと言います。」と説明しながら、黒板にお米の穂を書いて、コメとご飯の違いを説明しました。ここまではわかってくれます。 次に書かれていたのがみそ汁の絵です。「これは何ですか?」「スープです」。「これは日本語ではスープとは言いません。みそ汁と言います。みそというのは・・・」と説明しかけて、ちょっと難しくなりました。 味噌の説明ができないのです。もちろん、モンゴルには味噌なんてないですし、醤油もありません。 英語であれば、soybean pasteなどといえば、なんとなくはわかります。ですが、そもそもモンゴルでは大豆もないのです。豆すら見たことありません。 もちろん「大豆知ってる?豆知ってる?」って聞いても誰もわかりません。私はモンゴル語で豆をなんというか知りません。 黒板に豆を書いては見るのですが、多分子供たちは、生の豆を見たことがないのだと思います。そうなると教える方もきついです。 結局、ちょっと乱暴ですが「日本では、ご飯と一緒に飲むスープをみそ汁と言います」と言い切ってしまいました。もちろん、子供たちはその通りに覚えようとします。 「じゃあ、お吸い物はどうなんだ?」と自分自身で聞きたくなりますが、そこはまあいいかと。 その次がもっと難しい。漬物です。絵では、ご飯やおかずのそばに小さな皿の上に、何かごちゃっと乗ってるだけで、魚のように見てわかりやすいものではありません。 私も定食の位置関係と皿の小ささから「あ、これは漬物だな。」とわかるだけで、写実的には全然そうは見えません。 これをどう説明するか?モンゴルはご飯の国ではないので、もともと漬物なんてないのです。「野菜を塩で漬けたもの」と言っても、もちろんピンときません。 サラダはわかっていますが、それはもっと大きな皿です。「ピクルス知ってる?」と聞きましたが、ほとんど知りません。数人いましたが、きゅうりの酢漬けなので、やはりイメージが違います。 絵からは想像できないでしょうし、ご飯のお共にちょっとつまむものなんて説明でわかるはずありません、モンゴルにはそういう位置づけの食べ物がないのですから。 仕方がないので「日本人は塩味の野菜をご飯と食べます」としか言いようがなかったです。多分、子供たちの頭の中にはほとんど漬物とは違うものが刻まれたことでしょう。 「続く」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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