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カテゴリ:日本語教員・N学校
男の子クラスを終え、今度は女の子クラスです。こちらのクラスはかなり進んでいて、私が普通に話しても、6-7割は理解しているようです。
ですので、こちらのクラスでは日本で買ってきた「10歳までに覚えておきたい、ちょっと難しい1000のことば」という日本の小学生向けの教材を使っています。 この本は3月に日本に一時帰国した際に買ったものです。日本の本屋に入っても、ついつい日本語教育のようなコーナーに目が行ってしまうというわけです。 ですが、10歳までの言葉にしてはなかなか説明しづらいのが多いです。最初のページに出てきたのが「怒られていた人が急にひらきなおる」というものです。 ひらきなおる、ということばをどうモンゴルの子供に教えるか。本には意味として「急に態度を変えて、えらそうにする」とありますが、これだけではよくわかりません。 とあるシチュエーションを作って、自分で一人芝居をするようにやらないと、意味はわかってもらえません。 「顔にはおのずとその人の気持ちが出る」というのもあります。おのずと、はこの本では、自然に、としか書いてありません。自然にだけでは腹に落ちないでしょう。 「赤ちゃんのころをありありと思い出す」というのもあります。ありありと、は、はっきりと、ですが、子供たちにわかるのかな? 私自身、この問題の文章を読んで「赤ちゃんのころの記憶を持っている人なんているのかな?」と不思議に思って読んでいたほどです。 後から、これはお母さんが子供のことを思って言ってることなんだなとは気づきましたが。少なくとも私には自分自身の「赤ちゃんのころをありありと思い出す」ことはできません。 意外と難しかったのが「すべてのメンバーが出そろう」でした。そろう、と何が違うのか?解説には「みんな出てきてそろう」としかありません。 「例えば・・・」と例文を作ろうにも、子供がわかるような例は出てきません。「例えば、このクラスで学芸会をするとしますね。」と例を出そうとしましたが「学芸会って何ですか?」と聞かれ、そっちの説明に入って、泥沼に入りそうになりました。 「あわやホームランという当たり。」というのもあります。あわやは、本当にホームランには適切な言葉だと思いますが、当然野球のないモンゴルではホームランはわかりません。 解説には「もう少しで」とありますが、「もう少しで、家につきます」という例文には使えません。 「あとあじが悪い試合だ」というのもありました。私があとあじの元々の意味を話すと、すぐにわかってくれました。「食べた後も、良くない味が残ること」と。 ですが、授業後半、復習のために「あとあじが悪い試合」とは何ですか?と聞いたら「食べた後に良くない味が残る試合」と言われてしまいました。 「おせじばかり言われてきまりがわるい」も、まずはおせじの意味からです。 そしてきまりがわるいの解説を。「なんとなく恥ずかしく、落ち着かないこと」とありますが、それをモンゴル人の子供にわかってもらうのは、結構骨が折れます。 あ、この骨が折れます、もそのままの意味で取られてしまわれました。 日本語を教えると言いながら、自分が日本語再発見しているような授業になるのが、子供たちへの日本語クラスです。大人向けも少しやりましたが、かなりやり方が異なると思いました。 でも、一生懸命学ぼうとする子供らを前にすると、一人芝居でも身振り手振りも大きくなってしまう自分が楽しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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