田崎正巳のモンゴル徒然日記

2012/08/07(火)00:35

日本語になっているモンゴル語?

日本とモンゴル(文化・交流)(358)

オリンピックもいよいよ後半戦となりました。 日本選手へのメダルの期待はまだまだ膨らみますが、今のところ金メダルは予想を大幅に下回る2個となっています。モンゴルは、銀と銅1つずつで合計2個です。 いつもながら、人口がわずか270万人の国で複数のメダルを取れるのは大したもんです。新潟県(人口240万人)から2人もメダリストが出るかといえば、なかなか難しいです。 オリンピックといえば、応援です。最近は「頑張れニッポン」などの声援が多いようです。ですが日本の古典的な応援方法は「フレーフレー、ワセダ!」などに使われる「フレーフレー」じゃないでしょうか? 古典的というか、私の経験でも中学、高校、大学とこの「フレーフレー」は使われていました。 更には、卒業してウン十年になるのに、同窓会などでは必ずこの「フレーフレー」は使われますから、今も現役の応援方法だと思います。 で、この「フレーフレー」って何語だと思いますか?ちなみに広辞苑によれば、hurrayという英語だそうです。万歳(バンザイ)などを意味するんだそうです。 実は、数ヶ月前にテレビのクイズ番組を見ていた時のことです。「この国は、どこの国でしょう?」という問題が出ました。 私は昔から地理が好きだったので、この手の問題は得意です。しかも問題は「アジアのどの国でしょう?」とあるではないですか。 更には、選択肢3つのうちにモンゴルが入っていたのです。後はどこだったかな?カンボジアとどこかだったような気がします。 このクイズは絶対私はできる、と思ってマジでテレビを見てました。 その問題は「ある国」に関して2つほど関連することが出ていました。でも、それだけではわかりません。モンゴルと言えばモンゴルかも・・・ そして3つ目の質問が「フレーフレーの語源はこの国である」と言うのです。この時点で私は「うーん、わからない。でも、モンゴルじゃないことだけは確かだな」と確信しました。 いくら私がモンゴル語ができないからといっても、さすがに日本語にもなっているようなモンゴル語があれば、とっくに誰かに聞いているはずです。 ですが、そんなこと一度も聞いたことはありません。なので自信を持って「モンゴルじゃない!」と心の中で叫びました。 ところが驚いたことに、答えはモンゴルというではないですか!本当なの?と疑いたくなるほどでした。「もしかして、内モンゴルでそんな言葉を使うのかな?」とさえも思ったほどです。 その後、モンゴル人に「フレーフレーって使うの?」と聞いたら、なんとあっさり「はい、使いますよ」だって。「そんなの聞いてないよ」と思いましたが、やはりそうらしいのです。 ですが、広辞苑では上記のように語源は英語なのです。一体どういうこと? そもそも日本とモンゴルには、歴史的にはほとんど接点はなかったのになんでモンゴル語が日本に入って来たの? ということで、ネットで調べてみました。単に「フレーフレー」で検索しても、当たり前の答え「語源は英語」しか出てきません。が、更に調べてみると・・・ 結果はこういうことです。 日本に直接入って来たのは英語のhurrayですが、その語源はドイツ語のhurraだそうです。そのドイツ語の語源を調べると、なんとロシア語のura(ロシア語でypa)になるんだそうです。 ロシア語?ああ、モンゴルは社会主義時代ロシアの影響下にあったからそのせいかな?と思ったら、もちろんそんな「最近の語源」であるはずはありません。 モンゴル帝国がロシアを支配していた13~14世紀にモンゴル語のhuraaがロシアに入って、ロシア語化したというわけです。元々のモンゴル語では軍隊の雄叫びなんだそうです。 モンゴルでは兵隊が「フラー!」と声を上げ、ロシアではそれが「ウラー!」と叫ぶそうです。日本の「エイエイオー!」と同じ使われ方のようです。 それにしても、歴史ってすごいです。モンゴル→ロシア→ドイツ→イギリス→(多分)アメリカ経由で日本にやって来たんじゃないでしょうか? 地球を西に向かって一周して、同じアジアの東にある日本に数世紀かけて伝播したというわけです。 ですからこのブログの題名は、正しくは「世界語になっているモンゴル語」ですね。 フレーフレー、モンゴル!フレーフレー、ニッポン!

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