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カテゴリ:モンゴルでの日系企業
やや旧聞に属する話ですが、モンゴルでJFEエンジニアリングが空港ビル建設受注という記事が載っていました。
それによると、モンゴルの新空港で、旅客ターミナルビルの建設20億円程度をJFEエンジが受注したとあります。これだけなら、おめでたい話です。 JFEエンジはウランバートル市の南北を結ぶ太陽橋を完成させた会社です。私もその会社に招かれて、現場を見ました。 極端な寒さ、当局との折衝の困難さ、現地の会社との協業の難しさなどありましたが、それらを超えて、立派な橋を作った会社です。安心して任せていい会社だと思います。 気になるのは、その発注形態です。この新空港プロジェクトは三菱商事・千代田化工連合が受注したプロジェクトです。 発注者はモンゴル政府ですが、全額日本政府の円借款ですから、日本人にも無関心ではいられません。 日本政府の円借款プロジェクトを三菱商事が受注して、その一部を日本企業に請け負わせるのは問題ありません。 が、実際には、JFEエンジが受注する相手はサムスン物産です。 三菱商事が自ら建設に責任を持つのであれば、JFEエンジに直接発注すればいいのです。が、それはあり得ないことなのです。なぜか? それは、本ブログでもたびたびお伝えしているように、三菱商事は「形だけ、表面的な」新空港建設者だからです。 もっと言えば「三菱商事は、建設業務には一切関わらない」とさえ言っているそうです。 なので、建設については「すべてサムスンに丸投げ」というわけです。 こういう構造は、現地の多くの関係者はわかっていたことで、秘密でも何でもありません。 なのに、なぜか日経新聞は三菱商事に発注先が決まった時には、まるで新興国で厳しい競争の末に大型建設受注を勝ち取ったかのようなおめでたい書き方をしていました。 もちろん、その時点で「韓国企業へ丸投げ」は日経新聞もわかっていたでしょうが、なぜか一切書かれていません。そもそも円借款事業だということも、最後にちょっと触れただけです。 こういう意図的な動きを見るにつけ、新聞社もなんとなく日本政府お抱え的気質があるんだなあと思います。 もちろん、日本政府の言い分は想像できます。 「こんな世論のご時世に、国民の税金を使う大型事業のほとんどが韓国企業に丸投げされるなんて、発表されたら困ります」というところでしょう。 それだけを聞けば、なるほどそうかと思いますが、「じゃあ、なんでそうなってしまったんだ?」というところにまで目を向けてほしいのです、マスメディアには。 大本営に逆らえない、いや、逆らうほどの取材力のない日経新聞では難しいのでしょうが、そこまで追求することで、今後の国民の税金のまっとうな使われ方が浮かんでくるのではないかと思います。 誤解なきように申し上げますが、今回の三菱商事の立場は「困ってしまった政府関係者を助ける立場」だということは承知しており、三菱商事に責任があるとは思っていません。 そうならざるをえなかった、JICAや政府関係者にもっと税金の大切さを知ってほしいということです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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