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カテゴリ:モンゴルとチベット
ダライ・ラマとオバマ大統領が会談したとの報道がありました。大統領として会うのは4回目だそうです。
この会談は、会談が行われる前から中国によるお得意の「分裂主義者のダライ・ラマと会うべきでない」との批判がなされていました。もちろん会った後もオバマ大統領を「卑劣」だとか中国国民が「傷つけられた」などと騒いでます。 中国が傷つけられた、という意味が分かりません。中国がチベットを傷つけるどころか、殺戮を繰り返してきたというのに、よくまあそんなことが言えるなってことです。 実際、騒いだってどうってことないわけで、それで米中で何かが起こるなんてことはあり得ません。私はオバマ大統領の決断を支持するし、他国もどんどんこうして会っていけばいいと願っています。 ですが、我が日本の首相はダライ・ラマには会っていません。会う機会はいくらでもあるわけで、実際に毎年のようにダライ・ラマは来日していますから、要は意思の問題です。 調べてみると、安倍さんがダライ・ラマと直接会ったのは、2012年11月のダライ・ラマの日本での講演会の時のようです。 講演会は国会議員向け特別講演とのことで、参議院会館で行われました。しかも安倍さんは「チベットで人権が弾 圧されている現状を変えていくために全力を尽くす。」とまで言明しているのです。 ま、この人の場合「全力を尽くす」という文句を安売りしているため、なんでもかんでも全力を尽くしているうちに、何もできない人になっている側面はありますけど。 ですがこの力強いコメントも「自民党総裁」時代に言っただけなのです。首相就任はこの講演の1か月後の12月なので、ことの発言はまだ日本国のトップじゃなかったんですね。 そんなに「全力を尽くす」と言うなら、本当に日本のトップになったんだから、やれよと言いたいのですが・・・もちろん理由はわかってます。要するに中国の批判を気にしているのです。 安倍さんが大好きな靖国神社だって、結局はほとんど行けてません。もしやれば、また中国が日本車を壊したり、日系デパートを破壊したりさせることでしょうから。 確かに経済面からすると、そのリスクを冒してまで、靖国行くべきだとは私も思っていません。ですが、靖国は日本固有の問題だからそのリスクを避けるのはわかります。 が、ダライ・ラマについてはオバマ大統領がもう4回も会っているんです。中国側はさすがにシボレーやマクドナルドを壊したりしませんし、ボーイングの購入をキャンセルもしません。 さすがの中国も「アメリカは仕方ないけど、日本は許せない」という論理は難しいでしょう。そもそもダライ・ラマを匿っているインドの首相にもニコニコして会っているんですから、中国の主席は。 要するに本質の論理なんかなく、弱そうな相手にだけ吠えるという昔ながらのやり方をやっているわけです。それだけ日本はなめられているってことですね。 そんな相手の出方を気にして、「全力を尽くす」と言ったチベット解放への協力もできない安倍さんは、国内的には強気の姿勢を見せる右寄りの政治家には見えますが、対外的には結局は歴代首相と同じ腰砕け型なのでしょう。 そんな日本の首相の弱気ぶりを以前モンゴルで話していたら、モンゴル人に「私たちは中国なんか全然気にしないし、怖くなんかないよ。ダライ・ラマとの関係は古くからあるし、確かに中国は文句言うらしいけど、そんなのを気にするモンゴル人なんていませんよ」と笑い飛ばされました。 確かに「ダライ・ラマ」という名前を名付けたのもモンゴル人ですし、現ダライ・ラマ14世はモンゴルの田舎に行ってもものアイドル並みにすごく人気のある存在です。 モンゴルでもアメリカでもできることを日本政府はできないのか、と思ったりもしました。 ところが、です。 遂にモンゴルも中国に跪くことになったのです。昨年、モンゴルが外貨不足でどうにもならなくなった時に、習主席がやってきたときがありました。道路か鉄道かあるいは現金かはわかりませんが、国中がそのお土産を期待していました。 その習よりも前からモンゴルに来る予定になっていたダライ・ラマを、突然モンゴル側が「ダライ・ラマに用事ができて、これなくなりました」と発表したのです。ああ、やっぱりね、と思いました。 どんなに歴史的な関係があろうと、どんなに国民が強がりを言っても、普通の中国の脅しに屈することはないモンゴル人もお金には負けたということです。 もちろんその時のモンゴル政府の判断を批判する気はありません。日本政府はもっと弱腰なんですから。 ただ、これでモンゴルも対中国に関しては「普通の国」になったんだなと思いました。 こう考えると、弱腰外交といわれるオバマ大統領ですが、結構やることはやってるんだなと思いましたね。日本もモンゴルも、このアメリカの例をうまく使って、チベットへの協力姿勢を示してもらいたいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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