田崎正巳のモンゴル徒然日記

2016/08/25(木)17:19

海外ニュースでは、モンゴルはパニックみたい?

モンゴル経済・トゥグルグ(131)

ロイター通信の日本語ニュースによると、モンゴルはかなりパニックになっているように書かれています。(多分、実際にはそうでもないんでしょうけど) ニュースの題名が「通貨急落のモンゴル、米ドル求める市民が闇市場に殺到」とかなり衝撃的です。 内容は、大体本ブログで書かれているのと似たようなものです。ただ、視点を街の両替商に置いているところが違います。 ニュースは「厳しい経済危機に見舞われているモンゴルでは、通貨ツグリクの下落に歯止めが掛からない。パニックを起こしたモンゴル市民はブラックマーケットの米ドルや人民元に殺到、外貨不足が日に日に深刻化している。」で始まり、明確にパニックと書かれています。 更に「両替商のガンボルドさんは「ドルはもうないよ」と話す。ガンボルドさんは1990年のコミュニズム崩壊以来、両替商を営んでいるが、これまでは外貨が足りなくなると、仲間内で融通できていたという。それが今では、ドルが海外から届くまでは、店を閉めるしかない。」と両替商のドルが底を尽いたとあります。 最近の対ドルでの下落率は世界の通貨の中でも突出しているとあり、ある銀行はドルとの交換を拒否しているともあります。こういうニュースを読めば、モンゴルにはドルがないかのようにも見えてきます。 更に、「チョイジルスレン財務相は今月、中銀の外貨準備残高は13億ドル、と述べた。ただし、中国との150億元の通貨スワップ協定を勘案しなければ、外貨準備は4600万ドルのマイナスとの見方を示した。」とあります。 本当に財務相がそう言ったのかは不明ですが、公表される外貨準備高にスワップ協定分まで含めるなんて、聞いたことありません。もしこの通りだとすれば、確かにモンゴルの外貨交換停止は時間の問題かもしれませんね。 今後の対応ですが、IMFが先週モンゴルを訪問し、政府関係者と会ったとありながらも、一部のアナリストは「モンゴルはIMFではなく、中国との通貨スワップ協定拡充に救いを求めることになると見ている。」と、痛みを伴うIMFより、当面の痛みの少ない(長期的には取り返しのつかない痛みであったとしても)中国を選ぶとみているようです。 具体的にはそのアナリストは「中国が域内に持つ影響力を生かして、IMFよりも大規模、かつより良い救済策を申し出る可能性が高い」と話してます。 「モンゴルは天然資源が豊富で、ロシアとの経済コリドーとしての潜在性を持つ。中国にとっては、戦略的に重要な意味がある」と見ているのです。 要するに、モンゴルのこの危機を助けてあげる代わりに、資源を担保に取り、ロシア寄りのインフラ整備を中国中心に仕向けようということなんだと思います。 「債務を削減し、海外投資家を呼び戻すと約束しているモンゴル政府は、給与の削減や学生向けの援助停止などの財政緊縮策を導入した。」と書かれていますが、闇市場ではドルを買おうと必死の様子が書かれています。要するに施策の効果はないってことです。 「モンゴル中銀のバヤルサイハン総裁は19日、地元メディアに対して、今年第1・四半期に総額235億ドルとなった対外債務の条件について再交渉することから、今後2年間は厳しい状況が続く、と述べた。」とあります。 楽観的なあの中銀総裁でさえ、あと2年は続くと言っているのを聞けば、相当厳しい状況だということが分かります。 このニュース、モンゴルに関するニュースなので、私も「ちょっと大げさかな?」なんて思えますが、これがキルギスとかトルコだったら「ああ、もうすぐデフォルトだな」と素直に思ってしまうのでしょうね。 つまり、多くの海外の人はこのニューを見てそう思うってことです。となると、一層投資資金は入りにくいでしょうね。

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