|
カテゴリ:日本とモンゴル(経済・ビジネス)
先日の新聞に「川重と三菱商事、バングラデシュで鉄道受注!」との見出しが出ていました。
以前なら気にも留めない記事ですが、数年前の「モンゴルで三菱商事、新空港受注!」というのを見た記憶があるので、半分疑いの気持ちで「受注て言ったって、どうせ金は日本が払うんでしょ?」と思って記事を読みました。 すると、案の定、資金の出どころはJICAです。つまり、なんのことはない日本の国民の税金を使うってだけのことですから、アジアで日本企業が中国や韓国に競り勝ったとかいう話では全然ありません。 なのに、その記事には「安倍政権が進めるインフラ輸出に弾みがつく。」などと、日本のインフラが優秀だからとか、日本のインフラ輸出で日本が儲かる的なニュアンスを出してます。 モンゴルの新空港もそうでしたが、お金の出どころがJICA、つまり日本国民の税金で賄うと決まった瞬間から、別に他国と競争するなんてないわけです。 理屈でいえば「いいえ、これは円借款だから、国民の税金が消えてなくなるというわけではありませんよ」と言う人もいますが、「返済確実の案件なら、民間の銀行がやればいい」ということになります。 モンゴルやバングラデシュに長期でそんな大金を貸す民間銀行はまずいません。要するに返済リスクが大きすぎるということです。 こうしたリスクを引き受けられる銀行がないから、JICAによる円借款ということになるのであり、それを可能にしているのは日本国民の税金です。 なので、どういう理屈をつけようと、日本国民の税金を事業収入にするためにこの受注があったということです。円借款なんだから、当たり前のことをここで書いているだけです。では何が言いたいのか? 私はJICAによる円借款を反対していることは全くありません。そのおかげで、モンゴルの新空港もできるのですから。 私が気になるのは、まるで「日本企業の競争力があるから、アジアのインフラ事業を受注できた!」かのように報道するメディアの姿勢です。更に「安倍首相の進めるインフラ受注の一環」みたいに持ち上げることです。 端的に言えば、モンゴルの新空港も今回のバングラデシュの鉄道受注も、日本企業の競争力(技術&コスト)があるから取れたわけでもなんでもなく、国民の税金を使えるから受注できただけだということです。 なので、川重や三菱商事が「やったぞ!」ではなく、「国民の皆さん、皆さんのお陰で中国や韓国と競争せずとも受注できました。皆さんの税金を使わせていただきます。」と言うべきところなんじゃないかということです。 増してや、安倍首相がインフラ受注で国の経済を伸ばすという論理に単純に乗っかるのはおかしいということです。 いかに日本企業の競争力がないかは、モンゴル新空港の例を見ればわかります。 日本の建設会社は、「技術とコスト」で対応すらできなかったので、最後は韓国のサムソンでやってもらう羽目になったのです。 日本の建設会社が「そんな工期ではできない」とか「そんなコストでは、いいものができない」なんて言ってましたが、結局サムソンはやり切ったとのことです。最後は三菱商事が検証するわけですから、いい加減な工事ではないと思います。 ところで新空港は、いつ開港するのでしょうか?モンゴルで聞いた話では、既に三菱商事・サムソンでやるべきことはすべて完了しているので、すぐにでも開港できるらしいと。 だが、空港内の一部にある「モンゴル政府側がやらなければならない工事」が全然できてないので、開港は年内は無理なんだそうです。ま、この辺はモンゴルらしいですね。何の計画もしてなかったんでしょう。 日本国民の税金を使った新空港、早くオープンしてほしいものです。ですが、都心からのアクセスは現在の空港に比べて圧倒的に悪くなるので、このまま移転しなくともいいかな、という気持ちも少しあります。 イメージとしては「成田空港に高速道路も鉄道もないとしたら、アクセスは一体どうなるか?」って感じでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本とモンゴル(経済・ビジネス)] カテゴリの最新記事
|