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カテゴリ:モンゴル出張
「今日は午後から講演会ですが、その前に午前中はバトトルガ大統領への表敬訪問になります」と言われました。
日本にいたときから、日程にもよるが大統領か首相への表敬訪問があるかもしれない、と言われていました。 とはいえ、スケジュール変更はよくあるお国柄ですから、たぶん実現はしないんだろうなと思っていましたが、どうやら本当の話のようです。午前10時前にスフバートルの政府庁舎に入りました。 「ここは初めてですか?」と聞かれ、ごく自然に「いいえ、来たことあります」と答えましたが、果て、一体いつ来たんだろうか?と思ってしまいました。ですが、確かに内部は見覚えがありました。 内部は通路は長く広いのですが、慣れていない人にとっては迷路ともいえるような構造にも見えました。歩いてる途中思いだしました。日本語を教えていた小学生の子供たちの社会見学で国会を見に来た時に、一緒に来たことがあったのでした。 いよいよ、大統領の執務室へ。私は普段はほとんどネクタイ着用はせずジャケットだけですが、さすがに今回はスーツにネクタイで来ました。大統領はノーネクタイで、カジュアルないでたちでした。さすがに元サンボ(ソ連時代の格闘技)の世界チャンピオンだけあって、がっしりとした身体つきでした。 大統領に会うためには、当然数々のセキュリティチェックを通されます。飛行機に乗るときのチェックのようなものですが、カメラも携帯電話も持ち込み禁止なので「一緒に記念写真でも撮ろうかな」なんて気楽に考えていた私のプランは、当然実現しませんでした。 私と一緒に大統領の部屋を訪ねたのは、大統領と私と通訳をしてくれる私の友人であるメディアコーディネーターのUさん、そして政府側での今回の私の一連の行動の窓口をしてくれている内閣府のBさんです。 ですが、私が大統領と向き合って話した時には、私たちに加えて大統領側のスタッフが4-5名いました。皆若いスタッフに見えました。 私はそもそも表敬訪問と聞いていたので「サエンバエノー」と挨拶して、10分程度で終わるんだと思っていました。 私はこの点をUさんに事前に聞いていましたが、Uさん自身も数日前まで「そもそも会談は実現するのか?」「会うのは大統領か首相か?」もまだはっきりしないように聞いていたくらいですから、この表敬訪問に一体何分時間取ってあるのか、わかりません。 その場の雰囲気としては「日本から来たコンサルタントの意見を大統領が聞く」のような感じになってきたので、この日の午後講演する予定の資料(英文)を手渡し、私からプレゼンすることにしました。 ただ、これを始めると、通訳経由ですから急いでも1時間はかかってしまいます。でも、そんな時間をもらえるのだろうか?中途半端に「はい、そこまででおしまい」と切り上げられるのは困るなと思いながら、とにかく始めました。 大統領は真摯に聞いてくれ、大事なところは頷いて資料にも目を通していました。私の印象では、大統領はちゃんと相手の言葉を聞き、ほとんど反発、反論をせず、「まずは相手の言うことを聞こう」という態度に徹しているように見えました。 正直言って、格闘技系出身のモンゴル人大統領ですから、もっと大迫力の議論を迫ってくるのかと思っていましたが、全く正反対で、むしろ「静かに聞き入る」という姿勢を感じました。 私の話の中には当然、モンゴルの現状に対する批判的な内容や、政治家に取っても耳の痛い内容がたっぷり含まれているわけですが、一切の反論をせず静かに頷いていたのが、とても印象的でした。 私の話は結局1時間以上も続きましたが、その間「そろそろ終わりにしようか?」という雰囲気は皆無でした。 私の話が一通り済むと、今度は大統領がいろんな話をしました。中にはなるほどと思うのもあれば、やや荒唐無稽とはあ言い過ぎですが、さすがにそれは5年や10年では実現しないだろうというものもありました。 ただ強く感じたのは、「モンゴルの将来のことを強く考えているのは間違いない」ということです。 あの巨大チンギス像を作った人ですから、モンゴルへの観光誘致には特に関心を持っているように思えました。また大気汚染問題について「現在のUBを再開発によって全ゲルをアパート化するには40年以上かかる、とJICAに言われた」と言い、それなら遷都の方が早いのではないか、と言ってました。 面白いのは「明日、官房長官と会ったら、OOのことをあなたから伝えてください」みたいな言い方が、何度かあったということです。 私みたいな外国人に頼らずとも、呼びつけて申し渡せばいいのでしょうが、その辺の権力構造(大統領と首相)がわかりにくくなっているのは、外部から見てもそうですが、内部的にもそうなんだろうと感じました。 結局、大統領との面談時間は2時間にも及びました。最後に「この国を良くするのによろしくお願いします」と言われました。 私のような経営コンサルタントは、有名な企業経営者と会うことはあっても、政治家、特に一国のトップである大統領とさしで話すということはまずありませんので、いい経験になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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