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カテゴリ:日本とモンゴル(経済・ビジネス)
介護もそうです。家族のお年寄りは大切にするモンゴル人ですが、仕事としての介護はどうでしょうか?
飲食店も同じですが、UBの店員さんの驚異的な「ホスピタリティのなさ」を見ていると、フィリピンやベトナム人の方が好まれるのは間違いないでしょう。 農業も基本的にはモンゴル人にはほとんど馴染みはないですし、馬に乗っての遊牧なら好きですが、地道な農作業は多くのモンゴル人が「やりたくない仕事」と言えます。 モンゴルで農業を始めようというベンチャーは国内外ともに多いですが、いつも頭を悩ますのが「モンゴル人の農作業嫌い」ですから。 造船なんてそもそもモンゴルにはない仕事ですし、帰国後も役に立つとは思えません。観光は?私は一瞬この項目に注目しました。観光業なら、モンゴル人にも取り組みやすいし、帰国後も役に立ちそうです。 ですがよく考えると、「地方の中小企業で不足している観光関連」とはなんでしょうか?日本語4級の外国人に企画や営業を期待しているはずはありません。 私はこれは旅館やホテルの裏方仕事だと理解しています。朝早くから夜遅くまで、風呂場を含む掃除・洗濯や料理の運びなどの裏方仕事です。 確かに観光地ではそうした従業員が不足していると聞きます。単に「観光」というきれいな文字で希望すると、がっかりするのは間違いないでしょう。 これらは、行く前にモンゴル人側がどれだけ仕事の内容を理解し、覚悟を持てるかと言うことです。また働く場所は恐らく、映画やドラマで見る「東京や大阪、京都」などではなく、地方の田舎というケースが多いでしょう。 例えば新潟県と言っても、新潟市であれば県内から人が集まってくるので労働力不足も補えるでしょうが、市内から100キロ以上も離れた田舎では人手不足も深刻でしょう。こうした地域が対象となると思います。 これらを総合すると、果たして今のモンゴル人が「日本で働く」とイメージしているのと、どの程度のギャップがあるか懸念は尽きません。 そしてその結果、「日本ってひどい国だ。」「自分たちは格好いい仕事をして、外国人にはつまらない仕事しかさせない」という気持ちになって帰国してしまうことになるのでしょう。 要するに、私は韓国も日本もこうした制度で出稼ぎに来る外国人にとっては大して変わらないだろうと思うのです。 心配な側面ばかり書きましたが、モンゴル人に良い点はどこでしょうか?まず言えるのは言葉の点です。日本語N4レベル、つまり日常会話レベルです。 正式にN4を取得したかどうかは別にしても、モンゴルには簡単な日本語を話せる人は驚くほど多くいます。90年代後半から2000年代前半にかけては日本語ブームと言えるほどで、第2外国語の中では一番人気があったときもあったと聞くほどです。 そうした素地があるので、少し勉強すればほとんどのモンゴル人は要求されるレベルには到達できるのではないかと思います。 それはいいのですが、果たしてこの制度を使って日本に来るのがいいことなのか、私にはわかりません。どちらかといえばネガティブです。 韓国の建設現場に、モンゴルでの大学教授、医師、博士課程修了者などが行くのを見ると、日本でも同じようなことが起こるでしょう。 そういう人たちを飯場(はんば)のようなところに住まわせて、その後の日本を好きになるのでしょうか? モンゴル人の多くが切実に海外に職を求めていることは知っています。その行き先が「幸せに暮らせる日本」であれば、それはそれで嬉しいのですが、こうした制度に乗るのがモンゴルの人々の幸せにつながるのかはわかりません。 きれいごとばかり言っても始まらないので、政府がそういう動きを示したということに対しても、一定の評価をしないといけないのかもしれません。 一番いいのは、日本企業がモンゴルへ進出し、投資をし、雇用を生み出すことが最大の解決策だとは思うのですが、それも遠い話です。 (完) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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