ハーンバンクからちょっと考えられないようなメールが届きました。と言っても、ハーンバンクが突然意味不明なことを主張しているというのではなく、モンゴルの法律が意味不明だという内容です。
それは何かの法律(銀行法??)の第10条第4項によると、「パンデミック期間中はいかなるdemand deposit accountに対する金利は支払わない」というものです。demand deposit accountというのは、要求払い預金のことで日本では「普通預金」に相当するものです。
日本ではこんな法律なくとも、パンデミックに関係なく普通預金の金利は「ほぼ支払われない状態」ですが、モンゴルではそこそこ金利は付きます。現在のレートはわかりませんが、確か4-5%くらいだったような記憶があります。
その金利を「パンデミック期間中は支払わない」というのです。具体的には、2021年1月29日からこの法律の実施が終わるまで、金利は払わないとあります。なんだか不思議な法律です。
私なりの解釈をすれば「パンデミックで銀行も大変だから、預金者に金利を払いたくないよ。銀行ではそんなこと言えないから、政府による法律でそれを認めてくれ!」と誰かが要請してできた法律ではないかと思います。
こんな発想、一般庶民から出るはずはありませんし、普通の政治家だってこんなこと思いつかないでしょう。これは当然銀行側から政治家にお金を渡して成立させた法律でしょう。そもそも期間の定義も曖昧で「until the end of the law’s implementation」なんていい加減な期間設定です。法律に「法律の実施が終わるまで」なんて、意味が分かりません。
とはいえ、これはモンゴルの話ですから、意味不明な法律ができるのは大して珍しいことではないのです。ただ言えるのは、この期間中は銀行のコストが大幅に下がるということです。日本のような0.01%とは訳が違いますから。この浮いたお金のうち、どのくらいが政治家に行くのかはわかりませんけど。
ハーンバンクと言えば、例の澤田HDのもめごとが遂に日本の週刊誌の話題になったようです。週刊現代の記事をご覧ください。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80379
内容は、本ブログで書かれていることよりはずっと薄い内容ですが、それでも日本の知名度のある週刊誌が取り上げたということは、そこそこ関心のある話なのでしょう。澤田HG自体は日本の上場会社ですから、当然とも言えますが。
この記事には「澤田HGを狙い撃ちの法律か?」のように書かれていますが、確かにそうした一面はありそうですが、これはGolomt銀行にもTDBmにも同じような影響があるようです。要するに「一族が支配している銀行を分散させよう」「もっと言えば、大銀行を上場させよう」という動きのきっかけになると見られます。
確かに日本では、特定の個人が株式を持って支配しているような大銀行はありませんから、モンゴルも段々そうなっていくということなんでしょう。いずれにしても澤田氏はTOBの受け入れを決めた時から、ハーンバンクの経営を離れる決断はしていたのでしょうから、多少の誤算はあったでしょうが、方向性としては同じままだと思います。