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田崎正巳のモンゴル徒然日記

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2022.04.28
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ほぼ2年間もの長い間、1ドル2800トゥグルグ(TG)台でほとんど固定相場のようであったトゥグルグの対ドル相場が急激に下落しました。これによってモンゴルの物価の上昇は避けられず、多くの市民が生活に苦しむという状況になっているようです。

トゥグルグの対ドル相場は、今から2年前の2020年5月にそれまでの1ドル2700TGであったのが2800TG台に乗りました。ずっとTG安傾向が続いていたので、一気に3000TGに乗るとみられていましたし、多くのモンゴルの会社では予算設定では3000TGも視野に入れながら計画をしていました。

ところが、その後のTGは意外と堅調に推移し、ここ10年間で最も安定したTG相場となっていました。ちなみに10年前の2012年5月の相場は1ドル1300TGでしたから、やはり現在のTGの対ドル価値は半分以下に落ち込んでいることになります。

2年間安定していたTGが下落したのは今年2月下旬からですから、やはりロシアによるウクライナ侵攻がきっかけとなったと思われます。そして遂に3月中旬に1ドル2900TG台に乗ったのです。私は当初戦争による短期的な影響だと思い、わざわざブログで書くほどのことでもないなと甘く見ていました。

ですがそんな甘い見通しは崩れ、4月上旬になると遂に3000TGにまで下落してしまいました。しかもその下落スピードは衰えず、遂に3100台になってしまいました。わずか3か月で8.4%近い下落です。ドル金利の上昇もあり、当分はTG下落基調は変わらないのではないかと懸念しています。

日本の円も最近大きく下落していますが、円とTGでは全く比較できないほどTGの影響は市民の生活に大きく響きます。日本で生活していると、確かに日本には輸入品が多くありますが、その多くは原料である上、日常生活品の多くは日本で生産しています。なので、日本で為替下落による輸入インフレが起きるのは限られた分野であり、しかもタイムラグが生じます。

例えば鉛筆一本、おむつ一つを取っていても、恐らくその原材料の多くは輸入しているのでしょうが、その加工のほとんどは日本で行っています。なので、おむつの原材料の値上げがあったとしても、最初は原材料メーカーからおむつメーカーへの値上げ交渉から始まり、それが納価に転化し、それが更に製品価格に転嫁されるまで時間がかかります。しかも為替レートの影響は一部の原材料のみで、そのほかの国産原材料や加工賃への直接の影響はありません。

しかしながらモンゴルは違います。おむつなら、そのおむつの価格全部が丸ごと為替の影響を受けて値上がりするのです。鉛筆もシャンプーも大根もそうです。ガソリンだって、大いに影響します。影響が小さいのは、肉類や小麦関係くらいです。ですが、ガソリン代が上がると、輸送費コストが上がってしまい、ほぼすべての製品に影響してしまうのです。

しかもそもそもコロナの影響で、為替が安定していた時でさえも中露との国境閉鎖などの影響で国全体として供給不足に陥っていたのですから、国内在庫が不足気味だったのです。在庫不足ということは、為替の変動を受けるバッファーがほとんどないということでもあり、市中の物価が急激に上がるというわけです。

為替の影響は物価だけにとどまらず、実質的な外貨交換規制にまでになってしまいました。正確には、国としては外貨規制はしていないのですが、大手銀行が窓口での外貨交換を1回300ドルまでと制限を始めたのです。外国に出張を考えているビジネスパーソンは、出張日までせっせと毎日銀行へ通って300ドルずつ交換しているという笑えない話もあるほどです。

これらの一連の動きが、それまで我慢し続けていた市民に大きな影響を与えた上、行動にも出たのです。3月下旬に、在モンゴルロシア大使のSNSでの発言が問題になって、スフバートル広場で若者らの大きなデモがあったと報じられました。それはロシア大使がプーチンの発言のままにインチキ情報を流したことや、モンゴルの国民を馬鹿にしたような内容があったからです。

そして4月に入ってもデモが起きました。私は「まだあのデモが続いているのか?」と思ったのですが、どうやらそうではないようなのです。簡単に言えば「今まで我慢してきた不満が、この急激なインフレで本当に生活できなくなり、一気に爆発した」というものです。

元々供給不足でインフレ気味だったところに、為替の急落で本当に生活が苦しくなったからなのです。パンが買えない、おむつも棚にないし、あっても値上がりしている。食料品や日用品が2割も3割も急激に値上げされても給料は変わりませんから、生活苦を訴える人が続出したのです。

プーチンの仕掛けた戦争がこんなところにまで影響が出ているということです。恐らく多くの経済基盤の弱い新興国では似たような問題が起こっているのではないかと思います。





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Last updated  2022.05.01 15:40:03
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