新空港オープンは、2020年上期に決定!?
もう既にご存知の方も多いと思いますが、ようやく新空港のオープンが実現しそうです。時期は来年春とのことです。(正確には今年7月から10か月以内、だそうです)なんでこんなに開港時期が遅れたのか?ハードの問題(格納庫の整備、UBへの高速道の完成遅れなど)も確かにありましたが、やはり一番大きいのは空港運営会社の経営権の問題だったようです。空港運営会社の経営権なんて、空港建設着工前から日本企業がやっると決まっていましたから、通常の契約通りであれば経営権の問題なんて起こりようがありません。ですが、そこはモンゴルです。モンゴル人にとっては「あの時は、経営権を日本に任すと言えば空港建設用の資金が入ってくると思ったから、そういう契約をした。」だけのことなのです。ですから「もう完成したんだから、やっぱりモンゴル側が経営権を持ちたい」と言いがかりをつけたというわけです。「それは契約違反でしょ?」というのは、日本人の認識であり、国際ルールでもあります。でも、モンゴル人にとっては契約とは「あの時はそう思った」というだけのことで「その後のことを考えると、やっぱり違うと考えた」と合意をひっくり返すことには大して抵抗感はありません。OT(世界最大級の金・銅鉱山)に関するリオ・ティエントとの契約も同じです。後出しじゃんけん、なんでもありがモンゴルの政治家なのです。というわけで、とっくに決まっていたことをひっくり返されながらもなんとか正式契約にこぎつけたのが7月5日で、「ニュー・ウランバートル・インターナショナル・エアポート」(NUIA)という日・モ合弁会社が設立されたのです。日本側が51%で、三菱商事、成田国際空港社、日本空港ビルディング、JALUXの4社です。モンゴル側はモンゴル政府です。三菱商事は、空港建設を請け負った会社です。成田国際空港社は成田空港の運営会社で、日本空港ビルディングは羽田空港の運営会社です。JALUXはJAL系の空港関連のサービス会社です。MIATと成田で提携しているのは全日空なので全日空系が参加するかと思っていたら、JAL系でした。これをきっかけにJALがウランバートルへ飛んでくれるといいのですが。個人的にはマイレージが使えるので、ありがたいです。このニュースは日本にいるモンゴル人や日本語を勉強しているモンゴルにいるモンゴル人には、結構インパクトあるというか、注目されているようです。私のところには時々日本にいるモンゴル人学生などが相談に来ることがありますが、この運営会社は願ってもない就職先と言えそうです。断っておきますが、私は一切コネクションはありませんので、個人的な依頼にはお応えできません。ただ、モンゴル人は「甘い考え」を持つ人もいるので、その辺はちゃんと認識しないといけません。ある留学生の方は「どうやったら、この運営会社に入れますか?」から始まって、私に相談されました。何をやりたのかと聞くと「日本側の代表となって、新会社を経営したい」だそうです。それも「将来の話」ではなく「代表として入社できるか?」だそうです。まあ、日本人がこういう話を聞くと「何言ってんの、その人?留学生でしょ?経営?できるはずないでしょ?」と思うわけですが、モンゴル人留学生の中には、怖いもの知らず(ほぼ同義語で世間知らず)の方もいますので、短期的に経営者になれる道を探るわけです。残念ですが、遠い将来はともかく、近い将来に日本側代表として未経験のモンゴル人が経営者として送られることはないでしょうね。これに近いことを言うと、素直に「なぜですか?私は出来ますよ」と返ってくるので、なかなか説明が難しいのがモンゴル人なんですね。ま、こういう超積極的姿勢は今の日本人学生にはないものなので、私自身は一概には否定しません。そうした中から、将来のモンゴルを担う人材が出てくる可能性は十分ありますから。現チンギスハーン空港の旅客数実績は142万人(2018年)です。三菱商事と共に建設に参画した千代田化工建設によると、年間200万人が利用可能な旅客ターミナルビルを建設するとあります。キャパは大丈夫なんでしょうか?当然、今後はモンゴルも観光客誘致により力を入れていくでしょう。モンゴルは外国人観光客の誘致に力を入れていくにあたって、一つ難しい問題があります。昨年、バトトルガ大統領とお目にかかったときに「外国人にもっとモンゴルに来てもらいたい。どうしたらいいか?」と聞かれました。私は笑いながら「人数を増やすのは簡単ですよ。中国人向けビザを撤廃し、観光客を誘致すればいいのです。」と言いました。さすがにこれは受け入れ不可能だとわかって言ったのですが。モンゴルは人口300万人の国です。陸続きの人口大国中国人がどっとやってきたら、そのうちの何パーセントが不法滞在者として残るでしょうから、数年もすれば中国人の方が多くなってしまうことも笑い事ではなくあり得ます。内モンゴルもチベットもウィグルも、一番怖いのは武力よりも「漢人による大量進出とその結果としての漢化」ですから、それだけは飲めません。外国人観光客は増やしたいけど、最大の供給源である中国は制限したい、のがモンゴルの本音です。大統領は「一番来てほしいのは日本人です。」とも言ってました。そうなると、ガチでベトナム、タイ、シンガポールなどの東南アジア諸国と競合になります。今までのように「来たい奴だけくればいい」的なやり方では、日本人の動員は難しいでしょう。チケット代、交通手段などのインフラ整備、ホスピタリティなど問題はたくさんあります。ただ、多くの問題はウランバートルの方で、地方の整備されたゲルキャンプなどは多くの日本人にも喜ばれることでしょう。今後の、観光施策に期待しましょう。